最南端と季節風とカメさんの二日目


初めての朝はこっそりと5時に起き出して

昨夕声をかけておいた朝一番のバイクを借りて港へ。

バイクは思いのほかボロくて他のきれいなバイクとは違い

エンジン音もすごいし困り者。

 

それでもヘッドライトが付くのでラッキーである。

港は思わぬ干潮で突堤の下のテトラがむき出しになっていて

水深も昨日来たときに見た海より1.5メートルくらい低い。

 

おまけに風も強い。

 

初めてのインターラインの竿をおろし

キャスティングしてみると、これがまた弾道がおかしい。

ルアーは根掛かりを警戒してフローティングの18センチ

今回試しに買ってみたK-TEN175である。

重心移動タイプで良く飛ぶハズだから、投げ方が悪いのか

竿が悪いのか、飛ばないのはおかしい。

どうもしばらく重たい仕掛けは使っていなかったので

タイミングが合わずに飛ばないらしい。

人それを「腕がなまっている」というのだが

しばらく投げていてだんだん飛距離が伸びて感じを取り戻した。

取り戻しはしたが、魚は来ないし姿もない。

昨日あれほどいたイワシさんも姿がなく

着々とスガスガしい夜明けを迎えてしまっている。

11月の季節風がこれほど強いとは予想もしていなかったし

港の正面にある西表島もズイブン大きいものだ。

そういえば西表島は本島を除くと沖縄最大の島であったのだ!

 

島であったのだ!が魚も来ないのだ。

 

仕方なく朝ご飯を食べに戻ると朝飯はいたって豪華で

これは大東島の朝ご飯より相当イケル!

おかず量も多く、味もまあまあで

味噌汁と油物一品と卵だけという大東朝定食に比べたら

今日一日の活力たるに値する価値ある朝食である。

波照間に来てようやく二つめの満足が得られたのであった。

 

活力を満タンにしたら、朝のシャワーも欠かせない。

 

釣れようと釣れまいと大切なことはあるものだ。

 

で、身も心も清めてから、あらためてバイクを借りに行く

と?

あれ?あのバイクは .......???

「あのバイクに乗って行ったんですかぁ」

「あれは私らが買い物とかに使うヤツですからぁ.......」

という

朝二度目の予想だにしていない事態が起きたのだった。

 

じゃあ、あのスゴイ音も

ガタガタのブレーキも......

 

それは置いといて

「あ、そうかぁ、朝出しとくんでしたっけぇ、バイクぅ」

「忘れてましたわぁ」

 

「え、あ・の・・・・・・・・・・・・・・・」

まことにもって甘えた島のできごとである。

 

とりあえず、一日中借りる約束で4000円ポーンと払い

アカ抜けた+いなせな+キチンと走る+ヘルメット付きの

黄色いスクーターを駆って磯へ

無理矢理落ち込みそうな気分を意気揚々とさせつつ

のんびりと急行したのである。

 

磯はもちろん昨日偵察した高那崎。

もうずいぶん日は高くて一昨日まで降り続いていた雨のおかげか

一層自然が鮮やかな感じがする。

 

思った通りにちょっと迷ったがとりあえず着いて

バイクを止めて歩き始める。

仕掛けを持っては来たものの昨日のシケ具合と

昨夜の強風のちスコールという夜襲の余波で

期待をさせないで磯へ向かわせてくれる。

 

案の定せっかく苦労して作った仕掛けも

ほとんど活躍しないまま、それでも意地で数投して

すごすごと引き返して寝ることに。

夢のビーチもさる事ながら、忘れ物、早起きの疲れ

バイクの一件や

開け放った窓から顔に降りしきるスコールに起こされたりと

しばらく寝るのが一番である。

 

 

夕刻、せっかく借りたバイクのこともあって再び港へ。

今度はイワシのポイントとは反対の外側へ伸びる波止で竿を出す。

 

地元の人がやってきて小さなカスミアジを釣って帰り

その後はアオリイカ狙いの人も帰って行った。

 

船の通り道の深場を目指してジグを投げ続けているとようやく

ツン!

ときたもんだが

でも即座にバレてしまった。

しばらくして100キロを優に超える立派なウミガメが

目の前にモワっと浮いてきてびっくり。

さっきのビクともしないような当たりはカメさんの仕業だろうか?

これにて不釣怒涛の2日目は終了であった。