自然が相手・・・は

人間も含まれる法則

 


相手が動物では、釣りも観察記録もなかなか大変。

と・・・誰もが言う。

 

が・・・

人間も自然の一部だ、などというしょーもない結論は用意しない。

 

こいつがピンボケでなければ、間違いなく新聞に載っていた。

立ってススキを食べる姿なんぞ、誰も撮影していないだろう。

周囲の葉の先も食べたあとがある。

 

人間も、動植物も案外気まぐれ・・・

てゆ〜か、やっぱり人間の方が気まぐれだ。

無論人間の作ったメカはなおさら気まぐれのようだ。

上の写真は、キヤノンの気まぐれで意味不明な設計思想にだまされて

このあとのピントぴったりショットのストロボ発光がなかった・・・

なんだよ、マスター、スレーブ、オフって・・・オフが必要か?

 

島に戻るたびに学ぶ。

何が大切かを。

忘れてしまった素朴な疑問を。

我々大人がやるべき事を。

 

子供達がキチンと呼吸し、熱中症で死ぬことなく

自然タップリで生きていける世界を作ること、それが大人の仕事だ。

明日の食いぶちにかまけて、いっぱいいっぱいなフリをしても

明日は我が子が死に直面することを、しっかり認識しているか。

 

ま、長男は結婚もせずぶらついているので、全く逃げっぱなしだが。

 

本来

釣りも生物観察も、どうやら人間の都合と気まぐれが

大半を占めているらしいことが分かってきた。

 

昨年、林道を何度も往復しても、動物が出現する事を知った。

だが、往復すれば良いというものではない。

我々は、気候や林道の草刈がされないために

出現が減っていることに気づかず焦って、足早に往復してしまった。

林道は、動物にとっては一見不自然な環境だが

自然で得がたい何らかの生活の場でもあるのだ。

ツバメの巣を作りやすい軒先みたいなものである。

だからこそ時折、貴重な動物が見られるのであるが

我々は彼らの時間のスピードとは関係なく、

車と生活のスピードで往来してしまったものだから

動物達にプレッシャーを与え、無闇に警戒させることも多い。

年間数日の長男的エセ観察者にしろ、最もやってはならぬ事を

平然と?自然に?気づかずやってのけてしまう。

 

動物が出ていないことは残念なことではない。

我々が侵入するタイミングが悪い、

またはその行為が最悪なだけである。

いや最悪とも言い切れず、動物達にとって林道へ出てきて

危機感を覚えるよりは、出てこない方が遥かにマシかもしれない。

最悪というのはエセ観察者の、単なる一方的心情であろう。

 

しかし、互いが影響しあうこと自体は、生物界では避けられぬし

むしろ積極的に、お互いを刺激しあうべきでもあろうと思う。

(赤目に撮る純正メカ追加が災いし画像が荒い)

 

正直なところ、僕は活き活きとしたアマミノクロウサギの姿を

今、記録しておかないと、近々滅ぶ・・・と思っている。

 

大地に縛られた哺乳類が

島という限られた移動量のなかで生き延びられる限界を

もうじき異様な気象環境が超越してしまうと思う。

それは、国境を持ってしまった人類も同様だ。

 

無論、簡単に死滅はしないだろうが

日本人は、島とはそういう危うさのなかにあることを身にしみて知る・・・

でなく、その前に覚悟すべきなのである。

不公平もヘッタクレもない、こうした世の中で生まれてきた宿命だ。

 

閉ざされた環境で輸入や、海の資源が途絶え

過酷な環境しか残らないために

常に危機と、死と隣り合わせ、ということを。


てゆーか、真っ青で暑くて、でも気持ちいい夏

寒くてどうしようもないけど、何とかなる冬を取り戻すのが

大人の仕事であることを分かった気がする。

 

宿で、潮溜まりの貝類の研究を始めた琉球大の方に逢った。

釣りも、天草でヒラスズキを釣り重ねた猛者(もさ)であったが

その彼が、最近、沖縄本島でも小型のルアーしか食わないという。

 

残念ながら、長男のルアーは10センチ以上だ。

結果は明らかだったようだ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

でも、子供の青空も大切だが、大人の青い海も大切だ。

ちんまいルアーしか食わんような南国は、南国じゃないんちゃぁ!

(小さなルアーにしか食いついかないような南国は、南国ではない!)

 

しかも

リーフの温い(ぬるい)水に下半身浸かって釣りをしていたら

なんか竿が折れてしまった。

ホントになんか折れてしまった。

コイツは多分南大東と八丈と伊豆と伊勢に旅している。

ほとんど使わないが、無駄に旅した間に傷ついたか。

ストップ&ゴーという、竿を横にたぐって、たぐった分だけ糸を巻いて

またたぐるという作業をしていたら、ポキンと折れてしまった。

温いが足元からいきなり水深があり、イケそうだなぁ〜と思った途端だった。

ま、カメが居たので、こりゃ釣れんぞとは思っていたが。

今年はこの竿を使って磯で勝負!と思っていたらいきなりだ。

テンションが下がりすぎて以降、津波警報も出たので釣りは断念。

 

その直前にも事件があった。

ミノーを投げたとき、ものすごいスピードで水面を縫いつけながら

通常の3倍は速かろうというダツが接近しているのが見えた。

上がってきたミノーのフロントフックは、何の抵抗もないままに

ダブルスプリットリングごと根元から消え去っていた・・・

 

「ヤツがが、ヤツが来たんだ・・・!」と思った。

 

釣り場全ての仕掛けを全て消し去ってしまうという、ヤツが・・・

3倍の速度で接近する、青い彗星の・・・・

というのは、おおむね脚色だが(スピード以外は)、

本当にあっさりと、何の抵抗もないままに

フックごと持っていかれたのには驚いた。

主力ルアーのフックを失ったのもテンション低下の一因であった。

にしても、鋭い歯の持ち主、ダツの仕業。

 

てなわけで

話は当然、お食事事情しか残っていない。

 

今年は鳥が少ない。

やる気も出ないので、後半は夜の・・・ってか早々朝の撮影になる。

昼寝かちょっとした釣りに興ずるも、本番は夜である。

 

夜には、昼飯を食わずに身構えた夕食が立ちはだかる。

そう、誰が言ったか山海荘夕食(ゆうげ)名物

「完食不能・3人前ごはん」

(エビ一匹、レンコダイ一匹ほか野菜タップリ)

これを食べる前に最低、昼食、間食を摂ってはならない。

水分と、空腹を癒すキャンデーとか、ドライフルーツ二欠けとか

そんなくらいにしとかねばならない。

(刺身に使えるエビの頭とわたは出汁に使う、美味すぎる)

 

いやほんとに、長男は一週間、一日二食で通した。

南大東の磯も過酷だが、徳之島の夕食事情もまた過酷だ。

 

なにしろ「やっと食べられた、美味かった〜」と言うか言わぬうちに

「ごはんありますよ」との投げかけがあり

応えたら最後、大体おつゆ物まで出てきてしまう。

おつゆも半端ではない、モズクが入ったり、出汁は鮮魚だったり。

必然的に、格別美味いラッキョウ漬けやニンニク漬けも出るので

別腹敵に食べられてしまう恐ろしさ。

 

そこで気を抜いてはならぬ。

「グアバもとってきたからね」とか「パパイヤありますからねっ」と

デザートも出現する。 それだけでお腹いっぱいになりそうな・・・

(グアバもパパイヤもその辺に自生している天然物が多い)

 

昼飯だけでなく、朝飯すら抜いておけばよかったと思わせる

暴量夕ごはんであった。

 

これをクリアせずして明日もなく・・・当然、夜の撮影なし。

残せば明日も引きずってしまう。

 

しかもただ量が多いだけではない。

すべてご当地というか、ほかで味わえぬ

山海荘の家庭の味なのであって

決して食べ残せぬ味であることが、尚その迫力を醸し出す。

 

ただし

何日か滞在したら出てくる

いわゆる一見して客用メニューとは一線を隔する存在の料理。

これが美味くて美味くて、それはもうたまらない。

代表がこれだ。

極太切干大根の煮物。

ばら肉で煮てあるのに、ていねいに脂はとってあり

無駄な脂はすっかりなくて

案外さっぱりとしながらも、まろやかな味。

 

南国で切干大根を作るのは至難の業。

冬のほんのいっとき、作るのだそうだ。

なかなかやるぜ、山海荘のおふくろさん!

ごん太なので、かえって食べやすく、干した大根の味も深い。

合理性を追求した内地の細いのにはない味がある。

だれか、この味を引き継いで欲しいものである。

 

同様に、何気なく出てくるボリュームタップリの煮付けは逸品だ。

なんの飾り気もないが、普通にていねいにこしらえてあって

食べていて、なんの違和感もない、正真正銘おふくろの味。

おかげで、何日滞在してもビタミン不足で口内炎になることも

だるくて活動不能になることもない。

 

ただし!くれぐれも、これ一品で定食になるほどの量だが

これはあくまでも脇役なので要注意だ。

 

ではなぜここまで大量の食事が出るのか?

実は簡単な答えである。

 

本来、人間の食事は、三食ではない。

 

特に農業を営む人たちの間では、肉がない遠い昔から

一日数食の食事が当たり前であった。

徳之島の人たちも、兼業農家とか、自家菜園が普通だ。

暑い気候での農作業には体力が必要だから

島の食事は当然、必要な栄養の量になる。

足りなければ働けない、だから必要量をお客にも出す、

それが山海荘のオバチャンの信条であった。

 

農家でない旅行者はそれに対応できないと、

多すぎ・・・になるわけだ。

名物でもナンでもない、これが徳之島標準であった。

 

生きる基本がある。

 

ところで、山(さん)集落にはヒラアジの子アジの煮物の名人がいる。

(多分、カイワリ系の子アジ)

圧力鍋も使わず、じっくり骨まで柔らかに甘露煮になっている。

もちろん、釣ったのもご本人、釣り名人でもあるのだ。

酒もごはんもなくても、何匹も食べたくなる美味さ!

これはまだ、山海荘では再現できないようである。

 

観光客は少ないが、大地の味がまだまだ眠っている

そんなお食事事情に、長男移住の地は、やっぱりココだな・・・と

納得する長男であった。


追伸

今回の毒蛇第二段はコブラ!

といっても、非常に温和なので平ったくなってくれない。

その名は「ハイ」。

うどんくらいの太さしかないので

人間に噛み付けないのであった。

ちなみにこれはヤラセで、友人が県道で保護したものを

森で離す時に撮影したもの。

スゴく綺麗でかわいいヤツなので、また遭えると嬉しいかも。 


ではまた