徳之島への遠き道のり
大東を何度も往復したのに、那覇泊はまだ二度目。
前回はRACのプロペラ機が出戻ったので仕方なくだったが
今回は徳之島へ船で北上するためである。
那覇まで午後便でフライトして前泊、あくる早朝7時
(今は夜明け前、日の出は7:18)に上り便が泊港から出帆する。
けれど徳之島へは夕方4時20分着・・・長旅である。
さて、久しぶりに大東そばを食べた。
南大東はもう麺しか食べられない。(汁の味が全く違う)
那覇あたりに息子さんが2店やっていて、そのうちの一軒を訪ねた。
でも社長なので忙しくて、国際通りの裏、ニューパラダイス通りの
お店には居ないらしい・・・残念。
オリジナルよりも、しっかりと厚削りのカツオが効いているようだ。
カツオカツオした香りが口の中に広がる。
割られているソーキ汁は、ちょっと那覇風ソーキの悪影響があり
丁寧に脂が取ってない・・・
温まってよいけど、汗もかかず運動量の少ない冬はメタボの原因。
脂の浮いたソーキは、いわば手抜きのバロメーター。
問題は明くる早朝、マリックスラインへの乗船。
船便は全て泊港と思っていたが、那覇には3つ港があるという。
泊港は沖縄離島向けであり、鹿児島行きマリックスやマルエーは
那覇港なのだそうである。 知らんかった・・・
朝から早起きして泊港へいくが、どこも電気がついてない。
あれ・・・なして・・・
あわててタクシーを拾ったら、違う港と教えてくれたものの
30キロ走行をターラタラ、チーンタララーと続けている・・・
オジサンというよりオジイな感じ、運転大丈夫なのか???
嫌がらせ?ワンメーター越えさせたいから?
もう絶対に間に合わないからって開き直り?
7時出港だというのに、カーラジオからはラジオ体操第二・・・
当然ながら、乗船手続きもまだだ。
「前に、絶対乗らないと約束に間に合わないお客さんが
本部(もとぶ)まで車で追っかけていって乗ったんですよ。」
と語った。
え?それって、この足で追えと?
でも明らかに違う港目指してるよね???
オジイのやりたいことがサッパリ見えないんだけども。
まだ船は港に居た。
「あー前に見える、あれがマリックスの船ですよ」
こちらの不安と出帆時間をよそに、実に落ち着いたもんだ。
降りようと思ったら小銭がない!こげな時に限って!!
売店のオバチャンは両替してくれそうにないと踏み
一機に乗船名簿を書き、乗船券を買って小銭を作った。
思ったより記入項目が少ない乗船名簿で助かった。
で、待っているタクシーのオジイに560円のところを
600円渡しておいた。
なーんか気に入らない素振りを見せたが、スマイル0円を追加し
スローなオジイを逆手にとって、一方的に船に向かう事に成功。
今度こそ乗船・・・と思いきやどこへ行ったらよいのだ?
乗船を案内するアナウンスもない・・・なんとなくダダっ広い港へ出て
船を見ると、はるか階段の上の方に船員が見える。
船便てのは、どこも案内不精で困ってしまう。
いや、これは鹿児島-那覇航路独特の習慣だろう。
ほぼリピーターだから。
その昔、鹿児島新港から奄美まで行ったときも
鹿児島新港で、フェリーを待つとき、どこへ車を寄せて良いか
皆目分からなかった。
そこらへんを左に入ったところに車が並んでるから、
てな案内具合だった。 すべてセルフ、省エネ、省サービス。
しかも今度ときたら大荷物を長い階段が待っている。
はるか僕の前を独り歩く、車の付いた中型の旅行かばんを
ゴロゴロ引いている初老の男性が、階段を見上げていた。
思いは同じ「これ、カバンを持ってあがれってこと?この段を?」だ。
二等客室は思いのほか、狭いスペースで、
余分な部屋を空けずギリギリで切り詰めて運用しているようだ。
掃除の手間が省けるからだろう。
船旅をする客というのは、ガラが良くないというか、傍若無人な
感じの人が多いからかもしれない。
薩摩の人らだけに・・・オオラカというか荒っぽいというか・・・
ともかく東海汽船と同様、お一人様55センチくらいの
雑魚寝の寝床が用意されていて、毛布がついているのが
東海汽船より、ちょっとオトク感がある。
東海汽船では、毛布一枚を借りると100円消耗する。
しかし、この幅は大人の肩幅ギリギリだよ。
甲板へ出て、パソコンのGPSで地図を調べてみると
何のことはない、宿のすぐ裏が那覇港だった。
やれやれ、モノレールとタクシー代ロスった・・・
で、乗船してしばらく、本部(もとぶ)を出たころから
隣の奥さんの子供がえらく泣き出した。
う、うぉっ、ゲ○まで・・・ちなみに僕のシートまで侵食・・・
もうモライ○ロデッドラインを超えている。
外洋の揺れに酔ったみたい。
何やらタフブックに興味があるみたいで、盛んに画面をのぞく。
バッテリーがあればハウルの動く城でも見せちゃる所だが。
最近タフの電池は調子悪く、寿命が短い。
70%以下の充電状態でしか保管してないのだけれど。
フライトでも泣き止まぬ子供、今度はゲ○を撒き散らして
泣き止まぬ子供・・・何気なく確実にパワーアップしている。
フェリーのわりに外に出られるデッキが少なく、窓もあまりない。
長距離フェリーだが、飽きの来やすい、狭い船だ。
安普請とて就航しているだけ御の字なんだろうとは思う。
船内はきれいだし、分煙もしっかりされていて、煙さが一切ない。
一方、コドモドラゴン発生は、少子化というのに少なくない。
船酔いの酸っぱいアシッドスプラッシュ攻撃は初めて体験したが、
狭くて五月蝿くて、窓も少ない退屈な移動空間は、盆正月を問わず
コドモドラゴンが暴れやすく、なんとか穏便に居られる空間を
作ってあげるのが21世紀、少子化に相応しい大人の「仕事」だろう。
これは必ず克服すべき問題だから解決策があれば「働き」を超えて
すぐに十分「仕事」になるはずだ。 引く手あまたというヤツである。
※大きなお世話と、個人的な意見による。
興味多きオッサンの僕でさえも・・・ちょっと退屈した。
外洋なのに、日照時間が短いためにプランクトンが居らず
トビウオも、トビイカも、海鳥もナーンモ居ないのだ。
混んでいないのでロビーで過ごせるのは救いだが
結局、子供の泣き声が響き渡る・・・のみならず・・・
アシッドスプラッシュを逃れて、小さなロビーの腰掛に疎開する、
そんな寂しい道しか残されていなかったように思う。
到着まで、まだ半日ある。どうしたもんだろう。
おや?
ペットボトルを取りに戻ったら、アシッドスプラッシュ爆心地のお隣と
ちょっと被災した僕の寝床が回収され、無きものにされていた・・・。
船は贅沢だ、などと思っていた自分が情けなくなってきた。
これまで、半日で済んでいた旅だが、今回は船便の安さ以上に
空便の有難さを、変えがたいものに感じ入っていた。
しかし尚もいろいろと・・・
到着直後から、今度はオトナドラゴン以上の思わぬ猛襲?が待っていた。
つづく