春の風、うりずんの声

 


宿の予約をしようと電話したところ

久しぶりに友の声を聞いた。

電話の向こう、何年ぶりかの声は

少し違って聞こえたが・・・やっぱりそうであった。

 

声の後ろがわが、やけに騒々しいと思ったら

また女の子が増えたのだそうである。

これまでの二人の娘も、かなりの個性派だったが

今度もそうらしい。

だいとんちゅの血はやっぱりパワーのカタマリだ。

 

電話の向こうの声を聞いただけで、

不眠症の長男も、少し元気が伝染してしまった。

 

その足で、ご近所の桜とWさんちの畑を眺めようと

カメラ片手にぶらりと散歩に出た。

 

うーむ、昼下がりに鳥は居ないか・・・

 

よくよく見ると、セキレイが一羽居る。

相変わらず、無鉄砲に慌てている。

(足元には砂煙が・・・)

畑の常連だが、人から逃げるでもなく、寄るでもなく

不思議な方向に走り回るのが好きみたいだ。

 

少し向こうまで歩いて、山の様子を見てから戻ってくると

居た居た・・・常連2のお出ましだ。

こっちはかなり神経質なのだが、不思議と寄ってくる。

 

ふと一陣の風が吹いたら

桜吹雪を見上げるように、ツグミは胸を張った。

 

次の日、久々に晴れた週末連休だったので

N市民の森へ行ってみたが・・・ひどいもんだった。

野草や昆虫を取りにきたいい年こいたオッサン(長男より年上)が

湿地帯をグジャグジャにして歩き回り、鳥の居場所がない。

自分の居場所が無いからって、そりゃ無いんじゃないの!

 

しかも、えらくヤマガラが目の前まで来るなーと感心していたら

なんとフィーディングだ。餌付けにされていたのだ。

(ひまわりの種・・・)

オッサン達は、傍若無人すぎて何もかも失っていく事を全く知らぬ

知らなさすぎる。

こういう連中が今の世の中のために働いてきたと胸を張る。

 

善悪の判断なしに、金の亡者と化し、金でしかまとまりのない国家

アメリカにまでエコノミックアニマルと言わしめた訳が何となく分かった。

アメリカはマネーオリエンテッドアニマルだろうが

我々の方が貧乏臭いので、そう蔑称されて然り。

あんたらは理想を描いたことがあるか?豊かな国になれたか???

 

立て札がなければ何をやってもいい、そんな社会になっちまった。

やれやれだ。

 

それでもまだ止めない、

その上まだ社会に出しゃばっろうとするヤカラも多い・・・

そんなんだから、家庭にも居場所がないんだ。

身から出た錆ってやつは、死なんと分からんらしい。

 

こうして台所で暴熱キューブパソコンを電力じゃじゃ流し状態で

記事を書き続ける長男も、その宿業を負うているのだろう。

 

長男を含め、居場所の無いオッサンは、自然破壊をものともせず

家をおん出て過ごさねばならぬのだろう。

 

まあしかし、鳥たちも春は繁殖期の始まり。

忙しくて、オッサンに気をとられてばかりは居られないらしい。

ひかえめなホオジロも、かなり気合が入っている。

こんな気合の入ったホオジロは初めて見た。

おっさんにイキドオリを感じているのだろうか。

 

おーおー、アオジまで陽の下に出てきている。

春はやっぱりすごいぜ。

羽の感じはホオジロ科共通、枯れ芝色である。

 

しかし、前述の通り、長男が大好きな湿地帯は

オッサンらにメチャクチャにされて鳥は出て来ぬ。

 

帰り際、ふと妙な騒音?が気になった。

サッパパパパパパパパパ、サパパパパパパッ・・・

 

誰だ!これ以上、鳥生活の邪魔を・・・

しかし、人力を超えたハヤワザ的な音である。

 

小刻みにヨシの枯葉が揺らされている。

すると?

なんと、オッサンが市民の森の野草を盗み摘みしている

そのすぐそばで、コゲラがヨシを素早くつついている!

おーおー、キツツキのくせに草をツツクってのか!

なんか忘れてない???なんか気づけよ!!!

けどたくましいなぁ、あんまり嬉しくないけどたくましいぜ。

 

お母さんみたいだから、産卵に子育てに備えているんだ。

体力付けとくのに、オッサンどころではないのだろう。

 

自然は人間が思うほど弱くないんだな。

さてと長男も、も少しがんばって、うりずんの大東へ行こっと。

ついでに今年は、大東の海、大海で泳ごうかな。


ではまた