妙な春

 


 

世界情勢より、わが食欲や心身の方が深刻になった。

病名など無いが、ともかく調子が悪い。

仕事の不安がつのったり、締切が迫ったりすると、一段と厳しい日々。

 

やはり、釣りできないので、精神的な柱を失ってしまっているらしい。

なにしろ、釣りできる天候や、そもそも釣る魚がいなくなったり・・など、

希望がまったく見通せぬ情況なのである。

 

なおさら、仕事のキリが悪くても、気分転換は必要だ。

デザインは気持ちのありようが結果に出てしまう商売だ。

 

今ごろといえば・・サクラかなぁ。

お゛〜、なっとるなっとる〜♪

 

もっと黒く熟したのを口にしてみたが、やはり渋く酸っぱい。

渋みさえ抜ければ、さわやかな酸味だろうに。

 

今年も、咲いている株が幾本かある。

実と花が同時に見られるのは、いささか贅沢な気分になる。

 

ただ、私のデザインした看板がある下の池には、野鳥がさっぱりだ。

この冬、ほとんどカモが渡って来なかったのである。

 

ここだけの変化か、広域的な変化なのか・・ いささか気にかかる。

自然は常に変化しているから、毎年恒例なんてことは無いんだが。

 

 

週末、カノジョは調査のボランティアで大島へ帰ってしまったから、

デートは春分の日になった。

曇天になったし、ワシもカノジョも疲労しているので、軽いデートに。

 

疲労の元となった、線刻画の看板の設置具合を眺めておくことにした。

 

雨やみを待ってから、カノジョとぶらぶら歩いてみる・・

イメージ通りに仕上がっていて、ホッとした。

 

依頼元の学芸員は発掘調査にかまけて、看板がおろそかになり、

ワシのほうもノリがイマイチなってしまい、難産だったデザインだ。

 

右奥にチラと見えるのが、去年デザインした看板である。

 

幸い、業者さんが熱心なデザイナーだったことで、文書の内容まで

細かくチェックいただいたお陰で、キチンと文体・文脈などを整理でき

納得のいく完成まで、こぎつけられた経緯がある。

 

松下でデザインしたモノは、ほとんどが数年で消えてしまったものの

こうして設置されたものは、長年にわたって人々の目にふれ

写真などに納められたりもするから、違ったやりがいがある。

 

お堅い学芸員も、このごろ脳みそがヤワラカになったようで、

埋め戻した遺跡の上へ、遺跡と同じように、子らにチョークでイロイロ

描いてもらおうと、地面に看板を設置したいと依頼があり・・ こちらも

カナリ悩んだ。

左の看板も、さしたる図面もなかったために、地中に保存されている

線刻画と、現場の状態に合わせて表現するのには難儀した。

 

地中にある状態の図面はキッチリと存在するが、現場の工事の図面が

存在していないから、あらためて図面化する必要があったのだが、

なにしろ地中にどのようにあるのか、確認のしようがなかった。

 

いくつもの観光マップや防災マップを手掛けてきたので、様々な地図と

図面を重ね合わせることには、勘どころがあって助かった・・・

 

松下時代より大きく進化したスキルの一つが、地図の作成能力である。

国土地理院の地図には、離島だと意外にも不備がちょくちょくあるのと

地図由来のデザイン依頼が多いので、加筆や加工にはだいぶ慣れた。

 

今回は、その応用編だった。

 

 

お互いそこそこヘロヘロで、イチャイチャできるが眠くて、早めに解散・・

しまった、抱きしめるチャンスがあったのに、逃してしまった!

 

ずっと前から分かっていたことだが、カノジョは3年ごとに転勤するから

3月いっぱい島を出てしまう。

 

それに際し、寂しさを感じてしまった・・・ 何十年ぶりの感覚じゃろか?

やはり心地よくはないものの、カノジョを好きでいられる原動力ならば

悪くないのかもなぁ・・と思うてしまたことが嬉しかったり。

 

愛のチカラは、存外すごいね゛〜♪(笑) 


ではまた