苦い経験
身近な話題
このごろ、ガイドならぬガイド?や、自然遺産と距離を置く立場ながら自然の講座などが増えた。
もっとも困った質問は「何が専門ですか?」である。 私は専門家ではなく、むしろ総合家・・・
システムコンサルをやっていたこともあって、アレヤコレヤと仕事も多様化して、何が何やら。
きのう、急な依頼でお隣の徳之島町にある中学校をガイド?した。
私が名付け親のひとりとなったウンブキアナゴのいるウンブキ(海底洞窟)についてである。
すると、生徒からヒソヒソ話が聞こえ、私の顔を見知っているらしい。
小学だったころに、私が生クチブエを演じた「とんとんとんのこもりうた」を観劇したようだ。
最初けげんな顔だったのは、クチブエ芸人?がなぜフィールド教室の先生に?と感じたのだろう。
このごろは、防災アドバイザーに化けることもある。
クロウサギや野鳥の写真は撮るわ、看板やポスター、冊子をデザインするわ、
災害対策の実務を担当と相談しながらハザードマップをこさえるわ、料理にウルサイわ・・・
恐らく一般市民は、なにかに専業することを美しいとか、常識だと思うのだろう。
でも、私の友人は「よろずや一寸」をやっていて、大工に剪定、トライアスロン案内の封筒詰めなど
結婚仲介こそしないが、ナンデモアリである。
普段は農家で、依頼があれば大工、溶接工などは普通だから、島はナンデモ屋が多いはずなのに、
無駄に知的な質問として、専門を問う性質を持ち合わせているらしい。
たまたま、超望遠レンズで野鳥を狙いやすくする、銃のオプションを流用した「ダットサイト」を調べていた。
ゴルゴジュウゾウのスコープのように筒をのぞくことなく、視野をさえぎらないで正確に狙える照準器である。
すると、釣り仲間しぐさんのページが出てきてビックリ。
彼もま゛〜私などより数段ナニ屋かワカラン屋さんでホッとしたり。
どうやら小ぶりな野鳥に興味があって、狙いやすくなるからといいつつ、早速ダットサイトを改造していた。
とりあえずバラシタかったのと、改造そのものが趣味でもありそうな。 心持ちはビミョ〜にわかるような。
相変わらず、まったくスゴイ凝り性だな〜(笑)
結局
余程のことがない限り、島では撮り直しがきくから、年に数回あるかないかの見失いのために
ダットサイトは買うことはあるまい・・・と結論してスルー。 余分な装備は、トラブルの元なのだ。
それにダットサイトのスイッチ入り切りのぶんだけ迷いが生じたり、初動が遅れる。 なにしろカネもない。
私の場合は小鳥より、むしろ高速で飛ぶアジサシを狙うために物色していた。
アジサシの飛行を目の当たりにしてしまうと・・・他の鳥の飛び方のナント雑なことか・・・
一生の大半を空で過ごすために進化したのだろうけれど・・・フワフワと力まない飛びに和んでしまう。
羽ばたきというよりも、大気を身にまとったような、まるで空気に粘りがあって、
泳ぐように翼をこぐだけで浮いているような雰囲気で飛ぶ。
フレーミングどころか、ファインダーに捉えること自体が難しく、カメラの追尾機能も発揮できない。
せっかく捉えても、このカットのように後ピンになってしまうことが多い。
クロハラアジサシはフワフワのわりに速く、急な降下やターンでエサをとるシーンは、いつも悩まされる。
んま゛〜車の窓からムリヤリ500mmのビーム砲レンズを操作すること自体に難がありすぎる・・・
ちなみに、ここ数日、近所の牧草地に飛来している。 イノーや池、冬場のプールにいたりもする。
もうじき
ただカニを捕るためだけなのに、ハヤブサより無駄にカッコイイ急降下をする
ハシブトアジサシがやってっくるし、鳴きマネで異常接近するアカショウビンを狙うのに便利そうだから
思わずダットサイトに憧れてしまったわけだ。
ところで
野鳥メインで観察をつづけていると、野鳥を拾ったとか、助けたいと連絡が来る。
たいがい、カワイソウだから・・・などと軽々しい。 基本的に、見殺しにしてくださいと伝えることにしている。
鳥類を哀れむなど、かたわら痛いことだ。
そもそも身体的に最も進化し、哺乳類とは似つかない構造をもつ生物を上から目線でカワイソウなどとは・・・
あんたのお粗末な頭脳がカワイソウだわ・・・といつも哀しくなる。
助けたいというわりに・・・自分で面倒みたいという御仁はおらず、人になすりつけて救った気になりたい。
このごろの優しさは完璧に壊れている。 ど〜ゆ〜親に育てられたのやら。
このごろは、最初から腹が立ってしまい、電話の口調が荒くなってしまう。
親のしつけは、学校教育はどうなってるんだ?
ニンゲンが生き物の頂点で、カッコだけ優しい、責任転嫁のライフスタイルが美徳なのか???
半島や大陸の黄色人種と根は同じ・・・ということか。 やれやれ。
来月まで目立った仕事は無い。 ヒマである。 当然、カネもない。
したがって、家にある道具で食糧を獲得する手段といえば・・・釣りである。
外洋は荒れていることが多いし、どうせ釣れない。
過日、役場の同僚から51キロのカンパチが釣れたと聞いたが、お隣の沖永良部近海でのジギングだった。
無理せず、野鳥観察を兼ねられるトリトリデッキ周辺ばかり狙ってしまう。
五十肩からはほぼ回復したが、肩慣らしで使っていた9.6フィートのトラウトロッドがシックリきてしまった。
秋冬の荒食い時期と違い、今は魚のルアーの見切りが鋭くなっているから、食わせ方で悩んでいる。
浅くて透明なだけでなく、凪ぎ、昼間・・・ということが基本的に間違っているのかもしれぬが、魚は見えている。
Aコープで、20匹で150円くらいのキビナゴを使いたい気持ちを抑えつつ・・・
魚が好印象をいだくシュリンプミノー65。 目星はついたものの、メバル用ルアーだから食ったら折れそう。
ハリスがヒゲに見えるからイインチャウの? と楽観を愉しんだりしている。
カスミアジはまだだが、コトヒキやミナミクロダイがライズしてくる。 シングルフックのためか、まだ乗らない。
ちなみに、ソフトルアーの場合は、なるべく横糸が目立たないよう竿を真下にして糸を寝かせるが、
形状的にリアリティも薄いためか一向にバレバレで、派手に嫌がられてダッシュされてしまう様が悔しい。
そうこうしているうちに、なにやら怪しいモワモワが足元にやってきたので、タモですくっておくことに。
高級食材アミメノコギリガザミ・・・甲幅14センチ、レギュラーサイズよりやや小柄だが、結構ズッシリ。
以前のは大型ながら脱皮直前スカスカ状態だったのを思い出し、甲羅を触ってみたところ、ペコペコせず。
本来なら徳之島にはいないはずの種だが、空港ができたことでイノーが泥化して増えている。
たまたま関西からやってきた旅行者のオジサンオバサンに見せたところ・・・コレ食べはんの?と問うてきた。
流石に庶民派ど真ん中の関西のオバチャンには、かなり縁遠い食材か? 異世界の食べ物か?
炎天になり、暑いばかりで釣れないから、帰ってシゴ(山口弁の魚介の下ごしらえ)することに。
ボウルにジャストフィット。
水道水で呼吸させると、かなりダメージがあるのか・・・おとなしくなる。
島の民宿を営む友人から教わった調理法に則って進める。
1)下茹で
2)甲羅を外してエラをとり、体の泥をこまめに落とす
3)ひたひたの水を加えて炊き、味噌汁に
驚いたことに・・・
いや驚いたのはカニの方だろうけれど、熱湯に入れると、ヒレ足をのぞいて全部自切してしまった。
多少旨味は逃げてしまったものの、前回ジャリジャリして不快だった、足の付け根の泥が落としやすくなった。
九州の麦味噌仕立て。
甲羅を外しているので、あんまりグラグラやるとカニ味噌が全部汁側へ出てしまわないよう、そこそこに。
けれど、ひと煮立ちさせただけで、十分に出汁がとれる。 というか・・・茹で上がる。
下腹やハサミは太くてなかなか冷めないので手が付けられず、甲羅のカニ味噌をつついてみる。
ほろ苦くて旨味もコッテリ。 すっかり泥臭さはなく、基本的にエラが泥臭いのだろう。
冷めたところで問題は・・・
ハサミはどえらい硬い外骨格なのだ。 猛烈なパワーを支えているのがうかがえる。
このハサミに指をやられたら、肉では止まらない。
げんのうより、尖ったバールの方が割りやすかった。 前回と違い、みっちりと詰まった肉。
どうせなら、カニ味噌つけて・・・
ん゛〜ほろ苦くて美味い!? あら? カニ味噌以上に苦いような。
腹にもたっぷりの味噌。 必要以上に苦味のある肉。
当初は、内地のノコギリガザミにある貝毒か?と怪しんだが、貝毒は味に影響ないらしい。
シーズンの問題か・・・あるいは下茹でに塩を加えたからか・・・苦味の少ないゴーヤくらい苦い。
せっかくボリューム満点の高級食材だったのに、疑念が尽きぬまま完食したら、
文字通り腑に落ちないようで、満腹感がビミョ〜なことに。
シメには汁である。
コクがあるせいか・・・酒のまわりと喉の渇きも手伝って、滅法美味。
具は食っちゃったから、無いよ。
このごろ味噌料理には花椒(四川料理の山椒)を加えるのがクセになった。
ユルくて甘い南国生活を語るはずだったが・・・意外と苦い経験談となってしまった。
小潮になり、イノーで潮位が上がらなくなればガセは出てこなくなるし、釣りも無理。
そうなれば・・・東海岸へ出向いて、小骨の多いとウワサのボーンフィッシュを狙うとするか。
けど、ガソリン代がなぁ。