シケは?ヒラスズキはどこ?

 


このところ、微妙にシケ、水温は高かったので

伊豆大島へ行くのを休んでいた。

それで、このところ鳥の写真が多いのだ。

 

ここに来て、水温はようやく秋の21度まで下がったのと

冬の気配と強風による高波の予報が出たので

我慢できなくなってしまって、ヒラスズキ釣りに出かけた。

 

流石にシケの予報からか、金曜夜の大島行き定期船は

ずいぶん空いていた。

一等客室は、なお空いていて、新島に子供達が戻ってこないと

半分うれしそうに嘆く良い歳の夫婦だけが同室である。

東京を出て、横浜に寄港し、それから伊豆諸島へ向かう便で

横浜からの客は少なかった。

だから、ちょっと声を掛けたのだ。

この時期、窓際で寝るのは朝方の冷え込みがほとほと寒い。

だから、空いているときは、なるべく窓際から離れて寝るように

しているのだが、夫婦は東海汽船の心無い指定どおりに

窓際で仲良くならんで床についている。

でも、やはり気になり、初めてでもないだろうが

今日は空いていて、もう人は乗ってこないだろうから

窓際から離れて寝た方が良いですよ・・・とすすめたのだ。

 

案の定、横浜からの客は僕で終了、一等客室は3人で貸切。

ふとしたことで、会話が弾み、あれこれ新島のことを聞いた。

中でも、新島のクサヤは逸品だろうと言う話になったとき

なんと、そのなかでもサメのクサヤが美味いのだという。

そげなモン、聞いたことなかとです!

いつかきっと、死ぬまでに一度は新島でサメのクサヤを食べるトです!

という人生の目標が一個増えた思いがした。

 

そういえば、八丈太鼓もだった気がする・・・忘れ取ったトです。

 

こうして、和気あいあいと横浜港を後にしたのであった。

 

さて、3時ごろ、やけに船が傾き、揺れる、揺れる。

すごいローリングである。

心ひそかに「これはイケル!今朝の磯はシケてるぞ!やったっ!」と

うれしくて、また眠りに就いた。

 

シケた時は岡田(オカタとにごらず読む)港に入港する。

そして元町港行きバスに乗って、郷土資料館入り口で降りるのだ。

この日は、バスの運ちゃんが、地の岡(じのおか)がすぎて

表示だけ郷土資料館入り口になっているのに、放送を忘れている・・・

いかん!忘れとる!愛宕山もすぐそこに迫ってきた!

あわててピンポンを押すと、いささか急ブレーキで停車。

や、やっぱし忘れとったんだ。やれやれ。

 

そこから帰りのバスの時間表をしっかりデジカメ撮影し

ようやく釣り場へ出発である。

(レンズのひずみがスゴイ!)

ズイブン島の内部を走っている道だから、海まではかなり歩く。

何しろ、その間に空港が横たわっていて、その下をくぐって

更に歩いて歩いて、海まで出るのだ。

これが良い慣らしになり、着いた磯では体が十分温まっている。

 

いつもなら、次第に海の怒涛が地鳴りのように聞こえてくるが

今朝はちっとも聞こえてこない・・・

やっぱり外れたか!しかし、昨夜の元町港ライブカメラでも

波の高さは確認したじゃないか!

でも

いっこう波濤は聞こえてこず、ずんずん外周道路へ出ると

晴れという予報とは反対に富士山も見えない

シケはなく、海は静か・・・

実のところ、9割はこうなるだろうと予測していた、

今風に言うなら、想定内である。

 

しかし、伊豆諸島には常にうねりがあるから

少しはサラシ(波で出来る白い泡)が出るはずである。

そこをマメにアタックすればヒラスズキは出るかもしれないと想定していた。

確かにそのくらいの最低限のサラシは出ていてほっとした。

が・・・いかんせん、波が低いと有名磯なので人が居るではないか!

しかも、実績No.1ポイントに!

 

これも運だ。

これまで、それでよそのポイントを回り、予想外の釣果に出逢った事も

少なくない、これはチャンスととるべきなのだ。

 

さてさて、手前の釣り場は探り尽くしたので

餌まきボランティア系のオジサンの後ろを回り、向こう側の釣り場へ出た。

やっぱりヒラスズキは出ない。

時折、コツッとアタリが出るが、何者かは不明だった。

 

そして、最後のポイントと決めた場所で、粘っていると・・・

ククンっ!

乗った!ハリに乗った!すかさず合わせを何度も入れておく。

これが効かずに外れる事が最近多いため、多めにやっておく。

でも、あんまりやりすぎると身切れするという憂き目にも遭うので

デリケートにガッチリ掛ける、これが大切。

(どういう掛け方だ・・・???)

 

サラシが小さいので、それほど大きくない。

50センチくらいの小さいヒラスズキだな・・・と思ったが、千載一遇の

ヒラスズキ、慎重にも慎重に竿を寝かせて、ジャンプさせないように

暴れないようにやり取りして居たのだが・・・

妙だ・・・水面近くになると、馬力がどんどん増して潜っていく。

しまいには磯際へ突っ込んで行くではないか!

おかしい、まさか・・・

思い切って引き上げにかかると・・・やっぱりそうである。

このパワー、この磯際の粘り強さ、正にカンパチであった。

カンパチというと立派だが、ショッパチとかシオと呼ばれる

小型の当歳魚、ゼロ歳である。

ただ、何の動物でもそうだが、ゼロ歳というのは元気いっぱいだ。

むやみに走り回ったりジャンプしたり、転んだり、スキップしたり

かじったり、じゃれたりするのと同じように、カンパチも好奇心旺盛、

むやみに元気いっぱいなのだ。

だから、白身魚を思い浮かべていると、一回りもふた回りも

大きく感じるほど力が強いのである。

 

いやはや、慎重にやり取りしていたのに、力が抜け

思わず、磯の上なのにズッコケポーズをとるほど脱力してしまう。

 

取り込みをどうしようかと悩んでいたのは吹っ飛び

そのままスッポンとゴボー抜きして磯へ上げる。

いやはや、狙ったときには来ず、ヒラスズキを釣りに来て

カンパチとは・・・まだ海は秋真っ只中で、冬の気配すらないようだ。

カンパチが居るということは水温20度は下っていない。

 

日の短い、今が一番ヒラスズキを釣りやすいのだが

今年はかなり微妙である。

昨年は昨年で、年明けに北米出張だったから

今年はおのずとリキが入るのだが、海はこちらの都合には

乗ってくれない。

 

撮影し、しっかりシメてから再び釣りに戻ったが

残念ながら、次の一匹は釣れなかった。

 

気を取り直し、曇ったことを良い事に

釣りが続けられる。

一息入れて、朝飯を食べてから、再開することに。

 

今回、釣りづらい状況を予測していたので、昨年同様

また別の目的の竿をもってきて、実験する予定であった。

おにぎりをほおばった後、一休みし、仕掛けを実験用の竿に

付け替えて、釣りを再開。

実験用の竿とは、宇宙最強?の改造振り出しルアーロッド

「風刃」(ふうじん)をこの釣りで再利用できないかと思って

持ってきていたのだ。

 

カンパチが居ると分かれば、カンパチ用のルアーに交換である。

すると・・・コココンっ!軽いあたり、軽すぎる手ごたえ・・・

風刃はヒラアジ用に開発した竿であり、ベースは石鯛竿である。

何かが引っかかっているようだが、良く分からないし

この軽さは、確実に食べられそうにない魚の手ごたえ。

 

やってきました、昨年来のお友達?

(赤目現象ではなく赤い目だ)

悪食家の大家ともいえる、南国系エソ、マダラエソさんだ。

悪食家というよりも悪役クリーチャーで、スターウォーズでも

そのまんま使えそうなほど浮世離れした悪役顔である。

 

結局、粘りに粘ってみたが、クリーチャーのアタリはあるものの

ハリには乗らず、助かった・・・

 

伊豆大島かぁ

もう足掛け12年になる。

一度も泊まったことがなく、日帰りである。

レンタカーは借りずに、自転車か、バス、歩きだけで釣り歩いた。

ヒラスズキを狙ってきた島だが、太平洋の様々な魚達に出逢い

島の方々にも釣り人にも出会った。

 

「また、大島においで」・・・あのオバちゃんの言葉は忘れない。

クサヤもうまいし空気もうまい。

いつか居続けしてみたいが、身近すぎて、なぜか気が進まなくて

鳥も自然も横浜より10倍はすばらしいのに、だ。

 

しかし、そろそろまた、別の魅力を見つけねばなるまい。

自然は変わりつつある、だから長男も変わるのだ。

 

大島はいつも同じ顔をしているように見えるが

いつも違う顔で迎えてくれているのに気づかないだけだろう。

 

さてと、また今週末も行けるかな。

我が家の秋味、カンパチでも、冬の高級魚ヒラスズキでも

どっちでもいいぞ、ドンと来い!

気張ってみても、ま、お天道様しだい、風しだいか・・・


ではまた