内地の生活
平和だ。
トイレットロールにヤモリがくっついて来ないし、
台所を動き回るゴキブリの足音もしないし、
寝床の近くでネズミが走り回る声も聞こえない。
不思議と、以前は家族の声がすると眠れなかったが
カラスの鳴くのや、新聞配達のバイクなど
まったく気にならなくなった。
どうやら寝ている時、注意する事柄が変わってきたよう。
草地に足を突っ込んでも、ハブも居ない
帽子を忘れて散歩に出ても、顔が火傷しない。
外出もずいぶん楽だ。
一方、
炎天下、庭のコンクリとか砂利が熱くなり、風が熱を含む。
風の無い昼間は妙な熱風が、じわじわ居間へ入ってくる。
こんなに違うんだなぁ・・・
島では家の壁が熱くなるものの、風はそのまま入ってくる。
暑ければシュノーケリングに行けばいいのだが
海は遠いし、盆過ぎた湾内にはクラゲだらけになることもある。
加えて今年は水温が27度もあって、千切れた藻が多いという。
久々に釣具屋へ行ってみた。
品揃え、餌の種類も豊富、ほとんど何でもある。 しかも格安。
今回は安い渓流竿を探していた。
島の最寄の磯で、小魚を釣ってみようと思ったからだ。
冷凍の肉か煮干くらいしか蛋白源がないので
その辺のカニや貝で小魚を釣った方が日々の楽しみがある。
渓流竿なら、糸も細くて大丈夫だし、
針と糸とウキとシズ(鉛)だけなので、とっても安い。
午後は暑いので、動物観察できないのは島と同じ。
朝はカメラを持って散歩、夕刻はダンベルを持って散歩。
朝はサギ類を追い、夕には目で見るだけ・・・という感じだ。
キジは狙って見られるほど居ないが、なぜか散歩中に見る。
今は少し遅れた稲刈りシーズン。
伊勢はおおむね8月中に刈り込んでしまうので
残っている田はまばら。
コンバインの後ろに、シラサギがくっついているし
刈り始めるとどこからか集まってくる。
よく見ると、チュウサギとアマサギ。
どちらも初夏の繁殖用装束を、脱ぎ捨てるシーズンなので
飾り羽や婚姻色は、消えるか消えかけのマダラである。
左の2羽がアマサギ、右の2羽はチュウサギ。
左から2番目は、婚姻色が残っているアマサギである。
奥の一番右のチュウサギの尾のあたりに飾り羽の名残が見える。
夏羽・・・という図鑑の情報は、ちょっと違っているように感じた。
アマサギの婚姻色は大半が消え、シラサギになっていて
背中、頭の一部だけ・・・赤茶の羽がかろうじて残っているのが
ポツポツ居る程度である。
初夏に生え変わるときは、婚姻兼夏羽なものの、
夏の後半は、もとのシラサギに戻ってしまうのである。
無駄に目立つ必要はないというわけ。
モズ博士Tに換羽の事を教えてもらったことで、謎が解けた。
時折ハヤブサが現れるので、
襲われないよう、小柄なアマサギは群れているようだ。
食べているのは、カエルが大半で、一部はバッタ。
(頭に婚姻色が残るアマサギ)
黄色っぽいセキレイを見つけたとき、
ワミセキレイ!?と思ったら、何のことはないハクセキレイの若鳥。
ふだんは電線をつかまないでバランスをとっているが
若鳥は電線でもシッポを上下に振るので、片足でつかんでいる。
ヒバリは稲刈りの終わった田へ、少しずつ戻ってきているけれど
全くの保護色で、撮ることかなわず。
ふと
セキレイとヒバリとスズメとメジロがまざった声が遠くから聞こえた。
ん?と思って歩いていくと、どうやら声は遠くなく、近くて小さい声。
なんだ? 自信のない、この声は・・・
枝から尾羽が出ている。 あ〜なんだ?モズの鳴き真似・・・
百舌鳥、漢字三文字でモズと読むゼイタクさはダテではなく、
こうして時々だまされてしまう。
独り言のように鳴き真似をしながらグゼっているところは
さながら、どっかの南国へ引っ越したオッサンが
家や野山で口笛を練習しているのに似ている気がした・・・
(ぐぜり⇒愚図るの訛り?鳥用語、小声でコソコソと鳴く仕草)
稲刈りが終わった畔には
ノビルの花が咲いていて、そろそろ実をつけ始めている。
島の我が家にも何本か生えているのを見つけた。
のどかだなぁ・・・
さあ、明日は徳之島だ。
Oちゃんがパソコンが壊れたと電話してきたので
帰ったらさっそく修理になりそう。