〜さあ、帰ろう


今朝の4時からの釣りをもって、今回の母島での生活はほぼ終了。

妙な船が一隻だけ僕の出撃よりも早く港を出ていったので

結局港の周りは大型魚の反応も出ないまま、納竿となりました。

 

さて、明日の朝の母島丸でいよいよ本土へ復帰開始します。

いろいろあったけどおおむね楽しい毎日、気持ち良い日々

風のように通り過ぎていった四航海(船便による滞在表現)の記憶は

まだ思い出にはなっていませんが、すぐに思い出に変わっていくでしょう。

 

セール品尽くしだった記録更新釣り具達、水温が低くて漁師も嘆く海

もちろん、泳いだって冷たすぎる海岸、垂直の日差しに不思議と涼しい風

畳の部屋、扇風機、耳は遠目だけど話好きな宿のオジサン&オバサン

壊れてしまった水中カメラ、一度も使わなかったGPS、臭くて旨いカメ料理

沢山もらってしまった小さ目のパッションフルーツ、

魚を釣った時にこっそりと出てくる宿の差し入れビール

食べきれないほどでかくて、毎日朝からも食べたカンパチ

苔むしたまな板、さびた包丁、藻のついた漬物桶で洗った魚の切り身

穴をほって埋めた魚達の骨、森では目ざとくついてくるメグロ

たった今、オバサンからごちそうになっている特製パッションジュース

不自然に黒くなった手の甲、甘くて食べれずまだあまっているオレオ

いつも部屋にぶら下がった洗濯物、いつも聞こえる鳥の声

宿や釣場や港で出遭った人達、フェスティバルに返還祭、今夜の花火

ミニ秘境的な大自然、畳に寝転ぶと刺してくるダニ、噛んでくるアリ

昼下がりのお昼寝、そして、このどこでも〜ているの制作

お世話になっている方からのメールのやり取りなどなど

いつしか、ほとんどが記憶の奥の方にたたまれて行く事でしょう。

 

旅の空のもとでは皆自然に友達になり、また自然に別れて帰ってゆく

最後の試練の26時間航海を終えて、普段の生活を目指して。

とてつもなく長いようで、ほんの静かな夏休みみたいな、不思議な六月体験

今度はいつこんな旅が、島の生活ができるのでしょうか?

まったくわかりません、しかし、きっとまた帰ってくるでしょうね

誰にはばかる事もなくて、忙しくもないけれど、やる事は山ほど、

のんびりと毎日が遊びで冒険、頭の中は天気と暑さと釣りの事と

今日の遊びは何をしようということだけで十分。

 

こんな、何気ない生活なのに、一生のうちに数えるほどしかできない

楽しくはかなく、心地よく行きられる瞬間。

 

父島には、飛行場ができてからでも来ようかな

その前に、もう一度、母島へやってきて、居続けがしたいなあ。

 

やがて部屋に散らかった品々はザックに戻り

明日の午前にはこの部屋も元の空っぽになり、僕のいないいつもの島になる。

面倒見の良すぎる酒屋の夫婦、話に捕まってしまうクリーニング屋の奥様方

病気がちなのが普通のE氏、混雑と排ガスのためにある街道、乗らなくなった車

眠り続ける釣り具達、狭い1Kの部屋、カーテンを開けると向かいの家が迫る窓

横浜にあるのは人情とホコリっぽい町並みと釣れない海。

だけど、ここでまた愉快に働いて働いて、夢を、資金をため込んで

またいつか次の旅先生活が待っている。

多分、一番長い旅、多分、これ以上ない自由、多分、二度と戻れない島。

 

母島に来た長男はまた少しだけ何かが変わり、次の旅を目指します。

今回もいろんな工夫と、空振りとガッカリとドキドキがあり

次の旅がまた一層むやみに「濃ゆい」物になるよう、日々こだわりと

憧れと好奇心を持ち続ける事で、母島生活への感謝の意としたいと思います。

 

この何日間か「どこでも〜ている」をご覧いただきありがとうございました。

今回は無事、島からの生活をお目にかけるにつけ、見苦しい点や

つまらない点など多々あったと思いますが、本人は結構満足しており

壊れるまで撮り続けた写真や、ダラダラと撮りまくったビデオテープなど

しばらくは母島から心が抜けられそうにありませんが、運が良ければ

今週水曜日からまた「週間〜ている」を続けていきますので

またそちらをよろしくお願いいたします。


ではまた