とあるカードが未来を遠ざけた日
○aSuMoが我が家にやってきた。
こいつはソニーのフェリカというやつを使ったもので
「えでい」とか「すいか」とか「ぴたぱ」
なんてのもある。
これを手にした都会人は、ついついこれを何でも使える
便利なカードだとだまされてしまうから面白い。
関東ではたかだか首都圏くらいしか使えないし
オートチャージが便利だといって
現金をわざわざカードに押し込んで、カード会社に寄付している。
最大の問題は、クレジットカードとの組み合わせ。
クレジットカードは、その会社のしくみから3つに機能が分かれている。
ご存知だったろうか?
●イシュア=カード発行会社
●ブランド=立て替え金とりたて管理会社
●アクワイアラ=加盟店管理会社
である。
イシュアがカードに乗せたサービスを、実際に使えるようにするには
アクワイアラが、高価なカード読取装置を販売店に配るか
買わせる必要があるのだ。
ここが大きな落とし穴。
通常のクレジットカードはICカードと磁気カードがくっついたもの。
なぜ今更磁気カード?か、それは簡単。
読取装置が安いからである。
だが、非接触ICカードと呼ばれるカードには
磁気を入れられずデコボコになった文字も入らない
ものがある。それがこのフェリカ。
つまり、フェリカにはクレジットサービスは
入らないので、クレジットの入ったものがあるのは
変だなと思って、ちょっと調べてみた。
入らない理由は簡単。
カードの発行コストを下げるためと
世界標準規格のカードにはなっていないからである。
ただ、香港の交通には何年か前に入っているので
あるいは香港では使えるかも???
ただし、確かにクレジットサービスがついたものがある。
あれはデュアルカードみたいで、フェリカチップが
ワールドワイドなEMV規格のICカードに載せてあるようだ。
落とすと、ちょっとカード再発行が高そうである。
こいつは厚みも普通のカード並みで、とっても良さそう。
純粋なフェリカ系のすいかとか○aSuMoより確かに便利だ。
コストは確か・・・倍以上違ってたように思うが。
純粋なフェリカより、より多機能な方が薄いというのは
さすが高いだけのことはある。
でも、フェリカの仕組みを使うだけで
実は背景にあるシステムの方が高価で
運用費も取れるしソニーはどちらにしてもホクホクだろう。
一方
「ぴたぱ」には、便利なポストペイという仕組みが
導入されている。
さすがは関西、ナンボノモンの世界である。
こいつはクレジットなので、チャージ不要だ。
使えるサービスは、○aSuMo以上である。
一定期間に10日以上乗れば、自動的に回数券料金、
20日以上乗れば、自動的に定期券扱いになったりするような
サービスも提供されている路線もあるようだ。
ポストペイは、クレジットだが都度清算ではないから
手数料が月一回清算である。
だから100円のものにも使えるのだ。
で
前述のようにクレジットサービスを入れてあるカードがあるなら
なんで今更関東でポストペイが入っていないのか・・・
ただドッキングしているだけで、結局チャージして
募金してからでないと使えぬクレジットカードって
一体・・・・
てなことを考えると・・・
これまで2枚だった定期を○aSuMoに変えても
厚みが増えただけにしか思えぬのだが・・・
しかも作ると500円よぶんに取られてしまう・・・
美しくデザインされたはずのカードに
定期然とした文字まで印刷されて実に格好悪いし
個人情報も一目でバレバレではないか。
な〜んか納得いかない。
こんなこともあった。
定期にしようか○aSuMoにしようか迷って
窓口に並んでいたとき、オジサンが怒り始めた。
○aSuMoに東急のお買い物ポイントサービスをつけたら
全然届かないから、解約したい!と東急電鉄の窓口で
叫んでいるのだ。
叫びたい気持ちは分かるが、オジサンよ、ポイントサービスと
交通定期サービスは、一枚のカードで、たとえ系列会社でも
ぜんぜん管理会社が違うぞ・・・この的外れで無知丸出しの
恥ずかしい状況すら、オジサンには理解できないのだ。
無論、駅でキャンペーンをやっていたので
場所貸ししており、誤解を招く種をまきちらし、
共謀でないとは言い切れないのだが。
一つになって便利なもの、そうでないものを
よくよく判断するのが難しい時代になったものである。
世の中には、この手のイカガワシイ一歩手前の手口が
あれこれ当たり前に存在するのである。
たまたま長男は、前の会社で、モバイル○イカとか
非接触ICカードや、リーダーライターの
開発やら普及の渦の中に居たため、それぞれの得失は
な〜んとなく頭に入っているのが、多少ありがたく感じるが
ヤヤコシイことには変わりない。
てなことで
定期が一枚になっただけで、さしたる便利さもないが
不況時代に相応しい進化は、こうして受け入れるしか
ないのだろうなぁ・・・これからも。
パソコンソフトがパソコンの買い替えで勝手に使えなくなったり
テレビが勝手にデジタルになって、見られなくなったり
ワンセグケータイとかあっても
見られるのは本の一部の地方だけだったり・・・
格差という壁が、いろんなところで肯定されて
妥協されていく世界が待っているんだろうなぁ。
格差とは、現在の経済を支える、根底原理であり
差のあるところに利益が逆流し、低い方から高い方へ
流れていく仕組みこそが、経済なのだから。
じゃあ、なんで不便を知りながらICカードが普及するかって?
それは新しい格差を生むためと、人手を減らすためだ。
○aSuMoにすれば、駅の最大最後の敵、券詰まりが
撲滅できるからだ。
そうすれば、改札付近に人が居る必要がなくなり
駅はだんだん無人化できる。
だが、余った人は何をするのかは、検討される余地はない。
一体、人は働きたいのか、働かずに暮らせるようになりたいのか
いつか結論を出す必要に駆られるだろうが
信用と言う言葉だけが暴走する信用経済が横行する
経済社会が大勢を占めている間は、ムリムタイを食い物にする
そういうチープな文明が続くに違いない。
あ〜あ、便利なんだか、不便なんだか・・・
少なくとも
長男が子供のころSF好きが高じて想像した21世紀は
働くために働く社会、金のために働く社会じゃなくて
豊かさや、本当にやりたいことを追い求める社会しか
想像してなかったんだが。
それに
もっと人は移動し、自由な世界になると思っていたが
案外まだまだそうでもない。
ポイントが他でも使えるとか、カードが一枚になるとか
便利って、未だにこんな程度のレベルなんかねぇ・・・と
悩んでしまう長男であった。