冬鳥と旅鳥と渡る人

 


南国は一年中雨が多いので、晴れ間は貴重、洗濯日和である。

宿の屋上で見張りながらウトウト・・・

晴れていても、いつ泣き出すか分からぬ空を見上げ

日向ぼっこしていると、日差しがジリジリ暑い。

聞いたことのない声と、見たこともない姿の鳥が群れている。

ん?

早速撮影して図鑑で照会してみたら、シマキンパラ。

メジロなども居るが、なぜか冬場はシジュウカラが居ない。

(網目腹だからアミハラともいう)

マングースだのヤギだのと騒がれるが

空を飛ぶ外来種の侵食を忘れては居まいか?

夏には見ないので、山の上に居るのか

常識なら夏は北へ行くが、南にしか記録はない。

オカシな渡りだが、けして数は少なくないと感じた。

リュウキュウキビタキが少ないのはコイツらの影響???

 

徳之島では最近までカラスは居なかった。

汗もかかぬ黒い姿で夏を過ごすのは厳しいと思うのだが

ワケあり進出中なのだろうか。

与那国ですらカラスが居始めたというから、過ごしやすい方かも。

 

洗濯物が片付いたら、移住の不安を落ち着かせるために

定点観測ポイント、空港横の干潟へ向かう。

夏場はシギ類が多いのだが、冬場はチドリ類が多い。

ファインダーをのぞいている間だけ、不安は全く消える。

 

遠くのチュウサギに混じって、怪しげな頭の鳥がいる。

旅鳥クロツラヘラサギのよう。

 

二日間ほど時化たときは島のどこかへ避難していたようで、

また戻ってきた。

 

戻ってきても、またサギと行動を共にするが、まー食べる食べる。

しゃもじ風のくちばしを半開きにして水中に入れ、

首根っこを中心に扇状にアタマを動かして、サギの周りをアクセク歩き

節操なくガー、ガーって感じで水をかきまわし餌を探す。

(右のサギは魚を獲ったが・・・)

一本釣り風、シュパッと魚を突き刺す様に餌をとるサギの

振る舞いが美しく感じる・・・それに打率も良い様だ。

 

食べたら寝る。

時化の間、よほど眠れなかったのか、落ち着かなかったのか

それとも打率の悪い食事に疲れ果てたか・・・

人の通る場所の近くなのに、激眠だか不貞寝だか。

 

ちょっと羽が痛んでいると思われるウミネコも

ずっとこの干潟に居座っている。 近づいてもあまり飛ばない。

 

チドリ類は、ダイゼンらしい大型チドリとシロチドリ、メダイチドリで

シギは、キアシシギの他に、キョウジョシギが越冬している。

(キアシシギの向こうのチドリの方が大きい、ハト並み)

(冬羽のキョウジョシギ)

シギよりもチドリの方が大きく多いし、不思議とあまり逃げない。

 

のーんびりしてるなぁ・・・と、眺めている方もついマッタリするが

卒然として鳥が一斉に飛び立つことがある。

 

何事か?と空を仰げば猛禽、チョウゲンボウがやってきたのだ。

冬限定ハヤブサである。

サシバは小鳥を襲わないのだろうか、道路沿いの電柱や

標識の上によくとまっているが、干潟には一向姿を見せぬ。

(キビ畑の上を旋回するサシバ)

 

撮影はできなかったが、やはり冬は乾燥気味のようで

空模様はグズツクけれど川は枯れ、カワセミウミセミになっている。

テリトリーの川の近く、海岸の浅瀬で魚を獲っている姿を

ちょくちょくみかける。

 

徳之島のダムやかんがい池は深いところが多く水鳥は少ないが

カワセミが好きな浅い池はカモ達の人気スポットになってしまう。

夏のかんがい池は大型シギやアジサシにのっとられる・・・

夏の川はアカショウビンに脅される・・・カワセミは小柄で

肩身がせまく、アタフタと逃げ惑うばかり、夏も冬も大変だ。

 

かんがい池には内地同様のヒドリガモ、オナガガモ、ハシビロガモ

カイツブリなどに混じって、なぜかバンとオオバンが仲良く逆立ちして

水草を食べる姿があった。

(右がハシビロガモ、真ん中はバン)

(カモのお尻を見つめるオオバン)

(右端のオナガガモ、その他の怪しげなカモさん)

 

カモは海岸の干潟にもわずかに居るが、風も強いので居心地は悪そう。

木に囲まれた、数少ない人気のかんがい池だけに居座るようだ。

 

今年の冬は、特にシロハラが多くて、島の人も驚いている。

冬将軍の進出が活発なのではないだろうか?

あわせて、毎年恒例だそうだが、庭先までウグイスが氾濫している。

変なのは、冬、ウグイスが多いのに、夏はさっぱり居ないことだ。

南大東では、夏でもキチンとホーホケキョを楽しめるのに。

ホトトギスもわずかしか渡って来ず、徳之島で巣を張らないのでは?

地元の人も、ほとんどホトトギスの存在を知らないし、声も知らない。

ホトトギスはウグイスの巣に自分の卵を産む、託卵する鳥なのだ。

居ることはいる、鳴き声も聞いたし、2006年に撮影している。

ひょっとすると、徳之島のウグイスは冬鳥の可能性がもある。

ウグイス科の鳥は、本家ウグイス以外は全部渡り鳥なのだから、

本家ウグイスも、本来は渡り鳥であってもおかしくはない。

内地だって、冬だけは水辺のススキなどに住むが、それ以外の季節は

竹の多い林などに居て、季節によって居場所が違う。

都市部では林や湿地自体が限られるので移動できないでいるが

それでも冬場は日当たりの良い、低い潅木の中に逃げ込んでいる。 

 

夜、林道へ出かけてみると、林道沿いは狩がしやすいためか

意外にも夏同様にコノハズクが盛んに鳴き夜道を飛んでいる。

このシーズンでも夜、カエルや大きなカマドウマが出ているからだ。

メスのミャウ!という声も初めて聞いた。

夏場はヒナがいるので逃げないが、冬場は身軽なためか

とても近くに居ても、さっと移動するので飛ぶ姿しか見られない。

 

そういえば、移住先候補の母間集落近くの海は浅くて静か、

クロサギが好きな場所のよう。

でも、湾内でスマガツオが釣れるというから驚き。

不思議と近くにシロクロのセットで居るから驚き。

(クロサギ正統派?)

(クロサギ白色型)

やっとクロサギ白黒セットも撮影完了。

シラサギ(ダイサギ、チュウサギ、コサギ)より

チョイ足が短めで太め、ぱっと見がズングリしている。

なぜか、上の写真だと明らかに黒いほうがクチバシが長いが・・・。

 

兄弟に、シマウマとかホルスタインとかダルメシアンっぽいのは

居ないのも驚き・・・というか残念。

 

そんなこんなで、島には凝縮したように環境がそろっていて

鳥や動物写真の腕を磨くにはことかかない。

島には生物の写真に凝る濃ゆい人も少なくない。

 

時間はたっぷりある

自然も人も無理せずマイペースで付き合ってもらうかな。


横浜も雨続き、冬にこんな雨が降るなんて。

ようやく晴れた日、ようやく洗濯ができ、布団も干せた。

でも一日じゃ終われないくらい、たくさんたまってた。

島では、鳥の鳴き声と山海荘の朝食のお陰で

何とか起きられたものの・・・横浜では夜も車の音に眠れない。

更に不眠が進んで起きられぬ生活、

しかもインフル以来の止まらぬ咳、

島へ渡る引越し準備もなかなか進まぬもの。

食欲もなくなって、気力もますますなくなっていくし

財布の中身もじゃんじゃん無くなっていく。

 

やれやれ

同じ方を向いている友らと同じ土地に長く生きられぬとは、

自分の生き方が、スグに形を変えていってしまうからか?

変わることも大切だし、立ち止まる余裕も要るような気がする。

ってことは、徳之島でも落ち着かないのかもしれない。

だた、痛みから逃げているだけなのかもしれないが。

 

今は、痛みを感じる以前に逃げている自分が寂しいな、一番。


ではまた