ICTとお茶の時間

 


パソコン教室を、生まれて初めてやってみた。

行った人は多いかもしれないが、やった人はあまりなかろう。

60歳以上限定、シニア向けICT講座である。

国の予算100%、ICT普及促進事業を活用している。

 

例によって、役場から丸投げ的な依頼なので、勝手にコンセプトをつくり、

マウスってナニ?という人を対象にしてある。

 

天城町はふしぎと何でも北部から実施する土地柄で

いざというとき、南部の西阿木名や三京は区長さんが不在とか病気とか・・・

結局北部の与名間から開始することが多いそうだ。

 

けれど今回はワケあって、

ひとつ南の松原西区集落(通称、マツニシ)から開始した。

 

こないだ完成した、14の宝の取材などもあってマツニシには

顔見知りがいてくれるおかげで、少し気が楽である。

 

といっても、

マウスも使えなかった方々に、

仕舞いの日にデジカメ写真をメールしてもらえるか

考えるだけで、連日食欲減退、ゲーゲー吐き気を催した。

 

11万の予算で作ったページは軽く50ページを超える。

楽しさのエッセンスを伝え、文字は少なく大きめ、内容は分かりやすく、

通常のマニュアルを読めば分かることは省略・・・

相変わらず、ひねくれたオリジナリティを追究してある。

教室では説明しないが、基礎知識的な読み物も用意した。

 

14の宝もそうだったが、メガネをかけずに読める、分かることが

とても大切であると思う。

 

そしてついにその日がやってきた。7/21、PM8:00

実はそれ以前に、マツニシ公民館で電源だのLAN配線だの

プロジェクターでスクリーンに映し出すだのといった、都会同様かそれ以上の

立派な?仕掛けをするのに、午後3時ごろから汗だくで作業してあった。

もちろん、仕掛け人の企画課長も手伝ってくれている。

 

ただ、夜の部ともなれば、彼は出血大サービス残業であって

とてもしんどそうであった。

ま、講義中は、ほとんどボーッと座って監視しているだけだが。

 

昼間農作業などをして、それから夜の2時間勉強・・・

島の生活にしては充実しすぎというか、無理しすぎなスケジュールだが

受講者はパソコン台数ギリギリの8名にのぼった。

 

ちょっとヤヤコシイコトを説明すると、目がウツロになり、

実際に操作してもらおうとすると、別のことを考えていたりする

60以上集団であって、8名でもかなりコクのある授業になる。

 

何といっても、方言主体の生活をしてきた方々なので

日本語が通じているか、カタカナ英語が通じているかすら未知数だ。

 

結論からいうと、マウス操作が一番難しいようだった・・・

このごろのマウスは私好みに軽くて小さいが、これがクリックするたびに

ズルッと動いてしまうし、ダブルクリックなど歩留まり30%くらいだった。

 

無論、右クリックに至っては、至難の業に近い。

 

これは重いマウスを使えば、なんでもないことだったし

エンターキーや、カーソル、タブなどを駆使すればできることだが

一点集中し、矢印を動かしてカチか、カチカチで全て操作可能!

というのが、コンセプトというか合言葉的なことにしたかったので

マウスで苦労したのは、少々意外というか、苦労であった。

 

ダブルクリックとか、ウィンドウとかそんな言葉は絶対に使わないで

カチとか画面とか枠とかいった言葉で全て進行した。

 

キーボードは、代用するソフト、KanaBoardを使わせていただいて

ともかくマウスだけでナントカナル!

と教え続けていたように思う。

 

幸い、女性団体会長の気丈な方も居て、彼女の声かけで集まった人は

学習意欲とは違うようだが、好奇心があってとても教えやすい。

 

ともかく、意欲はあっても

「覚えないで使うこと」を、

覚えて欲しいと願って授業は終わった。

インターネット、グーグルアース、デジカメ、メールを体験いただいた。

パソコンは車と同じ。

必要だから使うだけで、目的は農業とか送り迎えとか

ダンプ運転とか、ドライブ主体とかいろいろだが、目的優先だ。

覚えることを主眼にしたら、本質から離れていまうから

こういうふうにすれば、こんな風に使える道具、というのを体感し、

知っていただきたいのだ。

辞書を使う人が、辞書の中身全てを覚えることは、ほとんどないように。

 

やはり、60歳以上という落ち着いた人柄の方々であること

徳之島という土地柄であることからか、スイカとか、

ばんしろう+うこん茶や黒糖(こくとう)のお菓子を持参してしまうところが

とてもワキアイアイとして、授業で疲れた心身をほぐしてもらえた。

コダワリではないと思うが、そこに出てくるのは、必ず島ならではの

自分達が食べたいものである。

教室の最後に、片付け終わったら必ずみんなで顔を合わせて食べるのだ。

マチャラ(松原)には、ユイワーク(標準・天城町島口?で、ユイワク)の

心が生きていて、みんなで協力してキビ刈りしていたころと、

同じ感覚なんだろうと思う。

島人の絆が、自然に強くなるのはこういう積み重ねのためのよう。

 

参加料は無料、皆々様の税金を使っているものの

インチキ講師?に礼をするほどのことかどうか・・・であっても、

さすがは島の情け、小さいつづらを4つ用意してあった。

 

このごろ売り出した、島の美味しいフルーツと惣菜をセットにした

「ふるさと便」だという。

パッションと美味そうな佃煮や、豚味噌が入っていて、嬉しい逸品揃い!!!

島に住んでみると、この豪華さ、貴重さが分かるのだが

観光客にしてみれば、なんかよく分からない地味な商材かもしれない。

 

路地物の一級品パッションフルーツ、その辺に生えているとはいえ

丁寧に灰汁抜きされたツワブキや、黒砂糖と勘違いされやすいが

手間暇かけて仕上げられた、ホクホク柔らかくコクのある純黒糖などが

満載されている。

もともと島は野生のものを使うので、灰汁抜きなど下ごしらえに

とても手間のかかる素材が多いが、それが普通だと思っているので

すごく丁寧に作っているのに、評価されないことが多いように思う。

外の人間には知らされず、島人お互いは常識・・・のようなギャップ。

 

閑話休題

 

パソコンの片付けや運搬も手伝ってもらったのに、

そのうえ頂き物とは恐縮至極にもホドがある。

 

遠慮もしないが、気前もいい・・・島の付き合い方の基本のようだ。

これなら何もかも円く進みそうである。

内地の引き気味な付き合い方とは、カナリ違う感じがする。

 

ま、それもこれも、企画課長のお陰様であるのだが。

 

ともあれ

エアコンなどありはしない公民館で、2時間の教室を終え、

冷え冷えの、ばんしろう+うこん茶を飲んだときは、ヌチグスイだと思った。

が・・・次の瞬間、なにこの煎じ薬!?とも感じた・・・(笑)

奄美方面にはヌチグスイ(命のためになる薬)という言葉はない。

グアバ茶だろうということは分かったが、自家製でウコン入り!

どんだけ凝ったら気が済むのだ!味を考えたまえ!とツッコミたくなる味。

地元でも、ばんしろう茶といえば眉をしかめる人もいる味わい・・・

でも、疲れて熱くなった体には、とても優しい味に思われた。

 

もう、お分かりと思うが、島にはグアバがアチコチ自生していて

ばんしろうと呼ばれている。

ちょっと北斗神拳とか使えそうであるが、そうでもないようだ。

 

パッションフルーツ風味の桃・・・のような味がする。

BB弾の一歩手前くらいの、硬いタネが多数入っていて、

かなりわずらわしい水菓子。

当然、タネはだせないので、明日排出する感じだ・・・

 

台風の前には、どこに生えているのでも、もったいないので、

もいで食べる習慣がある。

 

その葉まで、地元でしっかり利用しているようである。

 

さてさて

直前に、いろいろ頼んでおいた役場のパソコン担当N島氏が

インフルエンザと肺炎併発で休んでしまい、機材が良く分からぬまま

開始してしまったが、なんとか最初の集落は終了。

少々不慣れでご迷惑をおかけしたが、十分目的は達したと思う。

 

なか日、14の宝で共に仕事をした60一歩手柄のH山さんが

アイスをもって乱入し、強制的に休憩されられた・・・

参加しているのは更に彼の父である。

 

一本目のアイスの柄には、1ポイントの文字・・・

当たりじゃないの?ってことで、余っていた2本目をもらったら

3ポイントを記録!!!

これだけ当たったのに、もう無いのかよ・・・という一幕もあった。

 

まーなんだ・・・

これがパソコン教室という雰囲気なんだ・・・と信じることにした。

 

この先、まだ日程が決まらず、島のお盆はとても厳格だ。

いつになったら14集落をクリアできるのか分からないが

文字通り、悩んでも始まらないし、必ず終わる。

 

昼は暑いので、外洋の強い流れの中で泳いで紛らわし、

夜はパソコン教室のセンセーというのも悪くないかもしれない。

ただし、寝ているあくる朝、それを知らぬ知人が、

なにやら困りごとをかかえてやってくることをのぞけば・・・やれやれ。

 

ともあれ

Aコープで買い物するとき、またまた声がかりが増え、

それはそれで、また楽しからずや、である。


ではまた