ようやく初物に

 


 

とりとめない自問自答

 

死を解りたいのか、世間から目を向けられたいのか、死を利用したいのか、

さまざまな殺人が起きている。

前から記しているが、ニンゲンが無駄に増えたときの現象だ。

接点が少なければ、トラブルは起こらない。 起こるのは摂理の問題だ。

もともと、社会性さえなければ、倫理なども不要で、死は個人の問題でしかない。

社会性によって繁栄し、社会性がかせになるのは道理だ。

ニュースを聴いては不安がる人は多かろうが、起こるべくして起こっただけのこと。

不安がろうが、嫌悪しようが起こるものなのだ。

ニンゲン以外の立場から眺めれば、なんということもない。

原発の爆発や、空爆に巻き込まれる動植物や家畜たちにとっては、なんということもアルだろうが。

 


 

ある知り合いの老夫婦に釣り妨害されたのが、1/26のことだった。

以来チャンスはなかったが、南国ではチヌのノッコミシーズンである。

今シーズンは遅めなのだろうか・・・卵はさほど大きくない。 美味しかったけれど。

この卵巣を育てるために、浅いイノーでバランスの良い食事に勤しむシーズンなのである。

 

で先の妨害行為だが、いつもの食事のお誘いであった。

もと教員で老後をダラダラ過ごすのもナンだし・・・と島の自然を紹介しているご夫婦だ。

サイトは、自前で自宅のサーバーを立ち上げているほどの凝りようだが、ひどく重い。

島人全般に云えることだが、強引に食事に誘うクセがある。

子供を諭すように・・・釣りなんかしないで、ご飯食べなさい、というノリなのだろうが、

鮮魚のない島では貴重なチャンスだったのだが。

しかも、オモチャのようなルアーで釣れるはずはない・・・とUFO並みのマサカ感を抱いたようだった。

しきりに、ソレで釣れたことがあるのか問うてきた。

 

亀津で暮らせば鮮魚も手に入りやすかろうが、天城町ではほとんど鮮魚が出回らない。

それに、無駄に高価だから、貧乏な刺身好きにとっては釣りか漁しか手段がないし、

なにしろ私は釣り好きだ。 云うまでもなく。

 

意外なことだろうが、私は島ではほとんどカラッキシ釣り人と思われてない。 するの?って感じだ。

役場に勤める、野鳥と料理好きの貧乏カメラマン的なキャラ設定になっているようだ。

 

私がどれだけ無駄に真剣に、あるいは命懸けで釣りに取り組んでいたか、まったく知らないから・・・

先のような妨害になってしまうのは仕方ないことだが、原因は時間帯であった。

 

釣り好きで、勘の良い方は気づいたろう・・・昼食時に満潮が来るのか?と。

 

ナゼだか調べていないが、コチラでは大潮の最終日から中潮の方が潮位が高い。

内地にいた頃、干満だけで潮位など気にしたことはなかったが、イノーで肝心要。

より高い潮の季節になると、小潮でもイノーに満潮が来るのだ。 気圧によっても、ずいぶん変わる。

これまでの釣果は、10時〜12時すぎに釣れている。

最初は常識的に、アチコチ投げて釣っていたものの、今は姿を見つけて釣るだけになった。

見えているのだから・・・ほかに投げるだけ無駄である。

そのぶんストレス解消的な、投げてナニモカモ忘れるアノ瞬間を得られない・・・

ストレスがないからイイのだけれど、モノタリナイことは確かだ。

 

今回も2投目で釣れた43センチ、1.5キロ。 7日午前10時、トリトリデッキ前。

正確には釣れたというよりも、岸から数メートルを泳いでいたから、食わせた・・・のだが。

 

一匹だけだから、エラソーな批評は出来ないが、こないだ購入したラテオというロッドは

一見優れた竿だが、イイ竿ではないことが判った。

んま゛〜1.6万の安竿?なわけだが、島では高いほうの部類に入る。

カメラを構えた途端ツッコミがあり、たまたま絞られた瞬間を撮影できた。

への字に極端な曲がり方をする。

根掛かりじゃないよ。 それにしてもイイ写真だな〜 左投げってイインジャネ? 便利ジャネ?(笑)

 

私が短い竿を嫌うのはご存知だろうから、話半分と理解していただければ幸せる。

魚をかけるまでは、なんの不安もない・・・スゴイのヒトコトで、安心すぎてツマラナイ竿だと思っていた。

 

現代のロッド技術の粋、短い長さのなかにすべてが詰まった、テーパーの強い、大胆に先細な竿である。

軽いルアーを投げ、抵抗なく食わせる極細の先、大型の魚にも不安を感じさせない、強い手前部分。

素人さんにはモッタイナイ性能だ。(笑)

 

だが、掛けて初めて判ったが、中ほどの性能がカナリ貧弱だ。

ぐいと曲がって魚のパワーを吸収しないから、引きが腕とリールにすぐ伝わってしまう。

現象としては、魚が興奮しやすいのか・・・いつまでも浮いてこない。

カーボンロッドの特長は、細身の高弾性素材によって魚の走りを吸収し、竿を上に掲げ・・・

タメているだけで魚がポカーンと浮いてくる、ハズなのだ。

 

短いのだから仕方ないが・・・中ほどの部分は、極細の先端と、曲がりにくい安定した手元部分を、

辛うじて仲介しているのがギリギリで、根本的にタメが効かないのだ。

 

1.5キロのチヌのダッシュで手元が曲がらないシーバスロッド? どうかしてないか?

先の写真は10ポンド程度の仕掛けの限界の引きだと思うが、手元がほとんど曲がっていない。

 

関西で盛んな、チヌのダンゴ釣り専用の竿がモチーフだと思うのだが、使い方までソンナ感じだ。

食い込みと感度抜群の穂先、あとは支えるだけの手元・・・魚のパワーは体のクッションで逃がしなはれ・・・

まるで山本太郎さんの名人技が前提ではないか!?

どうして、もっとも数が出る1〜3キロ級を中心に考えなかったのか・・・コストか?

全体が曲がって、大物過ぎたらノサレルくらいでちょうどいいだろうに。

そこまでの大型なら、フックの伸びとか、結び目のブチキレは賭けだから、リールのドラグに任せればイイ。

 

オトナの考えでは、そうした思考になってしまうものの、初心者のころ手にしていたら

嬉しいスペックに感じたかもしれない。 シーバスは、全国で手軽に大物を狙える夢がある釣りだ。

大物にもヘコタレナイ、強靭なバットパワーと思えば、夢も広がる。

だが、今もって初心者レベルの私だから、ナオサラ逃がしたくない・・・親心かな?(笑)

シーバス釣りで肝心の、エラ洗いのショックを吸収できないロッドじゃなかろうか・・・と。

 

ラテオをおさらいしておくと

86LL−S・Q (8フィート6インチ)

タフコンデションやバチ抜け時のショートバイトもフッキングに持ち込める感度重視モデル。

抜群の喰い込み性能を備えたショートバイト対応の高強度ソリッドトップ「メガトップ」を搭載。

小型シンキングペンシルや小型ミノー、ワーミングに威力を発揮。

だそうだ。

 

確かに掛けるまでのことしか書いてない。 それについてはソコソコ優秀だし比較的低価格である。

だから、文句云えた筋合いではないのだろうが・・・

 

裏を返せば、低価格で相当マニヤックな竿・・・と云えなくもないような、気がしないでもないような。

それでいて、期待していたヒラアジやツバメコノシロのダッシュに着いていけないようでもあり・・・

買い物、失敗したかもなぁ゛〜という心持ちが、先のモノイイになってしまった原因である。

 

カナリ上のグレード、モアザンAGSも、同じブランクスを用いているようでもあるし。

5万の竿と同じ性能なのだから、実は贅沢な竿・・・ってことだろうが、どうも釣りづらそう。

いやいや釣りづらいのではなく、掛けやすくて、取りづらい竿かな。

 

ケナシ過ぎたから、イイトコも記しておこうかな。

 

そのまえに、ケナシを片付けることに。

●デザインがガキのオモチャで、まるで戦隊モノの武器レベルで恥ずかしい。

●富士のKガイドは、糸がらみを防ぐらしいが、そもそもガイドが多過ぎて糸の抵抗が過大だ。

●グリップ部分が短過ぎて、投げる際にココゾというチカラが入らない。 あと3センチ長ければ・・・

もともと用途が違う竿なので、シーバスの世界の意見ではない。

 

さてイイトコ。

距離はさておき、左右に関しては素晴らしいコントロール性能である。

上手な方なら、30m先の50センチ四方の中にキャストできるだろう。

あと、リールのところの形がいいのか違和感がなく、持ちやすい。 お手ごろ価格。 以上

 

食い込みがいいのは、もともとの狙いだから、イイトコにはなるまい。

だが、明らかに前のトラウトロッドよりもイイ。 チヌの呑みっぷりで判るだろう。

ここまでスポッと呑まれたのは初めてだ。

10m先くらいで掛けているので、一気に吸い込む姿が見えていた。

よほど違和感がなかったのかもしれないし、腹が空いていたのかもしれない。

ただ、腹の中はエビカニとアオサ(ヒトエグサ)がどっさり入っていたから空腹ではなかろう。

あるいは、新品のカサゴ職人・シラサエビが効きすぎている可能性もゼロではない。

昼間の夜光ワーム、明るい南国だからこそ、意外とチヌの陰になっても目立っているかもしれないし。

チヌは嗅覚に敏感だが、最後の最後は目で見てから食う。 見えることは大事だ。

 

なんてことは、これまでの釣りでは明言できなかったものの、見ながら釣るのだから一目瞭然だ。

あと、古い話だが南大東で17キロのガーラを釣った、パーフェクトに近いAR−Cに出逢っていなければ

そこまで竿の曲がりにウルサイおじさんにならずに済んだかもしれない。

 

ちなみに

島なのだから、魚さえいればすぐ釣れるわけだが・・・ほとんど10m前後の風が吹き続けて悔しい日々だ。

なのに、10時は偶然にも、都合よく一番風が弱まっている。

ここ最近は寒く、イノーの水温が下がって魚が入っていなかったが、

朝まで雨が降ったことと、ある程度、水温が上がったことが重なっているようだ。

これまで死んだように何もいなかったイノーに、この朝はボラが泳ぎ回っていたから、仕掛けを組んだ。

そして見回っていると、トリトリデッキのすぐ下のあたりにウロウロしていて、すぐに釣れた・・・顛末。

特にこの日のイノーは穏やかで美しかった。

チヌが入ってくると、静かな水面にトッシー?天城町だからアッシー?のような波が立つ。

 

実は、お世話になっているご家族にも届けたかったから、1時間ほど粘っていたら、

軽く2キロはあろうという50センチ級もやってきたものの、こちらの姿を覚られた。

昼間だから、あまり接近されると魚に人影を覚られることが少なくない。

イノーの最深部に入ってくるチヌは少なく、無駄に投げずに姿を確認して投げるから、

期待に胸ふくらませる時間は微塵もない。 それだけに、逃げられたときの残念感はひとしおだ。

1/26にも、それがあった。

 

便利な場所だ。 

トリトリデッキと云うところは。

ココに来れば、野鳥のことも、イノーのこともホトンドが手に取るようにわかる。

 

思えば

移住の荷をだしてから借家を断られ、Yさんちに居候させてもらい、

近所の運動公園からイノーの野鳥を観察するようになり、実は南西諸島屈指の野鳥観察の場とわかり、

写真を売ってくれた友人がソレを覚って、役場企画課長であるYさんに野鳥観察施設をこさえたらと薦め、

自然遺産の話が増えてきた頃、

鹿児島県の出先機関にいた大島支庁長が、珍しく島の出身者で退職間際、

Y課長の企画案はトントン拍子で、いやむしろ次年度だったはずが今年度事業というスピーディさで推され、

トリトリデッキの基本設計とデザインを私が担当し、完成してやがて2年、移住してやがて6年、

たまに新聞に自分の名が載り、ヒマジンのように一日三度イノーに通い、仕事も家ももらって生活を続け、

仕事と動物観察と釣りを同じ重さで扱ってもクビにならないどころか、こうして釣って味わうことができる。

 

トラブルも含めて、あまりに出来すぎた顛末である。 ハメラレタ感満載である。

ただダラダラと、友と自分とウツから逃げ、趣味に走った挙句にしては、不思議すぎる未来ではないか???

一般企業と異なり、役場の仕事には十分な時間がある。 私が安い給料でダラダラ働けば、必ず結果が出る。

私にとって、これほどバカバカしく理想的な働き方、人生の送り方はない。

誰かが、うまいことハメてくれたのだとしたら・・・それはそれで感謝したい。

 

午後、潮の引いたトリトリデッキの前には、久しぶりにコウノトリが来ていた。

やっぱり、イノーは イ゛〜ノ゛〜 としみじみ云いたくなる気持ちがわかってもらえるだろうか?


ではまた