夜の季節がきた
少し前から、コノハズクの声がする。
家の周りには3羽くらいのオスがいるようで
毎夜声をきくと、ついカメラを持って外へ出る。
渡り鳥はそろそろ移動を始めているし
ちょくちょく、ヘビたちも見られるようになった。
草も伸びるのが早くなった。
ほんの時々、まだ寒いのにヤモリも鳴く。
早くでてきても、寒くて死ぬのもいる。
去年ほど厳しい寒さはないが、
いきなり若夏のように暑くなったり
春先の寒さがもどったり、生き物には
嬉しくもあり、厳しい季節でもある。
結局分かったが、秋からずっとスミレや大根、菜花が
咲き続けているから、島は内地の秋と春が
ずっと冬じゅう?続くのであった。
一応、実りの秋はやってきて、木の実は10月から
11月に実る。 どんぐり、しいのみも。
この冬は、寒さはそれほどでもなかったが
雨が多くて、北風と雨ばかり降って
キビ刈りや、ジャガイモの植え付け、収穫が
ずいぶん難儀させられているらしい。
南国は、夏だけがONだと思ったが、OFFも
まったくOFFできぬ厳しさがある。
思ったとおり、ほとんど魚の話は聞かなかった。
近くの港で3キロのミズイカ(アオリイカ)が上がったと聞くが
晴れた夜は、とてもにぎわっているらしいから、
それじゃ、なかなか釣れまい。
というか、イカは付け合せに釣るのであって、
大量に食べるものでもない。
ちなみに塩分の含有量が多いので、多食は禁物。
でかいと面倒だし、肉が厚すぎて味がすこぶる退屈なので
そもそも釣りたいとも思わないが・・・
僕は大味が嫌いなのである。
しかし、
島に来てうまい刺身は、たった一度しか食べていないので
やっぱり、ぷりぷりのカスミアジを食べたい。
そろそろシーズンインなので、4月には磯へ探しに行こう。
そういえば、シケと雨ばかりで、この冬は釣りのできる日は
数えるほどしかなかったように思う。
想像以上に厳しそうに見えるが、デスクワーク組には
とっても過ごしやすいかもしれない。
冬は虫もハブも出ないし、家の周りの草は
12月に刈っておけばほとんど伸びない。
ただし、ほとんどが兼業農家なので、ジャガイモや
人参の栽培は、ちょっと大変らしい。
意外にも湿気が多くジメジメに感じそうだがさにあらず。
湿度は高いが気温は低いから、空気中に含まれる水分は
夏に比べるとずっと少なく、部屋の中は湿気た感じはしない。
ヤモリも虫も歩き回らないので、とっても快適。
寒いだけ。
ただ、布団は干せない日々が続くつづくまだまだツヅク・・・
実は冬は何日か不連続に一週間くらい?あった感じだ。
一月、二月、日中も10度くらいの気温で、寒い日がある。
そうするとヒカンザクラが咲いて、それから徐々に暖かく。
三寒四温というが、思ったより寒い。 暖房がないから・・・
夜は意外に過ごしにくい。
寒いと内地から持ってきた布団はとても快適。
ま、毛布と厚布団がエラクずれてしまうのは不可抗力だ。
毛布をその名のとおり、カバーなしで使うとそうなると知った。
突然の雨、温暖前線や南風が吹き始めると、夜半でも蒸し暑く、
暖かな日だと思って薄着で寝た夜半、前線が通過すると
急に真冬の寒さに戻ってしまったりする。
そうこうしながら、ぼちぼち暖かくなってくる
すると、ぼちぼちコノハズクが鳴き始める。
今は恋の季節を半ば過ぎて、巣の場所を決めている。
ちょっかい出すと、あちこち定点から反響が返ってくる。
チョット前は、婚活であちこち飛び回ることが多かった。
婚活中のメスは、結構コワイらしい。
オスが飛びのいて逃げる。
コノハズクのうろたえる顔を初めて見た。
ま、メスの気持ちを確かめるために、逃げながらエサでもとって
贈り物を渡すのかもしれないが、それにしてもスゴイ勢いで
ヤバッ!という感じに逃げ去ったのは、このメスの仕業・・・
人間から見ても、相当コエーぜ・・・
落ち着いて、近くにいる3羽のオスと、僕の鳴きマネを聞き
ストロボの光をとても不快そうな目でにらみつけてくる。
実に肝のすわったメスである。
この夜は、にらみつけられて終わったので
少々鳴きマネを練習し、あくる夜の事。
ニャッ!ニャッ!と鳴いて応えるメスが飛来した。
僕の声で、まわりのオスも遠く鳴いているので
落ち着かない様子で耳を傾けている。
すると・・・メスはのどを膨らませてコホッ!と鳴いた。
かわいいメスなのに、ニューハーフかよっ!?
メスも時々コホッと鳴きたくなるのだろう。
鳴き交わすと、いろんなことが起こる。
最近、ヒョ・ホッという危機的な鳴き方も取り入れたら
かなりアピール精度?が向上したようだ。
でもとても難しいマネで、あまり安定していない。
オスが、コッコホッと鳴き始めるとき、テリトリー内で
別の声がし始めると、慌てて出す声がヒョ・ホッ。
鳴くパターンを変えて、テリトリーに刺激をあたえ
周囲にいるフリーのメスにちょっかいを出すのだが
まー人間同様、コノハズクのメスもイロイロだ。
相変わらず、生き物観察にはことかかぬ面白い家である。
徳之島サファリパーク?に生活しているようなもので
原住民(笑)のみなさんに作物をもらったり、動物と接したり・・・
大雨で風呂にもトイレにも行けなくなるのが玉にキズだが
慣れてしまったら、ちょっとした不便さだけだ。
雨では文字通り、トイレに行けない・・・だけだ。
なのでボットンでなく、先進エコ的な軒先水洗???になる。
手を上げればどこでも止まる、フリーバスというのがあるが
フリー水洗トイレといったイメージだろうか。
ただいま、ミカンの花の香り付きであり、
ついでに、雨宿りする生き物も見られる。
施肥とマーキング、観察が同居する生活は続く・・・
熱帯の夜に馴染んでくると、生き物も多く楽しいものである。
昼間おきて過ごさなければならない理由があると辛いものの
夜の世界は、昼とは違ったユニークな生き方に満ち満ちて
まだまだこれから、はまっていきそうな予感がする。