33歳、旅の終わりに

今週は別のネタがあったのですが、今朝ほど最後のパッションフルーツを

食べ尽くした事と、ある筋から釣れた魚はどれほどだったんだ?という

リクエストをいただいたので、また小笠原系になってしまいました。

それにしても、33歳になってしまい、釣りを続けるべきか、奥さんを

釣りに出かけるべきかを、真剣に考えるお年頃にもなってしまったみたい。

やれやれ、それでもやっぱりお魚が気にかかってしかたがない.......。


小笠原で釣れたお魚ダイジェスト&うんちく

 

ギンガメアジ(20センチ程度)

本土で最もおなじみのヒラアジでメッキともいわれるギンガメアジの子供

悲しい事に、本土のものは死滅回遊といって寒さで死ぬ運命。

南国で安泰に育つ事ができると90センチ程度まで成長ができる。

メッキは味も良いので釣る人がおおいけれど、僕は食べた事なし。

メッキの群れの中には他にロウニンアジ、カスミアジの稚魚も混じり

みんなひっくるめてキラキラするからメッキ。

主として小魚を食べるので、ルアーやサビキも良く食べる。

南国では良く釣れると聞いている割には磯からは釣れない。

大きな群れを作り多少沖合いを回遊しているような気がする。

ヒラアジ系は全般に体高が高くて水中での抵抗も大きく

また、マグロ、カツオ、サバ系統に次ぐスタミナの持ち主なので

強いパワーが持続して釣り人をドキドキさせるので人気がある。

ちなみに通称ヒラアジとは、ギンガメアジ、ロウニンアジ、カスミアジ

カッポレ、ナンヨウカイワリ、シマアジのことで、通常のマアジも

マルアジと比較してそう呼ぶこともあります。

大物であるいわゆるヒラアジは肉食で1メートル以上の大型になる

そういうロマンのある平たいアジ類をさして釣り人は呼んでいます。

もちろん、普通のアジと同じように、皮を引く時に邪魔になるゼンゴも

随分シッカリと着いていて、それはもう大変。重いものはしっぽを持って

持ち上げる時に、手に食い込んで、親指の付け根を切ってしまうほどです。

 

ナンヨウカイワリ(40センチ強、一キロ程度)

その名の通りナンヨウに住むカイワリ系アジで、名前の由来は不明だけど

底に住む系統で、口が薄い皮で、更にコイみたいに伸びるタイプのアジは

シマアジ以外、おおむねカイワリという名前が付くもよう。

本家カイワリ、インドカイワリなど。

味はハマチの身に多少張りをもたせた感じで結構おいしい。

スタイル的には、超高級魚シマアジにソックリだけど色違い。

体の側面に入る黄色いランダムなハンテンが特長で、伊豆諸島アタリでは

メジナ(グレ)の外道として、オキアミの餌にかかることが多い。

これまた最大1メートル近くなるので、ナメテはいけないヒラアジ。 

 

ヒレナガカンパチ(123センチ、18キロ相当)

本家カンパチよりやや熱帯寄りに住むカンパチの兄弟分。

住む場所もやや南方というだけで、同じ場所でカンパチと混じって釣れるなど

ほとんど同じ生活をおくっている。伊豆諸島以南で釣れ、色がやや茶色っぽい

体高が高い、そして何より背ビレ、尻ビレが長く、先のカイワリ、メッキ同様

ヒレの前方がカマの様に伸びているので一目瞭然。

同じアジ科のヒラアジ系同様パワーが持続し、根(水中の岩)をすり抜けて

逃走する技も同様なので手強い相手。

ただし、アジ科といってもヒラアジのように体側に硬いゼンゴはなくて

素人には、カンパチだか、ヒラマサだか、ブリ(ハマチ)だか見分けるのが

とてもメンドウなお魚でもあったりする。

味はカンパチと同じ、けれど南方のカンパチ、ヒレナガカンパチは

脂がコッテリとは乗らず、南方のマグロ同様、トロは存在せず。

加えて60センチを超えると大味であまり美味しくなく、刺し身よりは

醤油に漬けてトッピングする島寿司や焼き物、切り身のミリン干し

タップリのバターでつくるステーキなんてのが良さそう。

が、伊豆諸島など、高緯度、低水温で釣れるものは、大型でも結構美味しそう

流石はヒラマサと並んで、ヒラメを凌ぐ高級魚だけのことはあると思われる。

最大は2.5メートル以上で80キロを超えてくるけれど、実にマズそう。

 

アオチビキ(62センチ、2.3キロ)

上品な白身で定評のあるフエダイ科の大型魚、沖縄では「おーまち」で

お刺し身用としても人気、脂はあるけど身はやや締まりがなくて柔らかめ。

味覚的には大味のイサキという感じだけど、出汁は結構出るし

クセも全くないのでウシオ汁向きだと思う。

最大1メートルを超え、鋭い4本の歯が上下にあるから、ルアーに着いた傷で

見当が付きやすい魚種の一つ。

島の人に聞いたところでは、小笠原での呼び名が「とど」らしい。

尾ビレの付け根が細い事、カマのような尾ビレから見ても、白身魚なのに

カンパチのようなスピードとパワーを備えるも、スタミナはあまりない。

見た目は引っ掛るけど、釣り味、食味とも悪くないお魚なわけ。

 

バラハタ(40センチ程度を三匹)

ハタの中でも一際目立つ色合いの一種。一様に美味しいといわれるハタ類も

南方の浅瀬に居るものは、往々にして身が柔らか目なので、冬はお刺し身用

夏はフライ用となる。こいつも1メートルを超えるすごいやつなのだけど

好奇心と食欲が旺盛すぎて、どんな魚よりも早く釣れてしまい、あっという間に

釣場から姿を消してしまう悲しいタイプ。小笠原名は「ちぎ」。

通常はシガテラ毒を持つので、毒魚として流通はしないため

食べられる島でしか味わう事のできない、通を超えた釣り人独占のお魚である。

シュノーケリングでもうろついているところを目撃するけれど、ハタ類には

珍しく、遊泳性が強くて、岩陰にこだわらない積極的な生き方が印象的。

 

タイワンカマス(40センチ弱を二匹)

見かけはカマスそのもので、やっぱり1メートルくらいになれるタイプ。

脂が乗りにくいけれど、一夜干しにして焼いて食べると美味。

くせが無くてきめの細かい白身は本土のカマス同様。(大きくなる分、大味)

バラクーダこと毒のあるオニカマスより、更に浅瀬が好きみたいで

珊瑚礁のでこぼこした湾内でも群れが入っている事がある。

つまり、一匹では済まされず、連続して釣れる事が多い。

歯はするどいけれど、口が細いのと口の周りの皮が柔らかいので

鈎が抜けやすく、竿を寝かせて大切にやり取りする事がコツ。

ただ、ルアーはすぐにボロボロになるので、安いものがよろしい。

 

オキザヨリ(70から100センチ前後まで数匹)

今回はしっかりとダツと見分けられる撮影ができた。目とエラの間に縦線が見える。

これがオキザヨリの紋章ともいえる模様で、ボラのように普段はその辺をウロウロと

泳ぎ回っていて分かりやすい。歯は鋭くて、ルアーがカッターで引っかいたような

傷をおってしまう。上げたら上げたで細身の体を振り回して暴れまくり

どっちにしろルアーが傷つく付き合い方が難しいお魚でもあるけど、

真っ昼間でも構わずルアーを追って来るし、掛かったらジャンプして

チビのカジキみたいにファイトできるのでカナリ楽しい。

大きさも1メートル前後で、細くても1キロ近くあり結構引きが強い、

というのも、同じダツ目のトビウオ科トビウオを食べるだけのことはあって

瞬発力、スタミナはカナリのもの。とはいっても痩せ型なので地力はないわけ。

細目の仕掛けに、歯をかわす太めのハリスで楽しむのがいちばんよろしいかと。

兄弟ぶんのテンジクダツ同様、あまり食べる事はないけど、一夜干しにすると

結構食べられるし、今度は大東でお刺し身を作ってもらおうと思っているところ。

餌を追跡するときの、水面を縫い付けるようなジャンプはとても美しい。

最大は1.5メートルくらいまで成長するらしい。

 

カスミアジ(85センチ、8.4キロ)

南国のルアーでもっともポピュラーなヒラアジで、エメラルドグリーンメタリックの

ボディーに、コバルトブルーのヒレを持つイカツイ割には美しすぎる魚。

(写真は老成魚のため、色はかなり褪せています)

これまた最大は1メートル程度だけど、最近は80センチなら大きいほう。

今回は特別に死後の硬直前に食したため、異常に美味しかったけれど、

通常は50センチくらいが脂も乗ってきめも細かく、一番美味しい。

味はカンパチと同じだけど、やや磯の香りが強く、ハマチよりずっと腰がある。

水面のポッパー、水中のミノー、高速で引いているジグのどれにも果敢で

追ってきた時はコバルトブルーの閃光が水中を走るので良く分かる。

シュノーケリングや釣りで、まず最初に見かけるヒラアジはこのカスミアジが多く

浅い珊瑚礁周辺を好んで回遊しながら、小魚を追いかけている。

僕はこの美しいヒラアジを見たために南国のルアーが止められなくなった。


俗に、南国のお魚は不味いといわれマス。しかし、北にいるお魚で美味しいものを

10種類以上上げられる人は、とても少ないと思いますから、北だから美味しいという

そういう論法も通用しません。

美味しい魚はそう簡単には食べられない、それは南北とも同じこと。

美味しい魚を見分けるチカラを持っている人こそが美味しいお魚に出遭えるのでは

ないでしょうか?ちなみに、近所の南日吉商店街にある魚屋で特別美味しいお魚は

滅多に無くて、通常はサバ、アジ、イサキ、脂のないマグロ、小さなアカイカ、

養殖のハマチ、ヒラメ、カンパチ、マダイやアユ、ウナギが並んでいます。

季節によってホンの希に入るホウボウが唯一「美味しい」と呼べる程度ですから

本土にいても余程気をつかわないと美味しいお魚には出遭えない時代なのでは?

釣りでは、そのお魚の生態にふれ、体力にほんろうされ、パワーになき、

大胆さにドキドキできるので、味わう前にも随分と得る物があったりしますね。

けれど、本当に美味しい魚は、自分で釣ったお魚。

感激とともに食べるお魚にかなう味は他にないと思われますから

自分で釣って食べてみるのも、グルメの一つといえるかもしれません。


島では、あくせくとするのが嫌なので、のんびりと釣りもしてましたから

数はそれほど釣ってません。それに冷凍庫にも貯まるほどの収穫がありましたし。

 

会社では原寸大デジタル魚拓と称して、写真を原寸大に拡大してモノクロで出力し

張り合わせて再現するという手間ヒマかけた細工に興じたり、パソコンが起動する

画面に、例のカンパチを持った記念撮影をだすなど、小笠原が息づいております。

こんなに好きなお魚を殺すのはいつも心が痛みますが、味わう事もまた人間として

必要なのではないかと思っております。

釣りをしない方は、旅先で急きょ釣り人と仲良くなってしまうと、貴重なお魚が

食べられるかもしれません。いくら通でも食べられない、漁師の獲れにくいお魚に

案外簡単に出遭えるかもしれないから.........。

しかし、釣りはお天気マカセ潮マカセだから、期待しすぎてもだめでしょう。

さて、次週は普通の記事にもどれるかどうか、どうなりますことやら。


ではまた