鳥は来ぬのか?
巨大ビーム砲レンズを南大東へ持ち込むのは初だ。
ゆえに気合も入ろうというものだが、前半は小雨続き。
後半は不眠症で昼寝三昧となり、思うように撮影できぬ。
今更思うが
自慢でもナンでもなく・・・釣りの片手間なのに・・・
給料三か月分のレンズが本当に必要だったのだろうか???
と、シラフに戻っても仕方ないが、集中力を分散して大丈夫かと
思ったりする。
だが、自然を撮る、大切な人を撮る、
ナンか元気を失った長男にヤル気を起こさせてくれる
エネルギー源になっていることは間違いない。
だがだが、普段より数倍のエネルギーを使って
賞味、正月休みからの5ヶ月分の遊びを、一気に遊ぶ刻でもある。
消耗が激しすぎることも、後厄の身にはキツイのも事実だよな・・・
などと思いつつ、
南大東空港手前のわき道を入るとシャープな影!
ハヤブサだ!と思って撮影したら、ホトトギスだったり
アマツバメだ!と思って撮影したら、ツバメチドリだったりした。
(左がツバメチドリ、右がホトトギス)
ふと思い出した。
大東神社には、まだ行っていない。
木漏れ日の下に花開くスイレンの可憐さは、ここだけかも知れぬ。
ひょっとするとカワセミが居るかもしれないので
バイクを降りて、こっそりゆっくり池に向かう、と・・・
バシャッわっさわっさわっさ、なんだ?馬鹿でかいカワセミ?
アカショウビン???
何かよくわからぬが、しげみへ逃げ込まれた。
まーいいか、それより今年のスイレンは寒いせいか開花が遅いようだ。
咲いたばかりらしく、落ち葉も虫もついていない。
数少ない花をしっかり撮ろうとアレコレ試してみることに。
水面近くから、真横に、いやむしろあおるくらいに撮影できないか?
くくくっ落ちる・・・などと水面付近に小型デジカメを構えて遊んでいると
後ろの方で、またバシャッわっさわっさが聞こえてきた。
見ると、いつぞや撮り逃がしたヨシゴイだ。
内地にも夏鳥として渡来するが、ここでは住み着いているようだ。
そーっと腰を落としたまま少しずつレンズを向けると
無心に狩を続けている。
鳥の姿をした警戒心みたいな存在なので、まず気取られずに
接近することは不可能な鳥だ。
20mまで接近できたら御の字だが今回は10mそこそこ。
シャッター音が気になるらしく、撮影すると、やや警戒する。
で、飛び去ってしまったと思ったら、いつの間にか
陽光の下へ出てきて、向こうから接近してきた。
まー何だ、よほど腹がへっているようである。
10mより近くにやってきたので、ハトより小さいサギなのだが
ずいぶんアップで撮れた。
三脚据えて待ち伏せしても、そうそう撮れそうにない。
多分、今回は白いレンズにカモフラージュを施したことと
上着をダークグリーン、ズボンをベージュにしたことが
おそらく暗い林とコンクリートの道にマッチしたようだ。
これにはちょっと策があった。
実は大東には必ず視線の高さに林がある。
島の外縁すべてに林があるからだ。
下側はコンクリートや赤土、サトウキビなど様々だが
サトウキビ畑も、枯れ葉が落ちていればベージュが強い。
そこで、一計を案じ、上半身と下半身別色で
ひとつの人間として認識しづらい服装にしたのであった。
あとは人間の形を見せぬように、立たぬことと
速く動かぬことである。
次は赤土色のズボンも欲しいが、見つかるかどうか。
うっそうとした大東神社では、ダークグリーン(ほとんど黒)の
シャツはかなりの保護色だったことだろう。
ひとしきり撮影したところで、さすがに撮影者に気づいたのか
違和感を感じたか、臭いでバレたか、飛び去っていった。
が・・・ふと横を見ると、これまた警戒心の塊である
バンがのんびりと泳いでい、よほど上手く化けたらしい。
やはり撮影するときはシビレようが何があろうが
姿勢を低く保つことが第一条件だが。
まともに撮影できたのはこのくらいだ。
空港に群でやってきたツバメチドリも空港関係者に蹴散らされ
ハヤブサ撮影も不発に終わり、チュウシャクシギも一羽だけ。
(チュウシャクシギ)
そういえば、珍妙なカモ連中は撮影できたっけか。
頭は真っ黒だが、どこか見慣れたカモと、カルガモが居る。
(カルガモ)
で・・・よくよく見ると、カルガモでもないけどカルガモっぽいのが居る。
カルガモはもともと地味なので、繁殖期以外も地味になることなく
エクリプスという状態がない。
※エクリプス
オスメスがはっきり違い、オスが派手な冬のカモは
繁殖期だけの姿で、他の季節は地味に変化する。
見慣れたカモはマガモだった。
冬場は繁殖期なので、頭が美しいメタリックグリーンだが
夏場は黒いらしい?でも思ったほど地味じゃないが。
(マガモ)
マガモのエクリプスは、もっともっと地味に変態するらしいが、変だよ。
長男みたいに、シジュウ過ぎても繁殖期むき出しな感じのマガモ?
なのであろうか・・・・気持ちは分かるぞ、おい、
そうだよな、そうなんだよな、俺達・・・。
で・・・鳥類研究軍団に見せたところ、怪しげなカルガモっぽいのは
マガモが混ざったカルガモらしかった。
(頭はカルガモ、しっぽはマガモっぽい)
父がマガモなのか母がそうなのか分からぬが
ともかく、カルガモとマガモのハイブリッド(異種交配)のメスのようだ。
カモはハイブリッドになりやすいのだが、大東でハイブリッドとは
よほど隔絶された環境に疲れたのだろうか・・・?
飛ぶと、そっくりさが良くわかる。
右のカルガモ?は左を飛ぶマガモらしさを備えている。
だが
まだまだ、心に不発弾っぽいものを抱えていたので
思い切って夜の探鳥へ出かけてみた。
のだが・・・そのてん末は次週へつづく。
ところで
バラクーダが鮎カラーのルアーを食っていたのを報告していなかった。
チチルカマサーこと、オニカマス(ドクカマス)の子供である。
子供といっても60センチはあるが。
引きが強く、ジャンプして針を外そうとする好ファイターだが、
少々妙な臭いの粘液を身にまとうのが玉にキズ。
毒魚だが、大東では食べることができ、
締まった白身で上品な味わいはマダイに匹敵する。
その歯は、防弾チョッキの素材、ケブラー繊維すら断絶する
鋭い乱杭歯なので注意が必要だ。
厄介な相手だからこそ、今はリリースできるようになった。
ネムリ針すらも口内に携えた個体も多い彼らは、
軽はずみな人類の釣り行為に、抗する意味を語っている。
オノレは何のために我を釣っているのかと。
オノレも語る、食べさせたい人が居るから、と。
生物の生き死にには、互いに命がけであってこそ意味が存在する。
命あってこそ、命のかけひき在ってこそ
我らの営みは存在す、安らぎは存在す。
それこそが、生きるものの全てだ。
一部の硫化水素を養分に生きる生物群意外は
おおむね植物ですら、死する生物の養分を食らう。
地球の基本を忘れかけたとき、いつも南大東は教えてくれる。
命のせめぎあいの島なのだ。
さてと、南大東の大物の釣り方も分かったことだし、
来年は男となるために最後の?チャンスと考えよう。
来年は命燃え尽きるまで、闘釣してみるか!
などと、いい歳こいて夢見心地な今日このごろであった。