新たな狙い

 


釣りである。

もう、二月である。

すでに、前回記事にあったように、音楽が家族のふるまいをするようでは

もう絶対に結婚できないのではないかと思うくらい

自分のことしか考えていない長男であった。

 

新しいルアー釣りの仕掛けを思いついて、試したくて仕方ない。

きっと釣れるに違いない。

そう思うとやもたてもたまらず、釣りに行ってしまうのだ。

この日は前日夕刻までしっかりとWebカメラで調べて

明日朝は必ずシケる!と確信して、ヒラスズキ釣りに大島へでかけた。

 

もちろん、万が一のことを考えて、新たな仕掛けも持ち込んでいる。

 

散々揺れに揺られた定期船の夜

ふたを開けてみてビックリ、昨日のシケはどこ???

穏やかじゃないの!対岸の富士山のほうを見ると晴れマークだったはずが

伊豆半島から横浜あたりにかけて雪雲が垂れ込めているではないか!?

全然約束が違うぞ!だれと交わした約束か知らんが・・・

 

夜のうちに風が回り、北東の風になってしまって

あの眠りを揺さぶった船の揺れはそっちのシケだったのだ。

 

やれやれ・・・

 

まあ、サラシ(白い泡のベール)が少しできるので

くまなく探って歩く。

今回は新調した長竿のテストも兼ねていて、今まで使っていた

15フィートを更に上回る、15フィート6インチのルアーロッドだ。

こんなご時世に、こんな小次郎の物干竿のような竿が登場するとは

夢にも思わなかったが、夢ではなく、ちゃんと発売された。

(ただし、生産量は極端に少ないようだけど)

ざっと4.7m、しかしあんまり長く感じない。

過去に改造して磯投げ竿なんぞを使っていたためだろう。

磯投げ竿は普通5.2mもあるからだ。

 

今まで使っていた竿は、古いが程よくバランスが取れ

長時間振っていても、ふしぎに疲れにくい優れものだ。

この竿は長いばかりで、確かに調子(竿の曲がり特性)は良いが

持ち重りがして、腕や肩が嫌がる竿だ。

なんとなせねばならぬ。

次のシーズンまでには改造しておかねばなるまい。

 

さて、釣りの方はサッパリである。

もう2月だから、あと半月くらいしかシーズンがない。

去年はアメリカ出張、今年はシケが続かない上、極端に寒い。

同日、八丈島でも降雪ではなく、積雪があったというから、相当寒かった。

 

ひとしきりヒラスズキを狙ったが反応がない。

ではと、ユックリと太平洋を見渡せる岩の上で日向ぼっこをしながら

食事をとってから、新たに生み出した仕掛けをテストすることに。

 

今は元気になったろうか・・・このルアーは、うつ病にやられた

10も離れた友人、E沢氏がくれたハンドメイドルアーだ。

一見、市販のものにそっくりだが、泳ぎは全然違い、軽やかだ。

生き生きと泳ぐ。

弱点は、軽すぎて飛び難いこと。

しかし、今回は関係ない。

生き生きさえしてくれれば、それが一番活かせる仕掛けなのだ。

石鯛釣りの仕掛けを参考に生み出した仕掛けで

捨てオモリといって、地球には優しくないが、オモリが岩などに

引っかかったら、すぐに糸が切れて、ハリ(この場合ルアー)が

戻ってくるという寸法なのだ。

したがってオモリが、通常では届かぬ距離にルアーを飛ばし

更に絶対にこの種のルアーでは潜ることのできない水深まで

運んでくれる二役を演ずるというわけだ。

砂地の場合は下にオモリの代わりにジグという重いルアーをつけると

ダブルルアーで狙える・・・なんて文字通り下心もりもりの仕掛けだ。

オモリに違和感を感じる向きには、ハリをはずしたジグを使ってみるのも

面白いかもしれない。

なるべく安いジグに限るが・・・

 

実はこの仕掛けには裏がある。

大東や南国の島で、サンゴ礁など、険しい海底で

美味しい白身魚を釣る事は非常に難しかった。

釣る前に地球やサンゴが釣れるためだ。

それに、重いルアーはアクションも過激で、おとなしい白身魚には

手が出し難い動きになりがちである。

そこへ、優しく、穏やかに泳ぐルアーを落とし込もうというのだ。

 

大島では、岩場に潜むヒラメは手付かずの高級魚。

それを狙う仕掛けであるとともに、南国の白身魚仕掛けでもあった。

 

長男はあくまでも、タダでは転ばぬのだ。

 

あとは、海に優しい素材で、捨てオモリを考える必要はある。

釣り人が年間、いや、今この瞬間に海に投棄している鉛は

膨大な量だろうから・・・

 

ルアーの方は、中古ルアー店で、おそらく売れ残った新古品だろう

中途半端な大きさのラパラが最高だ。

安くて、動きは地球一、そして安い!中古というのにハリの

スリ傷ひとつついていない。

これで、アカジンを始めとした沖の深場にいるハタ類や

フエフキ類を釣る事ができれば申し分ない。

まだ少しだけ、釣り人も漁師も手をつけていない海域は残っている。

 

できれば、そっとして置くべきなのかもしれないが。

釣れるかどうかは、また夏ごろに分かるだろう。

とりあえず、大島のヒラメは反応なし・・・・

 

しかし、人生前半の総決算がやってくるこの3月を前に

こんな生活で良いのか???と思いつつ、こんな調子で

生活してしまう長男であった。


ではまた