鳥の楽園にもどり梅雨


竿にリール、水中眼鏡にシュノーケル、水中用カメラ、そしてビデオ。

テンコ盛りの滞在に、どうも人間ってのは何か一つに絞りたいらしい。

実際の所、釣りができない時や気が向いた時は他の事がしたいし

ムキになって釣りをするだけというのも味気ない気がして集中はしない。

本日は最もお手軽な東港の防波堤に行ったけれど、ダツだけがジャンプ。

逃げているのはミズンかメアジかトビウオの子か?

雨が時折降ったり、太陽が照ったりと不安定な天候続き。

梅雨前線が大陸の高気圧に押されて小笠原に来てしまったのだ。

うーん、計算通りだったはずなのに、今度は梅雨男かよ.......などと

考えながらキャストする。

ルアーを追う気配は全くなし、いつもと違って執念のない釣りだから

ヒョイと切り上げようとすると、原付マシントラブルのニーチャンが

どういう訳か僕に迫ってくる!!!よせ、俺は何もしてないじゃないか!

え?同じところでバイクを借りてるから???それがどうした!!!

ましかし、長男という事もあって困った人を捨てては置けず

離島でのバイクをめぐる数々のプライド失墜事件と経験をかえりみつつ

エンジンをかけてあげる事に。どうもプラグの着火が悪くてかからない。

キックではスカばかりでかかる様子もなく、かろうじて回るセルで

無理矢理まわしてタイミングをはかってアクセルを開くとかかった!!!

ここでかからなかったら立場はない、それに集落までは車で30分。

やれやれ、助かった。(助かったのは僕じゃなくてニーチャンだ)

さて、釣りがつまんないので、地元の怪しいオジサンが教えてくれた

西浦へ行く事にして入り口を発見。しかし、山の中腹に入り口とあり

はるか下のほうに海原が広がっている。他に入り口はなく、雨上がりの

道を降りていくと、途中から道幅30センチになり、ズルズルとすべる

赤土の斜面になってしまった。これでは50メートルはあろうかという

高度差を考えるとこの先の危険性は高すぎる。と、鳥が鳴いてついてくる。

ピーユ、ピーユと遠くで聞こえてるのかと思ったら、声が細い。

よく見ると必ず正面に回り込んでこちらをのぞき込んでは移動していて

好奇心が旺盛なようだが、その鳥こそ、この島にきたら絶対見るべき鳥

「ハハジマメグロ」だったのだ。メジロと同じく数羽の群れで移動し

好奇心も旺盛で、初対面なら1メートル以内まで接近してくる怖いもの知らず。

バイクへもどるとシートの上にも2羽がとまって調査している。

実に几帳面な好奇心で、爽やかな気分になるのは、自分に似ているからか?

鳥にしては天晴れな心構えである。大きさはメジロより大きくてスズメくらい。

黄色い身体だけど、目の周りにバットマン風のキツイ黒が入っており

しぐさはとっても可愛いけれど悪人面であるところが尚可愛い。

すばしっこく細い枝にぶら下がったりできて、森のシゲミからは出る事がない。

だから撮影は好奇心の先読みをしてフラッシュモードにし、目の前の枝に

誘導してから撮るのが定石。結構引っかかりやすい連中なので、そこらにある

メグロの写真はかなり撮りやすいほうだと思った。ただ、ビデオは至難で

ピントがシゲミの中ではどこにも合わず、鳥を追えないし、被写界深度が

稼げないので10メートルから2メートルを操作のし難いダイヤルとピンぼけな

液晶ファインダーでは全く不可能で、ビデオとはとぼけた機械だと痛感した。

色彩も再現性が高いはずなのに、逆光を浴びると見る影もなく色落ちする。

普通のビデオなら逆光補正がついているけれど、キャノンのにはついてない。

これはキャノンの設計が逆光に非常に弱い事を象徴しているようで

プログラムモードでマニュアル操作に入り、露出ボタンを押して、ダイヤルで

絵を見ながら操作するのだが、そんなことしてたらチャンスは行ってしまった。

しかもこのプログラムモードはプログラムとは名ばかりでメモリーしない。

だから次に起動したら、前の設定は全部やりなおし。やる気あんのか???

あれだけ発達している一眼レフの技術が微塵も感じられないのがスゴイ!!!

フォーカスもコンマ5秒くらいかかってしまい、鳥は居なくなってるし

スイッチ入れてから数秒は使えないし、録画ステイタスの電池マークや

モードのアイコンが画面にあるので、邪魔になって仕方ない。

少なくともカメラでは画角の中に要らない表示をこれだけする物は存在しない。

操作面ではカメラ風にできているけれど、カメラの機能は一切ない。

カナリ憮然として森をさまよいながら、それでも撮り続けるうちに

偶然撮れるに違いないから、歩くしかない。

なんだか、せっかくのチャンスを逃したせいでビデオの評論になっちまった。

そうそう、ウグイスの声がケッコウ多いのだけれど、これが本土とは鳴き方が

ちょっと違う。「ホーーホケュ」と最後の切れのいい「ケキョ」がないため

尻すぼみなのだが、そのためか谷渡りである「ケッ、キョッ、ケッ、キョッ」とは

鳴けないかと思いきや、キョッ、キョッと鳴く事ができたりする。

加えて何度も長調を短調を切り替えて高く低く鳴くし、ホーホーホーホホッと

途中で止められて気色悪い思いもさせられたりする。

ちょっと音痴っぽい感じで好感が持てる気がするけど、こいつを目撃するには

根気が要るのだ。渡ってくる方角を読み、待ち伏せするしかない。

幸運にも目の前で鳴くシーンを撮影できた!!!のだが、幸運中の災い

ビデオがピントを合わせられなかったのである、1秒以上も.......。

ぼんやりとしたウグイスのお尻が写っており、12ビットのデジタル高音質で

音声だけは明快に収録されたのである。音声にピント合わせがなくて幸いした。

どうも、このウグイス、種類が違うらしい事が分かった。

「ハシナガウグイス」といってクチバシがチョット長めらしいけど

全然そうは見えなかった。

一番気になっている太い口笛風の派手な鳴き方をする鳥がいるのだが、これは不明。

必ず低木のシゲミの中で鳴き、姿を捉えられないし、警戒心も強い。

けれど自己顕示欲は強くて、鳴き声は自信に満ちて太く、大胆だ。

いつかキット撮影してやるぞぉぉぉ!!!

あと、釣りに集中している時に隙をついて突如訪れるカツオドリも未撮影。

28日の便まであと二週間もある。ゆっくり構えて待つとしよう。

日本列島が晴れている間、こちらは梅雨に逆戻り、なんてこった。

濁ってシュノーケリングもできないし、朝方は寒いくらい。

聞く所によると水温は思った通り低いらしい。磯釣りも2個所くらいしか

やる場所がなくて、後はロッククライミングしないと行けないそうだ。

明日は日曜日だし、地元優先デーだから、当面磯はお預けだ。

やれやれ、次は何して遊ぼうかな。とりあえず、行かずにとってある南方面へ

行ってみるとしよう。


ではまた。