小笠原は終わらない

小笠原、母島総集編


初の離島でのホームページづくり、更新、そして最大釣果までも

夢から現実に変えてくれた母島での生活も終わりました。

お出かけ前の意気込みとは別に、ゆったりと時を刻む島には

多くの出会い(人も魚も)があり、釣り、登山、シュノーケリングと

ちょっとだけバード&リザードウォッチング(鳥類と爬虫類)を楽しんで

もちろん、普段味わえない涼風の吹き抜ける畳の部屋でのお昼ねも加え

二十日という時間をとても長く長くなが〜く過ごしてしまったのでした。

 

リュック一つと竿入れという、いつもの旅のスタイルのまま

27時間を超える船旅の果てに現れた、至って秘境の孤島、母島は

人口400人の島でも民宿多数という観光とビジネス客を抱える

地場産業に乏しすぎる、ホトンドが建設と役人という成り立ち。

固有の文化を感じにくいけど、亀を食べるところが目立ったところかな。

ちなみに小笠原は大東と同じ八丈移民で、八丈太鼓をベースとした

太鼓も人気で同好会も男女を問わず会員も多く随分と盛況なのでした。

 

島自体は、火山活動によってできた、礫(砂利とか石とか)を含む

もろい地層でできていて、大雨や台風のたびに崩れてしまう貧弱な地盤。

しかし、沖縄本島以外の島々みたいに平たい島ではなく

山がイキナリ海に突き刺さるような地形で、道も細くクネクネ

集落も坂道だらけで自転車も、電動アシスト必須だし

バイクも、坂が急でカブでは変速が大変だから原付が主流。

ジャングルは深くて、しめっぽくて、足場も悪くて、歩くと汗だく。

けれど、虫がほとんどいないので、山沿いでも窓を開けて寝られるほどです。

植物は固有のようで固有ではなく、鳥類とカエルのみ亜種が見られる感じ。

爬虫類はアノール(発音で聴き違えたがアモールではなかった)という

トカゲやイモリ、カエル(固有種と外来種)くらいで、蛇なんかもいない。

もちろん、森で最大の哺乳類は野猫(野良じゃなくて、野性化した猫)で

外来と思われるネズミもシッカリと森にいる。

鳥類は、のべつ亜種になっているようで、ヒヨドリ、ウグイス、カラスバト、

ノスリ(とんびみたいなやつ)、イソヒヨドリもそうかな?

有名な固有種として、ハハジマメグロがいて、これが頼みもしないのに

寄ってくるという変わり種、好奇心旺盛で顔つきは聖飢魔U的な隈取りの

恐いパターンが入っている割には仕草も可愛い、憎めないやつです。

海は外洋とは思えないくらい静かになるけど、大東と同じで台風に人気

荒れたらしばらくは濁って大変な土の流れやすい土と、沢に影響を受ける。

漁業では主にハマダイ(200キロ南の硫黄島方面へ出かけるらしい)とか

小笠原に多い中型のハタのツチホゼリに、大東でもお馴染みで島寿司の材料

オキサワラことカマスサワラ(2メートルを超える)とカンパチ、ヒラマサ。

ハマダイとツチホゼリ以外は格別美味しいわけではなくて残念。

島の周囲ではその他に、ナンヨウカイワリ(シマアジに似たヒラアジ)や

30センチもあるメアジ(普通のアジより目がでかいからこの名がある)、

釣るとパニクってウンチをブリブリして臭いミナミイズスミ、

沖縄なんかでは毒魚として名高い、小笠原ではチギことバラハタ

これまた毒魚として名高い、オニカマスやバラフエダイが釣れて

食用として定着しており、このあたりは南大東とよく似ている感じ。

ということは、思ったよりも珊瑚礁が発達しにくいお土地柄のようで

珊瑚礁が少ないと、餌になる毒のあるカニ類が少ないためか、この手のお魚も

毒が無くて食べられる地域になっているという仕組み。

 

島に行って楽しめる事は、解禁直後のダイビング、ホエールウォチング(冬場)

シュノーケリング、暑くて苦しい山登り(小笠原最高峰の乳房山)、

雨の後の光るキノコ、グリーンぺぺ見物(夜)、メグロ探し、

いい加減な割に高い料金の沖釣り、沖磯釣り(チャーター料金だから高価)や

秘境っぽい悠大な景色、不思議に数十メートルの高さでもできる雲も手助けして

透明な空気と水と山のコントラストは必見です。

平島や向島といった美しい離れ島へ行くのも、菊池さんという多分漁師さんが

片手間にやっているだけなので、人数を稼いでチャーター料金を安くする手だてを

自分で考えなくてはイケマセン。島ではすべて自分がおぜん立てする事こそ

全ての楽しみにつながるのです。甘えていたら金をせびられるだけ。

 

旅の目的は大きく3パターン、釣り、ダイビング、そして何となく小笠原だから。

釣り人は少なくて、ダイビングも始まったばかり、バイクより高い三点セット

(シュノーケル、水中眼鏡、足ヒレ)のレンタルがあるのでチョット泳いで楽しむ

というのが多いみたいだけど、バイクが一日3000円(二日目から2000円)で、

三点セットが一日3000円。

食事と宿が大問題で、観光協会の寄せ書きにも文句がかなり記入されているわけ。

外食は都内で食べる相場より更に高く、料理の腕が悪いので不味いし

お弁当を作ってもらうと更に高くついてしまいます。

沖縄では料理人が余っているので、流石に不味いとすぐに廃業なのか

それほど不味くて高い店は存在しないから、同じノリで小笠原では要注意。

(安くて不味い店は、ソコソコ離島には存在する)

で、山に登ったり釣りをする時に、山頂や沖磯でお弁当をと宿に頼むと

メンドウなので、おにぎりでも嫌がる始末。多分、ギャルが笑顔でお願いすると

一発OKだろうけど。欲望に満ちた人間模様が良く出ているので、それを利用すると

大変美味しい旅ができるわけです。ああ、釣り好きのギャルに生まれたかった.......

宿での晩酌も考え物で、大瓶一本800円ときたもんだ!父島は700円とか。

常に自販機で発泡酒の淡麗生でも買って持ち込むのが一番よろしい。

もちろん、汗をたっぷりとかいた後は、量を増やして500ccがオススメです。

体を動かす事が最大の調味料、発泡酒でも十分美味しく感じるはずです。

料理の方は宿によって千差万別(それほど宿はない)だけど、ママヤさんは

量があるみたい、でも波照間でもタマシロという妙な量で勝負の民宿があったけど

食べきれないほど出るのも問題。今回は、たまたま、エアコンが無いので選んだ

旅荘「御幸」だったので、おばちゃんの作る手料理は島情緒タップリ、

何故かというと、宿の周りが畑と果樹園状態になってて、そこで栽培したものが

食卓に出るので安心で、しかも地のものが食べられるわけ。

聞いた話では、父島ではホトンド魚がでず、冷凍の輸入物(南米産)だったりと

悲惨な模様。めんど臭い事はやらず、手軽にもうけたいという姿が見えて潔い姿。

よかった、父島へ行かなくて。

で、御幸でも釣ったお魚は嫌な顔をされ、自分でさばけば......なんて言われた

けど、一度オバサンとしゃがんで、僕の釣りの仕方と魚の処遇について話し、

本土へ持って買える事もないし、宿の皆で食べたいのだと伝えてから

少しづつ付き合いが変わって、お互い素直にお魚を食べ、お客に出すという

ごく自然なスタイルが実ったのでした。

したがって、ほぼ毎日、自分で釣ったお魚が食卓に上っていて、時折島の魚を

オバサンが買って来て食べさせてくれて、リクエストしておい高級魚ハマダイも

登場し、他の宿では絶対でないらしい、自慢の島寿司が僕のカンパチバージョンでも

登場して、お客が入れ替わるたびに、随分島寿司を食べたもの。

他では食べられないという客の言葉に、勢い人気メニューと化して連発するところが

分かりやすくて可愛い。でも量的にはカナリアって、見た目よりお腹が膨れて

最後まで到達するのが大変なの。面白いのが、オツユで、必ず島寿司の時は

ニラに溶き卵の吸い物じゃなくちゃイケナイそうで、確かに合うんですよね。

タイミングを見ては2度に一度は確実にルアーで釣るので、終いにはオバサンも

「あんた、けっこう釣り、ジョウズだわぁ」なんて言ってたから

島の人って大き目(10キロまで)のお魚が釣れやすい事をあまり知らないみたい。

釣る人が居ないから多分ルアーでも釣れるんじゃないかな。

結局、客が釣ってさばいた魚を出しつづけたので、オバサンもついに改心し

差し入れのビールやパッションが登場するなど、ようやく人としての付き合いとなって

こっそりと、自家製パッションジュースと、またまた採れたパッションフルーツを

持たせてくれて、見送りにまで来てくれたのが、とっても嬉しい。

最初はカンパチをさばいてくれたサイトウさんと「だめだわ、あの民宿わぁ」なんて

言ってたんだけど、確かに癖のあるオバサンと、腰が悪いけど話好きのオジサンは

ちっともサービス精神が無いので、正直がっかりでした。

こういう宿こそ、慣れた者勝ち!人情が無いんじゃなくて、面倒なだけだから

時間をかけて、こちらも協力すればやっていける!そう思って居続けしたカイがあった。

それに、勝手に釣ってきた魚に、食べたお客からお礼を言われる事も多くて

なんだか相当人情尽くしで気分の良い旅になってしまいました。

そうそう、コインクーラーもなく、ただ、扇風機だけの宿も悪くなくて

外に出るのもだるくないし、風邪も引かない、どうせ虫の少ない島なんだから

窓を開けて寝られるほうが気持ち良いのです。

風通しの良さそうな宿にすると、心地よい爽やかな風が部屋を抜けて

落ちてきそうなほどひしめいている星空を見上げながら寝るのも乙なものです。

 

船旅の方はいかんともし難く、行きの船はそれはもう病人船か奴隷船状態

帰りの船では、だれしも知人ができてしまっているので退屈知らず。

釣りや島の話題であっという間の丸一日航海となります。

 

最後の一踏ん張り、パッションで重くなったザックで山手線から東横線で家へ

午後四時なので、まだ人も少なく、大迷惑な大荷物も無事に輸送できました。

ただし、船着き場から家まで背負ったままでしたけど........。

やっぱり行く前より筋骨が強くなっているので、全然平気で、行く時の苦痛が嘘のよう

また、元に戻ってしまうのが残念ですが、また旅に行って強くすればよろしい

ということで、横浜ダラダラ生活が再開しています。

 

さて、島の生活は釣りに山に、シュノーケリングに鳥に昼寝にと

普通に楽しい日々を過ごして、頭が真っ白になって、リフレッシュは200%完了。

チョットくらいでは、もとに戻れません。

そうそう、記録となったお魚の記念写真ができました。

昨日、行き付けのお見合いサービスまである、過剰おせっかい酒屋コトブキの

奥さんに見せたら、異様に興奮して、お魚がでかすぎたのかショックだったみたい。

たしかに、自分でも結構デカイと思います。一人でよく上がってもんだ........。

一生心に残るお魚でしょうね、これは。

他にも島から紹介していない写真があるんですが、それはまたの機会に。

 

雨が多くて、買い出しや洗濯が思うようにならず、食事も面倒で思うように

材料を見てもレシピが浮かんでこない.........。

包丁さばきだけは全然衰えてないんですけどね。

 

JALのマイルも貯まったし、次の旅はどこにしようかな?

今度は一月先の夏休みに向けて予定を練らなきゃ。


ではまた。