食べ物の恨みは恐ろしい・・・
過日、いただかないで済んだ食品があった。
福岡へ出張するという同級生で同じ職場のT子さんが、ナニが美味しいですか?と問うので、
辛子明太だけはヤメといてね・・・とお願いしておいたところ、多忙で土産はナシだった。
無駄金を使わせなくてホッとした。
何しろ舌がシビレすぎる辛子明太は、私の天敵のような存在である。
実家でも食卓に上がったが、私が食って親に食わせないでおこうか悩んだが、
結局ほとんど箸をつけられなかった。
必要な土産などというのは存在しないが、欲しくない土産ナンバーワン級。
不味いのではない、他の料理の味がなくなる食品なのである。
ミラクルフルーツの真逆のような食品といったほうが相応しいだろう。
そういや、クサヤ食いたいなぁ・・・
のも束の間。
いつもお世話になっている家具屋の奥さんと娘さんが、会合で福岡へ行くという。
黒糖の小袋を宴会会場で配りたいから、、徳之島らしいシールを貼りたいというので、
なんとかシールをこさえて渡して、ホッとしいていた。
で・・・数日後にいただいたのは、やっぱり辛子明太であった。
うまく化学調味の権化であるキムチ味そっくりな福岡土産を回避できたと思ったら
運命は変わらず・・・のよう。
私は運命というのを信じないが、いや信じてこなかったが、ナニモノかが決め込んだ時間の向き?
でもあるのではなかろうか・・・と考えさせられる明太事件であった。
油の代わりにマヨを加えて炒めた、現代らしい味付けの明太マヨ・スパゲティ。
よっぱらってこさえたから、盛が雑だ・・・っていうか皿が小さい。
辛味なのか、化学調味料なのか・・・何れにしても舌がしびれる感覚からは逃げられぬパスタだ。
これも運命・・・否、ここではウンメェ〜と云わなければ、オッサンの名が廃る場面だ。
どこまでが運命なのだろうか・・・とも極限したくなるのもある。
結果的に歴史は?運命は? 私にウンメェ〜のダジャレを極めさせたかったのでは?とも思える。
私はさほどダジャレは好きではないし、んまいこと云うのは好きだが、ダジャレは苦手なほうだ。
そんな私を、寄る年波の正しい昭和人として、ダジャレ達者にしたいのが運命というのだろうか。
無論、先のダジャレは、記事の書き始めから計算していたわけでなく、単なる思い付きだ。
これ・・・こそが昭和の血のなせる正しい笑いの技前、運命の誘いというのだろうか。
さしづめ、うんめぇ事云う技・・・くどいな。
今は高級品として流通するという、まぶし型明太子の本格立ち上げをしたところは下関だったという。
やがて、対岸の福岡で、漬け込み型が流行し安価になったため、世代交代していったようだ。
もともと、北海道で大量に捕れた、スケトウダラの卵の塩漬けに源流があるのだそうだ。
日露戦争のころ、朝鮮経由で輸入された明太子は、唐辛子、ニンニクなどで調味されたという。
辛子明太子発祥の地に生まれた私に、このような事実を知らせるために、運命が働いた・・・か。
まぶし型なら、本来の味を捨てていないかもしれないし、あるいは化学調味に屈しているかもしれぬ。
少なくとも、島でワザワザ北の果ての魚卵をいただく筋合いは、とても薄かろう。
一方、先号に書いたチヌをいただいたときのこと。
先の家具屋でウロコ取りを借り、近所の浜でシゴ(下ごしらえ@山口)したまではよかった・・・
鯛子をいただこうと、口にしたときであった。
ジャリリ! と奥歯に砂が食い込んでいた。
どうやら左奥歯に細いヒビが入ったようで、爾来いささか浸みることがある。
用心しながら食べたが、何度かジャリリと歯に食らってしまった。
これだけ立派な卵を見たのは久しい事で、小笠原のヒレナガカンパチ以来かもしれない。
妙な試算を思いついた。
チヌにしてはえらく太いが、センチあたりの重さは44グラム程度。
60センチ、3キロのヒラスズキなら、50グラム。
南大東のフエダイ56センチ4キロ。 71グラム/センチにもなる。
107センチ、17キロのロウニンアジだと158グラム/センチと肥大化する。
大形魚ほど、丸っこいようだ。
ザトウクジラは16メーターで30トンくらいになるというから、19キロ/センチにもなる。
これだと地球を1センチでスライスするようにデカイほど得になるから換算してみた。
種 | センチ | グラム | 長さ比率 | g/cm | チヌ比重? |
ミナミクロダイ | 44 | 1950 | 1.00 | 44 | 1.0 |
ヒラスズキ | 60 | 3000 | 1.36 | 50 | 0.8 |
南大東のフエダイ | 56 | 4000 | 1.27 | 71 | 1.3 |
17キロのロウニンアジ | 107 | 17000 | 2.43 | 159 | 1.5 |
ザトウクジラ | 1600 | 30000000 | 36.36 | 18750 | 11.6 |
全ての種を44センチに直して計算してみた。
ザトウクジラが、いかに魚よりノロマで過ごすユル生物か判ってしまった・・・
ガリバーは一歩歩むだけでドンダケ進めるか・・・みたいなものだろう。
地球では、デカイだけで有利というヘリクツが通る世間があるらしい。
太っていたとしても、チヌは水中ではシャープに動けるようである。
ニンゲンだと、着る物とか、靴とか、カモイに頭ぶつけるとか・・・つまらない事で困るんだけども。
やっぱりニンゲンって、地球の生物としてオカシイな・・・とも感じた。
と同時に、無駄に個体数が増えたんだから、小柄になればいいじゃん・・・とも。
閑話休題
これほどの鯛子があれば・・・どえらい数の子がかえったはずで、親鯛の恨みも極まろう。
卵のみならず、腹腔など様々なところまで砂粒が入り込んでいて、えらくジャリジャリを味わった。
恨みの味・・・か。
ちなみに、浜の砂はコーラルだから、カルシウムであって、体の足しになる砂である。
浜で魚をシゴするなら・・・絶対に岩の上・・・と心に決める出来事であった。
こさえたユー汁(ユー=魚@島)の、アラのあちこちにも砂が入り込んで、
それはもうジャリジャリ痛い汁だった。 チヌの母と無数の子の恨み・・・深い。
で・・・ハズレばかりな私ではない。 刺身および漬けはナカナカのものだった。
これなら、8割がた家具屋に裾分けして善かったろう・・・
気になったのは、身の締まりでない硬さの真実。
肉質の見た目に白いところがわかると思うが・・・筋である。
これが30センチ大ならば、ほどよい身の硬さに感じられるだろうけれど・・・スジっぽい。
二日漬けたところで、肉は柔らかくなっても、筋はね・・・・・・・・・・・・・・
家具屋のご家族の方々、ゴメンナサイ。 でも私はこのスジっぽさが好きである。 野生の味で、証しだ。
強いものを倒し、食すこと。 噛みしめた瞬間、瞬間、釣りというか狩りする血が歓喜するのがいい。
私がイノシシとか、硬い肉でないとモノタリナイのは、そういう血が好ましいと感じるからかもしれぬ。
けど、肉の硬さとコーラルの硬さは違うけどね。
地球上で生きていくからには、食べ物から恨まれて当然だが、あらためて感じた次第・・・歯にジャリリと。
それと、ミナミクロダイは身が締まってて意外と美味いね、カニ臭するけど。
あと、ねんごろにお礼を云ってからシメて、いただかないと・・・ね。
冷え込んだ昨日今日、ピーポーピーポーと救急車の音が何度も聞こえてくる。
【追伸】
あれから、イキナリ発熱なぜかすぐ回復。 しかし、喉が痛くなり今や夜も昼も咳に鼻水。
どうやら、鼻炎のような?瞬間的にどどんとジュルジュル・ジューシーな鼻汁が襲ってくるため、
それが喉に滝のように流れ込んで咳き込むらしい。 こんなの初めてだ・・・タタリじゃ・・・