長男籍料理、誕生まぢか

 


なるべく単純に、なべ一つで、素材の旨みを使って

調味料代金も節約できて美味しい料理・・・これが

不眠症系、脱力しつつ食欲旺盛長男の方針になりつつある。

 

夜、仕事から帰って、ビール500CCを、安物チーズをあてに

楽しみながら作れる料理。

ボリューム、鮮度、季節の味わい、満足感と欲張りつつ

でも、簡単、単純。

 

目指したのではなくて、あるとき大切な友人と食べた

ベトナムのフォーが心に残っていて

それに、最近職場の近くでいつも昼食のお弁当を買う

釣具屋みたいな名の上州屋さんで売っている

超格安の好物、くずきりが融合したのだった。

 

無国籍というかフォーっぽいが、成分は同じだと思うが

素材はほとんど違う。

 

ちょっと前までの夏場

朝食の栄養源の作りだめのために鶏のマリネを作るのが

習慣だった。

その時に、鶏肉をなべにわずかなお酒と水を入れて

軽く塩とコショウをして蒸し煮するのだが

残った煮汁が、感動的に美味いスープになる。

ほとんどアクもでない、肉も美味い。

 

で、毎年ゆるい巻きが気に入らなくも

甘い春キャベツが余っていた。

 

ついでに、勢いビタミンA補給のために買ってしまった

眼疲労回復用のほうれん草もあった。

 

う〜む。

キャベツは芯まで柔らかくしたいし、甘みも残したい。

出汁は鶏肉から自然に出したい。

足りねば、大好きなウスヒラタケで補強すればよい。

 

ウスヒラタケは、最近安くて、出汁の良く出るキノコなので

パスタにも味噌汁にも重宝する食材である。

西日本には流通していないかもしれないが

東日本にはわりとある、いわゆるシメジの類似品として

売られていたヒラタケより、巨大で白い種である。

香りはほのかで上品、だが、熱すると出てくる汁には

旨み成分がたっぷりだから、長男一目惚れだった。

注意が必要なのは、キノコの旨みは温度が高すぎると

消えやすいらしいということだ。

 

さても当初

素材はチンしようかとも思ったが

面倒だしラップで覆うと香りがこもり、くどくなる。

鍋なら少し隙間を開けたりして調整できる。

 

電子レンジの最大の弱点は、途中変更ができぬことだ。

 

途中で止めて、設定を変えられる、でもその前に

途中で止めるためのキッカケ、香りや蒸気の出方が

分からんのでは話にならぬ。

 

然して

一つ鍋で済ませる、大義名文として条件はそろった。

手抜き・・・じゃないけんね、意味ある事やけんね・・・

 

大切なのは

蒸すか、蒸らすか、煮るか、煮立ててなじませるか

この使い分けにかかっている。

 

蒸すというのは、圧力釜で柔らかく煮るのとは違う。

100度ちょうどの熱こそかかるが、煮ていない。

煮汁にひたされて、甘みや滋養分が出て行かない。

しかし、煮るのとの最大の違いは、同じ100度でも

エネルギー量が違うということだ。

気体になった水分の100度と、液体の100度とでは

エネルギー量が違う。

それは、科学的に言うと、相転移するための

エネルギーを得て、水が気体の水蒸気になっている。

これは将棋でいうと、「と」が成金になるのと同じような

サイヤ人からフュージョンするような・・・

恋愛して、心がなにより熱くなるような・・・

そのくらい違う。

 

だが、焼くのとは違い、100度である。

 

まず

白ネギを斜めに薄切りにし、鍋の底に敷き詰める。

その上に、鶏肉を薄く切ったものを広げる。

好みでニンニクやコショウ、ウコン、唐辛子などをふりかけ、

さらにその上に荒くざっくりと切ったキャベツをのせ

酒と水を鍋の底5ミリくらい入れて白ネギが浸るくらい入れて

中火で蒸す。

 

ひと煮立ちして湯気が鍋のふたから勢い良く出始めたら

火を弱火にし、3分くらい蒸したら

火を止めてふたをしたまま馴染ませる。

 

蒸らして、落ち着かせる感じ。

この間に肉とキャベツに火が通り

肉からは出汁が、キャベツは甘みが出て柔らかくなる。

 

次に、ほうれん草やお豆腐、軽く下煮しておいた葛きり

キノコ類を入れ、フカフカのほうれん草類に火が通ったときに

ひたひたになる程度のスープか水、大さじ一杯の

ごま油かサラダ油などの油をひとたらしし

もう一度ひと煮立ち。

 

ひと煮立ち以上させると、野菜や豆腐に火が通り過ぎるので

火を止め、しょうゆかナンプラーと塩で味を調えて出来上がり。

 

ほうれん草の代わりにアシタバやヒラタケの代わりに

酒と水で一晩もどした干しシイタケ、もどし汁を使うなどすれば

いろんな素材の香りや味の豊かなスープになる。

 

長男は、この後に香草代わりに、大好きな

セリを加えて食べるのが好きである。

ほとんど生で食べられるので香りも一段と豊かだ。

ただし、根っこの部分は、ほうれん草などと一緒に

煮立たせないと食べ辛い。

 

残念ながら、長男はベトナム系香草を知らないので

フォーっぽい見た目だが、味は全然違う。

でも、短い時間で甘くて柔らかな野菜とシャキシャキ野菜が

同居したスープを作ることができる。

 

鶏肉は適量にカットして冷凍しておくと、レンジでチンして

かるく解凍すると薄切りにしやすく、肉から出汁も出やすいし

短時間で火も通る。

 

アク取り不要、野菜やキノコの香りも活き活きした

なかなかのスープに、フォーの麺よりずっとツルツルで

コシのある葛きりがアクセントになって、なかなかイケる。

 

あとは、なんかこう・・・もう一つ切れの良い

香草の研究が必要だ。

 

そうそう、食べる直前にレモンを絞ると、これまた美味い。

いろんな食べ方がアリなのだ。

無国籍というか、蒸し煮お手軽料理だから

いろんな材料で試すと、思わぬ味に出会えるだろう。

 

葛きり代わりに、糸こんにゃくとかビーフンとか

余った去年のソーメンとかいろんなものを入れても楽しそう。

蒸して甘くなった野菜、シャキシャキ野菜、肉と

もう一味が加わることで、独特の料理になる。

一品で主食にもなる。

 

日本人には、多少野菜が多すぎて

主食ともおかずとも、何ともいえない料理だが

まあ、茹でたサラダよりは、スープがあって食べやすい。

ご飯を食べなくても済むので、中年を越した方々にも

よろしいだろう。

薄切りしたカボチャや、ヤマイモ、ジャガイモなどを

加えると、よりボリューム感も出るだろうし

体調によって、含んだビタミンやカロテンを

調整しながら材料選びする楽しみもある。

 

この料理、とにかく野菜が主食になってしまう

食生活維新なところが気に入っている。

 

さあて、葛切りもそろそろなくなるので

中途半端に余った、パスタでも入れてみるかな・・・

ん?てことはトマトとバジルも入れてみるか・・・

無国籍、思いつき第一主義の野菜主食料理、

スープの旨みが足りないとき、ガラスープの素とか

コンソメとかだしの素とかをブレンドして入れてみると

これまた不思議な味になる。

入れすぎるとくどいので、要注意だが

和風だしと洋風だしのブレンドは、なかなか不思議な

味を醸し出してくれるので、悪くない。

 

ま、変にこだわらないで、ともかくタップリ野菜と

スープをベースに麺を楽しむ料理・・・

長男の研究方針としては、これから暑くなるシーズンに向け

食欲を増し、喉越しのいい料理に進化できないか・・・

ってところだ。

 

さしもの長男も、血液にトロミがついてきたらしく

ちょっと健康にヨロシイ食べ物を研究しようかなぁ・・・と

いうのが、正直なところ。

コレステロールって、厄介なのよねン。


ではまた