釣れない釣りを続ける僕には、またしても試練の1999年がやってきた..........


半年ぶりの沖縄、那覇空港から、琉球エアコミューターに乗り込むと

随分涼しいので、エアコンが寒い寒い。

機内の風景も寒かったりするけれど、これは別によろしい。

39人乗りに10人、これだから大東は黄金週間向きでございます。

それにしても、横浜の方が暖かいと感じるほど、沖縄は涼しい。

「行った人から夏になる」というのがJALのキャンペーンだけれど

行った人から風邪になる、これが今回の沖縄。

いつもの事を考えて、Tシャツしか持っていってないので

じわりと涼しさが体を冷やしていく。

一週間前まで神経痛の僕には恐怖の寒気を味わっての道行き

結局、大東島もこの寒さで、くもりの日には

半袖半ズボンだとバイクでは寒い!


銀柳、おテスト日和


初日は例の小笠原用新作ロッド銀柳のテストにさっそくお出かけ。

大潮で朝早くに満潮で磯は潮が高く、釣り座に波が乗ってくるので

とっても釣りにくい、で寝不足も手伝ってユックリ起きて朝食。

心底南国モードに切り替えて、のんびりと準備してから

カスミアジやロウニンアジが日が昇ってからでも回ってくる

東側の実釣場(みのつりば)へいくと、珍しく凪ぎ。

凪いでいてもサラシは消えない、これが昼間のルアーには持ってこいなのです。

チャンスとばかり、準備を整えてキャストすると早速カスミアジが

足元をビューン、ビュン!と右往左往するけど全然食いつかない。

半年前の波照間島でも食いつかなかったのを苦々しく思い出しつつ

焦っても仕方ないので、無視してキャストしながら竿の調子を見てると

足元で「ぐっ」とヒラアジ特有の根掛かりヒット!

とにかくお魚というよりは大東島そのものを掛けたような手応えが身上。

さっきの奴が一生懸命走り回っているのが良く見えるけど

手応えと見た目のサイズからして1、2キロ、美味しくて

引きも程々で、竿の曲がり具合も良く分かるグッドサイズ。

余裕で引きを竿でためて、しっかり鈎掛かりしていることを確かめつつ

足場を確かめてから抜き上げると、なんとまあルアーを飲んでる飲んでる。

おまけにルアーが初日にして壊れちまったし、こりゃ外れない。

でも、テストにしては上出来、上出来!52センチ、2.3キロ、

臭みもなくて脂もノリノリ、ケッコウなお造りでした。

それにつけても、前に作った風刃、旋迅は釣れてないのに複雑な気分.........


しけたら港でジギング日和


風が強くなって荒れて磯がダメ、ならば高い足場の港があるのです。

でも、地元の人は南の亀池港にカマサー(カマス)が回っているので

そっちに集中しているはず、ならばと天邪鬼的に西港へ向かったわけ。

まあ、何しろインクブルーとでも言いたいほど透明で明るい青の釣場。

これじゃ釣れないわと思いながらも重めの60グラムのジグをアキラメ気分で

のったりノッタリ引いてると向こうから何か食ってきた!

大東島というところは来るときは来るもので、豊かな海。

ちなみに竿は最初に来たときから使っている投げ竿のチョイ改良版。

50センチ手前のカマサーなど敵ではないんですが

カマスって意外に口がもろくて慎重に上げないとイケナイのです。

立て続けに2匹をゲットして、地元の釣り師の注目を集めたのでもう十分、

さっさと撤退しました。

そしてその後、名古屋から10年来通っている常連さんダイバー達と再会

でも、風が強くなり、曇ったまま、シケがどんどん進んでいき

生まれて初めて乾燥波浪注意報なるものを目撃したのでした。

どうりで、サラリとした風だと思った........でも爽やか過ぎてチョイ寒い。

これから帰路に着く前日、最終日までボーズが続いてしまうのでした.......。

「今回は、出だし好調やん」と関西弁で言う料理長の台詞に嫌な予感がしたのが

見事に適中して、苦しい苦しい10日間を過ごす事になるのです。


漁師も出られず、ダイバーも何も居らんと.......


常連ダイバーさん達から、毎日情報を聞いてイロイロあちこち釣り歩くけれど

大シケか島影のベタ凪しかなく、その間の頃合いの磯は浅くて釣りにならない

そんな状況にひたすらジタバタする毎日。

それに、水温が22度、去年より5度低い!例年より2、3度低くて

とてもお魚たちが元気出すような水温とは言えません。

磯に行っても小魚一匹いないようなことも何度もありましたし

京都から来ていた釣り人夫婦が西港で釣りをしていて

「餌も取りよらへんですわぁ、ほらぁ」とオキアミが鈎に着いたまま

上がってきたものでした。もちろん、撒き餌にも小魚一匹上がってきません。


だいぶ知人が増えたおかげで「釣れましたか?」の猛攻撃を浴び

不思議と知らない旅行者まで「釣れましたか?」攻撃を浴びせてくるわけで

ここが陸っぱりルアーの辛いところ。魚が居らんと釣れん、

居っても食い気を誘う条件がソロワンと食わん、これに尽きるのです。

で、シケのある日、風向きが変わってきたので、いつもの南西にある部長釣場の

隣りの磯を訪れてサラシを狙ったときの出来事。

竿は長手の4.8メートルの初代改造ロッド「風刃」で高めの波をかわして

岩場のちょっとした高台から釣りをしていて、

足元までルアーが来たから上げようとしたその時、

例の「ぐっ」という手応えが油断した手元を襲ったのです!!!

しかもその「ぐっ」は2キロクラスの「×5倍以上」(私的体感比)だったから大変。

糸はビューっと出るわ出るわ、魚の引きに引きずられて磯を転げ落ちるわ

やっと転げ落ちた先で落ち着いて、糸を止めようとドラグを絞め込んで

竿を立てた瞬間ズリッという感触と共に竿がビュンと跳ね返り、終わりました。

恐ろしい、長い竿に大きな魚はトテモ恐ろしい、しばらくは恐怖と

どうやってヤリトリしたら良いのか分からず、呆然としゃがんで

尻の痛みを和らげつつ波を見つめておりました。

そんなことがあってから、遂にお魚は最終日まで姿を見せなかったのです。