実験体生活、最後の週
新薬の治験に参加している。
この体を実験体にしたのは、純粋に言えば
同じような不眠に悩む人たちに、いい薬を届けたい
本来の長男には全く手出しが出来ないことだが
それが出来るのなら、と始めた。
やり始めると、これが案外オモシロ苦しい。
お小遣いというか、補助金が1万円出るのだが
これをしのぐキツさがあるのだ。
やること
その一、検査(体重、血圧、血液)
その二、治験薬を摂取
その三、日々の記録を録る(その日の体調、飲酒、カフェイン摂取、それからタイムテーブルで、起きて、途中で何時に起きて、何分起きていて、また何時に起きて、また何分起きていて、またまた何時に起きて、またまた何分起きていて、それから眠くて眠れなくてウダウダしてから起きた時刻までを筆記)
その四、摂取した治験薬の空を持って週に一度医者へ行く
その五、治験の仕掛け人のオネーサンと一緒に寝て起きてまた寝て起きて、またまた寝て起きた時間をグラフ化
その六、センセーのいつもの診察を受診
その七、看護婦さんが返し忘れていた保険証を受け取ってからキッチリ支払
その八、近くの薬店で、抗うつ薬を処方箋どおり購入
※最初にうっかり設定した、イツモの時間に従って生活
※カフェインおよびアルコール摂取後、必ず3時間以降に薬を摂取してから就寝
といった具合だ。
そう、言わずもがな、その三が、苦し楽しの新境地なのだ。
夜、目が覚めてフッと気が遠くなる前に
ムムッ!記録だっ!!!と気力で腹ばいになり
記録紙に起きた時刻を記録する。
この時、少なからず覚醒してしまうのが
この治験の弱点だろう。
一体、最近睡眠薬が効かなくなったのはなぜなのか?
正直なところ、どのくらい眠れていないのか?
いつごろ目が覚めるようになったのか?
自分でも知りたかった。
調べてみて、改めて分かったが
長く寝ていて、連続4時間
早いときは寝付いて2時間以内に一度目覚める。
一夜に3回目覚めることがそこそこある。
目覚めの時間がオオムネ3時になってきている。
こういう生活がもう三ヶ月くらい続いてきた。
普通ならかなり深刻な状態なのだろうが
不眠になってから、もう何年も経っているためか
案外普通に、というか、短時間に深く寝ているようで
目の下がピクついたりせず、仕事で煮詰まって
考え込むときだけ、強い眠気が襲ってくる程度で済んでいる。
人間の体は、生きようとする力に満ちている感触が
確かにある。
お酒も平日は飲まなくなった。
(夜は眠いので、食後3時間も起きていられない・・・)
体重も、体の動きも軽くなり、案外調子がいい。
血圧もこれまでに無く下がった。
スゲーぞ、治験薬はスカばっかりか?と思われるくらい
全く効き目を感じないが、睡眠が少ないのに健康になっていく!
治験薬には、のんだ、という気持ちだけで安堵する人を
ふるい分けるために、見た目は同じで
スカ(プラセボ、ハズレね)が混ぜてあるのだが
長男の体は正直で、アルコールのせいか
肝臓の万能酵素P450が薬品を片っ端から分解するようで
何日のみ続けても効き目がない・・・スカばっかな感じだ。
あげくの果てに、徹夜の日まで出てしまう始末。
プラシーボ効果で、長男ものんだだけでグッスリ眠りたかった・・・
体に害のない、ビタミン剤あたりを、良く効く睡眠薬だよ・・・と
処方してもらって安眠したかったのだが。
今週で治験は終わり、実験体生活も閉じるわけだが
即その後は大東だ。
12時寝で5時前起きの生活が始まる。
例年、眠れずにとんでもない生活になるが
今年は案外、4時間あれば充分かもしれない。
ただし、アパート4階以上の高さの崖を上り下りする生活、
体の方が大丈夫か???
ま、なんくるないさぁ
多分
治験としては、効かない人間代表体質になるだろうが
今はひたすら健康生活、不健康睡眠で実験体を完遂だ。
健康と不健康が入り乱れる闘いの日々はもうすぐ終わる・・・
その後、はたして何かが始まるのだろうか・・・