台風長男に迫る、キョウイぃ?

てゆうかぁ、ウェストぉ?

 


徳之島に着いたころ、ちょうど沖合いには台風が二個やってきた。

あらためて、台風男となった我が力の重大さを思い知る?このごろ。

 

一方、大物を釣ろうと持ってきた釣具は最小限だが最強だ。

潮の高さまで計算に入れて準備した竿は11フィート(3.3m)で

宿のある山(さん)集落近くの金間崎の磯にはピッタリであったが・・・

朝焼けの磯は怒涛にもまれ、足場どころか磯が見えない。

(手前の岩は磯から50mはある)

港にもどってみたが、不思議と港は泥濁り・・・おかしい・・・

カンカン照りなのに、シケで濁ったか?とシブシブ帰路に着くと

港のそこここに水溜りがある。シケてたのかな・・・ん?

シケてるも何も港の中じゃん!ここまでシケが来ていたら

波は船ごと丘に上がって大惨事だったろう。

どうやら、前の晩にどっさり降った様だが、疲れのせいか

神経質な長男の気づかぬうちに、結構な雨だったらしい。

 

う〜む、今回も釣りは辛いな

 

それはそうと

今年の暑さときたら、地元の人もへばる暑さ。

(宿のオバチャンは毎年へばっているようにも感じるのだが・・・)

気温は32度くらいと大したこと無いが、夜まで暑けりゃ朝まで暑い。

冷蔵庫も熱を逃がせず、うなりを上げるほど暑いのだ。

ラッキーなことに、部屋のコインクーラーの集金機が壊れているが

エアコンを使ったら寒い上、朝だるくて釣りにもいけない。

夜は涼しい風で、28度くらいだろうか。扇風機直撃でも汗がにじむ。

強ではヤカマシイので、やむなく中にするが、そこはそれ生活の知恵。

フロントネットを外して風量1.5倍マシである。

窓際にくっつけて、外気を吸引するようにして、更に効率アップだ。

(お子様がいらっしゃる向きには、ネットを外さないようにしましょう)

 

むう・・・あぢぃ・・・Zzzzzz・・・・・

忘れて寝るに限る。

 

夕食が半端ではなく多いので、腹ペコでも昼飯は食べないのだが

今回はかなり食運が良いというか、よろしくないというか・・・

 

前の晩、おいといてと頼んだ脂たっぷりの煮付けをやっつけながら

朝飯をことごとく食べこんでいたら、オバチャンが「パパイヤ食べて」という。

(お手製の極太切干大根に味がしみて最高だが・・・)

油断した・・・長男は食事のとき果物を野菜代わりに食べる。

だから、朝飯の後でデザートという感覚を、すっかりさっぱり忘れていた。

見るとハンドボールくらいのが半分になって出てきた・・・

朝から前かがみになれないくらいパンパンに食べるハメに。

 

むろん、その昼は絶対食べないことにしていた。

たまたまその日はOちゃんと、徳之島の写真をもとに絵はがきを作って

島で売り出そうという営業をかける日であった。

 

Oちゃんは役場の人脈を使って、天城町役場のYさんを訪ねようという。

Yさんは快く我々の相談にのってくれたが、いかんせん役人だから

一民間人だけの商売を支援できない。

でも、写真展をやってはどうか、と新たな展開を用意してくれそうである。

絵はがきは、本物かサンプルを作って

直接空港のお店などに交渉するしかなさそうである。

微妙なのは空港だということだ。

内地の人は確かに空港ばかり使いそうだが

本当に島を訪れたい人は多分船をつかうだろう。

だから、亀津の港のお土産屋さんも欠かせないと思うのだが。

しかし、島の写真家が出しているらしい絵はがきもあるという。

これはちょっと敵情視察に購入してこねばなるまい。

敵になりそうならば、敵陣に乗り込んで、売るからよろしくねと

仲間になってしまえばよい。

それに、絵はがきではない売り方をしても良いだろう。

 

昔なら、徳之島シタジキ・・・なんてのもありだったろうなぁ。

知ってる?シタジキ。

あの、髪の毛をこすって逆立てるあれ。

角も丸いし、曲げにも強く色あせも少なそうだから、今でも案外いけそう。

フォトプレートなんて名前にしちゃえば良いかもね。

 

さてさて、記念撮影にまで協力してくれたYさん。

(海を見通せるエントランスが撮るはずが、Oちゃんのひと声で記念撮影に・・・)

どうやら、長男を気に入ってくれたのか、それとも怖いもの見たさか?

後日一緒にクロウサギ観察へ行きたいという。

大丈夫かなぁ・・・最高のクロウサギポイントが、土砂崩れで不通だし・・・

 

その後、せっかくだから絵はがきになりそうな、島の西海岸の断崖を

見に行こうと思った道々、Oちゃんがエビネランを見に行こうという。

さっきYさんが島の固有種だからと撮影すべしと紹介してくれたのだが

それを栽培している平土野(へとの)の宿、リゾートホテル「石」へだ。

 

行ってみれば、奥さんしかいない。

奥さんは関西弁を使い、案の定大阪の人。

実はこの宿にもOちゃんが長男印(ちょうなんじるし)の写真データを

配ってあるのだそうだ。

(自筆の長男印!)

はがきサイズになら美しく出せる300万画素レベルの画質で

すみに長男印を入れてあり、自由に配っても良いデータを作ってある。

前の来島の時に山中学校(さん・ちゅうがっこう)の校長先生に

お渡ししたのも、このシリーズであった。

本人より、写真先行でナジミつつあるよう。

 

奥さんと楽しくお話してから、ダンナさんにも会いに来るむね挨拶し

帰ろうと思った矢先・・・

 

やはり昼飯の話になってしまった。

もう2時前だ。これから食べたら夕食までに消化できるか危うい!

宿ではオバチャンの超夕食がテグスネ引いて待っている。

 

Oちゃんはインスタント食だから、人間らしい食事は断れまい。

案の定、しこたまオヨバレしてしまった。

少しで結構という言葉もむなしく、昨日ダンナさんが釣ってきた

鮮度抜群きときとオキサワラ(なぜか金沢弁だ)のアラ煮が

大皿に山盛り、それはもうどっさり、う〜わぁ・・・ごめんなさい・・・

ゆるして・・・ご飯まで・・・小皿は追加はやめてぇ・・・

オカワリだけは勘弁して・・・

モツまでしっかり煮込まれた煮付けは

天下の逸品で心臓だの、肝臓だの、カマだのヨリドリ・・・

手が、口が勝手にっ!・・・時間が・・・・消化が・・・うまい・・・・

山盛りが減らんトです・・・減らしてどげんするトですか!

・・・・しかし食べぬのも不人情・・・食べるも地獄・・・という具合。

 

前ふりが、ずいぶんズイブン長かったが、こういった顛末で

今回も、食べに食べねばならない辛い旅が始まったのであった。

 

しこたま食べて時間が遅くなったので、水蒸気が増えてしまい

かすみ放題になってしまったコバル海岸の風景・・・

絵はがきには使えぬなぁ・・・

 

ちなみにその夜はお盆の送り日。

予想とは裏腹にキッチリと作られた、ツムブリとエビのフリャー、

ツムブリと白身魚のから揚げ(微妙にダブりだ・・・)、

エビの殻のから揚げ、地元の磯でとれた巻貝とキュウリが

丁寧に楊枝にさしてあり、しょうゆマヨでいただくもの、

とどめに大きなサトイモの煮っ転がしが付いている。

むろん、島なので例外的な小笠原を除き、刺身は標準装備。

戦いの最中、更に地元の巻貝の、それは美味い味噌汁が

敵陣に加わってしまった。

なぜか天カスを入れるのがお気に入りなオバチャンであった・・・・

天カスは料理とは言えんバイ・・・長男は天カスが許せないタチだった。

でも、すごい美味しいダシが取れたというオバチャンの手前

天カスを選りだすわけにも行かず・・・確かに美味い、とても巻貝とは

思えぬすっきりとして臭みの無い、人生最高の巻貝ダシだが

辛い・・・辛すぎる・・・

 

不幸中の幸い、送り日の盆踊りに顔を出しに出かけていった。

もし居たら、パパイヤかマンゴーかドラゴンフルーツかグアバが

ごり押しに参戦したことだろう。くわばら、くわばら。

 

パパイヤもグアバも勝手に生えるのだそうで

ドラゴンフルーツとマンゴーはイタダキものである。

一応チェック済みだ。

 

恐るべし、飽食の時代・・・

ガス屋修行で引っ込みかけた腹が2日で戻ったぞ。

 

あくる日の昼食どき、思い切って牛乳だけにしようと

花徳(けどく)にあるスーパー吉村に行った。

500ミリリットルの牛乳が見当たらぬが、

1リットルパックの横に似たような500のパックがあるが・・・なんじゃ?

奄美特産飲料でスタミナが付くという「みき」なるものがある。

みき、と聞いてどうしてもキャンディーズを思い出すのは僕だけか。

神酒?酒か?確かに原料には米、さつまいも・・・砂糖とある。

砂糖?アルコールではないようだ。

となると・・・乳酸発酵ではなかろうか・・・極めて・・・び、微妙ぞ・・・

オバチャンが昼食をあきらめたであろう時間帯、昼さがりの時刻に

宿へこっそり持って帰り、開けてみた。

(いまだ謎に包まれた奄美の味・・・なぜ知られぬ?)

さつまいもとあったのでかなり変てこな色合いを予想したが

それは意外にも美しいおかゆの様な透明な白色である。

固さは洗濯のりみたいで(って知らないかな?)かなりドロドロ。

飲料というには、異様に粘性が高いぞ・・・

 

・・・・・・・・

 

結構おなかは空いている。

文字通り、背に腹は変えられぬ。

思い切って、口に入れてみた。

 

・・・・・・・・・・

 

甘い・・・少し・・・す、すっぱい!!!

 

息を鼻に抜いてみる・・・ん?臭くないぞ、意外にうまいじゃん!

空腹とはおそらく最高の調味料。

500ミリリットルをたいらげるには、ちと甘さがきついが

思ったとおりの優しい?乳酸発酵食品、心地よい酸味がなければ

このドロドロ物質は完食できまい。

500は多いな・・・醗酵おかゆみたいなもんだが何しろ甘すぎる。

 

この糖分ではトウブン腹は出っ放しだろう。

だじゃれまでが食傷気味になっている。

 

徳之島の宿、山海荘は間違いなく島の食材を使い

徳之島でしか味わえない料理が美味しくいただける宿だ。

しかしながら、2泊が限界だろう。

初めてのお客には、1日目、とても良い歓迎メニューが出るだろう。

2日目は、家庭料理が出るだろう。とても美味しいし量もたっぷりだ。

だが、3日目からは辛くなる。

よほど体を動かさないと消費できないカロリーが

体全体で理解できるようになる。

 

台風も大変だが、おなかの中には入ってこない。

 

ばあちゃんが言っていた。

「残さんと食べんにゃいけんのよ」と。

こんな時代が来ようとは、こんな旅があろうとは・・・

 

よ〜しっ、夕食前に歩いて港まで釣りに行くかぁ、濁ってるけどな!

台風は遠く、夕食は目前に迫る。

今夜の献立は何だろう・・・しょうがで何かを煮付けているようだ。

知人の社長さんからマッタケも今朝やってきたが、長男はマッタケも苦手。

栄養が乏しく、匂いばかり強い食材はどうも苦手である。

そんなことより、夕食腹勝負の前に、ひとあて釣りしてこよっと。

 

今夜からは夜な夜なOちゃんと撮影だ。腹ごなしできそうで嬉しい。

せっかくの嬉しさが、かなりヨコシマな気がする微妙な長男であった。


ではまた