なんくる10、近道っちゅうのは、遠回りしてわかるもんじゃなかろかね、ラパラよ


北欧フィンランド、こんにちの魚っぽいルアーを製品化したのが

老舗ラパラ(Rapala)社である。

いわゆる共産圏であった国で、今ではNokiaのケータイでメジャーだ。

ミノーとは小魚型のルアーで、魚そっくりに泳ぐニセモノ餌の大発明。

現在もなお、釣具店のルアーコーナーに必ず在る、不思議に昔から

今に至るまで釣れ続けるシリーズだ。

 

長男が南大東で使うアレである。

10余年前当時は店員に呆れられたが、今や大物釣りの切り札なのか?

ミノータイプのルアーが必須アイテムとして、売られるようになった。

相変わらず、このマグナムは不人気で中古市場でよく見かける。

 

然るに

バブル時代のころから流行っているような、

水面で、カナリ恥ずかしい形のルアーを使ってみたことろで

バカみたいに釣れる魚は激しく減ってしまった・・・ってことだ。

南国に行ったら、バカみたいなルアーで、バカスカ釣る・・・

というのが、大物ルアー釣り師らのストレス解消方法だったが

今はそんなに甘くなくなった。

 

哀しい事実だが、長男も命を掛けずに釣れるポイントが

南大東から消えつつある。厳しいことだ。

大枚はたいて遠い釣りに赴いても、

なかなか釣れん世界になってきたのである。

 

あらためて、長男の釣りの流れを書いておくと

長男の釣りの考え方は、多分基本的に釣ると終わってしまう。

 

一番楽しいのは、ある場所に目をつけて魚の生態を考え

釣り方を工夫し、食わせる事が最も大切。

したがって釣りガイドだの船長だの魚探だのを使ったら

人間の尊厳が失われる気がするし、狩りの楽しみがない。

単なる魚を釣るマシーンに成り下がってしまう。

釣れない時は、何をやってもつれない、だが行った以上は

ジタバタして釣る・・・ような事はミットモナイのでやらない。

釣れない時は釣らないで遊ぶ、それがルアーの手軽さ身軽さだ。

で、結局その海の感覚が体で分かり、釣り方が分かってしまうと

飽きてしまうか、漁に徹することになる。終わりなのだ。

 

また、長男もバカなルアーを場合によって使うが

ポッパーは使わず、ペンシルポッパーというのを使う。

ポッパーは、大きなシブキとゴボッという水面をえぐるような音で

大型魚が抜け駆けして食事をしているような音を出す。

対して

ペンシルポッパーは、小魚やトビウオが、

水面に飛び出してでも逃げまどう姿を演出する。

ゆっくり引くと、死にそうな魚を演出できるが、経験的に

サメが出やすいので法度にしている。

上の方がリアルだが、下の方がはるかに釣れている・・・

 

食いが悪いとき、巨大魚の捕食音を出すよりも

小魚が逃げる演出の方が、食ってくる魚の巾に差が出ると思う。

巨大魚の食う音は、それ以下の全ての魚に危機感を呼ぶ。

それでは、その場で最大の魚も逃げる可能性がある。

しかも、餌となる小魚にいたっては一目散に逃げるだろう。

長男は中物狙いだけに、基本的にポッパーを使わないのがそこだ。

 

大型に目を向けるのとは違う、長男の美味しさ第一主義は

こうした釣り方にも表れる。

ポッパーは半ば駄目だと判断したときに、シメに使う感じ。

 

閑話休題

 

木製ルアーといえば製作に手間がかかり超高価な手作りのみ・・・

となってしまったように思えるが、

ラパラ社のルアーの大半は木製、日本のハンドメイドルアーの

1/5くらいの低価格で、安定した品質を保ち続けている。

 

本当は、ラパラジャパンという変な法人さえなければ

円高の今こそ、本来ならもっともっと安く手に入るのだが、

日本人に、まずルアーを食わされる御時世となっている。

ラパラ社も嫌な会社に成り下がってきている。

 

本来、失う事の多いルアーに千円以上出す国民などいないのだが

日本人だけは、軽々と払うから、そこに目を付けたフィンランドであった。

 

必ず、釣具店のルアーコーナーで目にするラパラだが

何しろ飛ばないルアーの代名詞で、高価になっては誰も買わぬ。

お店の賑わい系ルアーになってしまった。

モッサリした見栄えの悪いスタイル、飛ばなさ・・・

確かに釣れるが、海外と違い小型のモーターボートに

フィッシングガイド付きといったスタイルではないから

飛ばない事には、どうしても釣り辛いのである。

 

それを察してか、最近、飛びやすいプラスチックの

ラパラが登場しているが、相変わらずモッサリデザインで

しかもプラスチックになって更にチャチになってしまい

日本人の心を釣るには甘すぎる存在になってしまった。

あと5年くらいして、パッケージが日焼けしてきたら

おそらく、店頭山積みセール品になるだろう。

 

とはいいつつ

なして?長男がラパラを選び、使い続けるのか?

理由はもちろん、明白だ。

 

ヘタッピヘッポコ技しか持たない長男でも釣れるからである。

 

が・・・条件付だ。

どうしても壊れないルアーが必要なときだけ求める。

木製、樹脂製を問わず、ラパラ社のルアーは泳ぎと強度は

絶対的と言って良いほど信頼できる。

モッサリデザインも、強度が一因かも知れぬ。

このルアーもロウニンアジとのやりとりで金属のリップ(舌の様な部分)が

微妙に下の方へ曲げられてしまっている。

 

特にその中でも

ラパラの名作中の名作は、ジョイント付きルアーだ。

 

これがまた飛ばん、それはもう全然飛ばんのだが

去年と今年、10キロオーバーのロウニンアジを食わせた

それこそ飛ばなさそうな、変なデザインのXJSシリーズは

樹脂製なのに強度があり、不思議と良く飛ぶのである。

しかも、日本人からみると非常識な大きさだが

フレッシュウォーター用、つまり内水面、河川、湖沼用なのだ!

今年はこの金魚みたいなカラーがアタリだった。

 

もともと、木製で、お腹にオモリを埋め込んだデザインが

初期のものであったと思われる。

飛びと釣果は意外に関連性はなく、釣り人のストレスの

要素が大きい。

冷静にジョイントの泳ぎを見てしまうと

他のルアーの泳ぎが無機質に見えてくるほど

クネクネと良く泳ぎ、これは釣れる!と信じたくなる。

 

実は、小魚は波打ち際に多い。

大型の魚が入ってこないこと、酸素が多いこと

当然、光も豊富に注ぎ、プランクトンも多いことによる。

したがって、実は飛ばんでも、釣れる場合が多い。

 

が・・・・ルアーは1000回投げて1回釣れれば良い方だ、

といわれるくらい、餌ではないので釣れない。

その時に飛ばないのは、釣り人にとってダブルパンチだ。

そのために、ルアー釣りを断念する人も多いと聞く。

続けている人の中にはビギナーズラックで

最初に釣れてしまって、ハマる人は少なくないが

その後の苦労もあるようだ。

 

1000回も投げる間には、足元の岸壁にぶつけたり

魚に食いつかれたり、自らの釣り針でボディがすれて

円周状の規則的なキズが付いたり・・・耐久性も大切だ。

食われたら一撃でボディはキズだらけ、針も伸ばされ

下の写真では分からないが、金属のリップ(舌の様な部分)も

角度が変わってしまっている。

プラスチックでは折れていたかもしれぬ。

木のルアーはぶつけて割れかけても浸水しないから

瞬間接着剤などで補修してやれば復活する。

日本のキラビヤカなプラスチックルアーと違い、塗装も厚い。

遠くへ出かけるとき、壊れないというのは、とても心強いのだ。 

ただし、木製の新製品は、もう出ないようだ。

色変わりは出るが・・・寂しいことだ。

石油の値上がりで、自然に優しい木製ルアーが

見直されると良いのだが。

 

今のところ、南国でしか食わない色なのだが

きっと内地でも食わせたい、その色がコレ。

南大東で鮎カラーに食いつくバラクーダが居るように

逆に内地で、このバカカラーに食いつくヒラメやヒラスズキあたりが

居ても良いと思っている。

 

丈夫なボディを生かすには?徳之島だ。

南大東どころか、とんでもなく厳しいルアー郷・・・

けれど、川も浅い海も広がり、小魚は多い。

南国らしく、リーフが広がるからこそ、穏やかな海と

ルアーに興味を示さない魚の潜み続ける豊かな世界。

本来なら海洋の砂漠の真ん中にあるような南大東よりは

ずっと魚が多いはずなのである。

 

いい、いいではないか、釣れない南大東から

また違った難しさに挑むことができる。

 

マゾっ子長男のルアー人生において、徳之島で釣れれば

満足感もヒトシオだろう。

とは言うものの、策はただ一つ。

小魚ルアーで、中大型魚を釣れる仕掛けを組むことだ。

9センチのルアーに丈夫な針を着けて、まんまと釣ってやろう

という寸法である。

もちろん、食いが悪いので、仕掛けも細いものになる。

 

これは来年の南大東で、いよいよ大物を釣ろうという

人生終結の釣りに挑もうとする長男の鍛錬にふさわしい。

誤解をまねくので記載するが、死ぬるためではない、

純粋に、人生のなかで太平洋の、南大東ルアー釣りでの

一つの結論を出しておきたいうという、

長男の本能的欲求によって挑む必要があるだけだ。

 

徳之島を制すれば、南大東の大物も制す。

あくまでも過程であって、長男の釣り経験の肥やしである・・・

という意味において、やっぱりラパラは大切なのである。

 

なんのかんのと

イロイロアレコレと記してみたが、まー総じて、ラパラは安心だ。

本来、という言葉が良く似合う、さすが元祖であると思う。

飛ばないが、キビキビとした泳ぎで釣れる、

丈夫であり日本メーカーのルアーが信頼できなくなった時、

結局頼れるルアー、微妙だが後味の良い逸品なのであろう。

 

と・・・ここまで書いたが、ルアーは立派なインチキモンだ。

なしてこんなニセモノを食うんじゃろーかねぇ、まったく・・・とも

なぜか思わなくなった。

人間が考え至ったはずじゃのに、思い知らぬ何かが宿っちょる、

由緒正しきニセモノ、ラパラルアーに、今夜も乾杯じゃぁ!

 

南大東へ赴いて、ずいぶんと遠回りしたようじゃけど

なんか・・・実は近道じゃったんかのぉ

長男のルアーは、一体何を釣るためにあるんじゃろか?


参考までに、南大東の磯はこんな岩である。


ではまた