新たな 看板を

 


 

人の 知らせ

 

資本主権社会は、借金して自転車操業するのが定番スタイルである。

しかし、災害や伝染病だからと、ここ一番必要な時にたくわえが無く、また借金になる。

すると当然、増税が必要になってしまう。 バラマキも、たいがいにしないと・・・

そもそも、子育てを後回しにしたツケが、どえらい立ちふさがってしまっては、

なんぼ資本のプランテーション化した社会とても、継続性が失われたら主権が保たれぬ。

主権とは、支えるニンゲンがいないことには、発生しない事象であるからだ。

 

武漢発ウィルスの猛威はすさまじいのだが、アメリカにおけるインフルエンザの死者も

すらまじい。 医療保険がゆきとどかないのは、自由主義だから仕方ないのだそうだ。

カネを払えないのなら死ね・・・ さ〜すが、資本主権の根本原理が根付いた土地柄。

アメリカンドリームに届くまえに、死にやすい社会ってことを、しみじみ思い知る。

 

5G通信サービスが始まった。 28GHzという高い周波数だから、当面は超高速無線LAN

のような扱いになるようだ。 つまり高速道路の自動運転中に映画を視るなら

サービスエリアとか、事前にダウンロードしておいて、高速移動中に試聴・・・ のように。

エリアが極端に狭いので、ハンドオーバーさせるほど基地局を立てたら、邪魔で仕方ない。

 


 

前号に載せた、ベクトルのQRコードだが、あれを用いた案内看板が完成した。

リニューアルなので、板面のみ貼り換えてある。

 

2010年の暮れに設置したときは、なんと町長さまをはじめとして、教育長、町議、

集落の関係者などを招き、賑々しく除幕式が執り行われていた。

  

これほど立派な材木を用いた、大きな看板は初めての取組みだったようだ。

とかく丈夫さに重きを置くと鉄骨になってしまうが、山奥の集落らしく、自然なイメージに

重きを置いた造りにしたのである。

 

当時の企画課長の発案で、ちょうど私も役場に通い始めて1年くらい経っているので、

仕事にも慣れてきたころの依頼だった。

今や企画課長だった人物は、町議になられている。

 

それまであった手描きの看板は、今も残っている。

このような案内看板があったのは、おそらく当部(とうべ)だけではなかろうか。

 

何しろ、こうした企てを思いつくのは我の強いシマンチュだから、設置場所にしても、

内容にしても、かなりモメそうである。(笑)

たまたま当部は、出入口になる主な道が一本だったので、スムーズだったのだろう。

 

今回のリニューアルは、前の地図の向きがノースアップだったため、看板の前に立つと真逆の

イメージになっていたことが大きい。 地図の右が、実際には左のような感じになっていた。

道路の北側でなく、南側に立てられたからだ。

それと、タイトルが『クロウサギの里』だったのだが、旧看板にもあるように『いやしの里』が

本来の姿であり、今回、あらためて集落で話し合って再確定したらしい。

 

今回のデザインをする前に、この看板を見ていたら『癒し』でなく『いやし』にしていただろう。

ただ、今となっては、漢字で正解だったと思う。

ひらがなは優しい印象を与えるものの、癒しの効果自体が薄まって感じられる気がするから。

 

残念なことなのだが、天城町のキャッチフレーズは、どこへ行ってもほぼ、ユイと癒しである。

ユイは分かるんだが・・・ 癒し要素を感じたことはない。

具体的に癒し要素が見当たらないのに、謂ったもん勝ち的に用いられているのである。

商工会の看板にも『お買い物は、ユイと癒しのまち、天城町で』となっていて買い物にも

癒しを突っ込んでくるほど、ほかにネタがない町なのである。

海岸なのに水産業は壊滅的だし、天城町らしい産物といえば、なぜか南国風のフルーツ程度。

マンゴーやパッションフルーツ、あとはバレイショくらいなもので、シーズンが限定されている。

サトウキビの生産は多いものの、それを活かした産物は、純黒糖くらいなもので、ヒネリはない。

 

旧看板のなかでは、林道の一部が『森林の森公園』となっていた。

いろんな意味でモリ過ぎになってしまった名が、田舎っぽくてホッコリする。

おそらく、ここを散策すると森林浴できる・・・ ような思惑があったのではなかろうか。

今でこそイノシシ対策のため、無粋な金網や門で閉じられているが、以前は道路わきを整備し、

桜並木を造ってあったのだ。

移住した2009年当時には、まだ手入れされていたが、今は林道に戻っている。

幸か不幸か、ヒカンザクラは島では実生で増えないので、自然保護的には救われている。

沖縄島では、増えて困っているらしい・・・

 

当部の中心地である東又(あがりまた)に住まれていた、長らく文化財保護審議委員の会長を

なさっていた故・松村省三先生が、集落を活性化しようしていたのだろう。

様々な植物を移植されていたようで、その一端が、先の公園になっていたんだろうと思う。

東又には、省三先生が植えたカワヅザクラが、毎年春の訪れを彩っている。

 

さて

肝心のデザインだが、前とさほど変わった印象はないから、気づかれないかもしれない。(笑)

より広域をカバーするよう、区長さんから要望があったので、ハードルは上がった。

島の集落にはよくある現象だが、中心部に観光資源が集中しているから、より広い地域を

取り込むと、中心部が小さく見づらくなってしまう。

心象に残らない、余分な道路を短縮し、不自然jに感じないようデフォルメするのが、

こうしたマップ作りの肝である。

さりとて、地元住民の目をごまかせるレベルでないと、苦情が出る。(笑)

 

具体的には

地図の中心部が、先の東又と謂う地区だが、以前は3つの見どころだったところへ、

省三先生の家を改装して喫茶店にしたので、もうひとつ見どころが増えている。

<赤いのが東又地区

4つの見どころは、わずか80メートル以内にひしめいているのだが、

全体ではおよそ東西2.7キロの地域をカバーしている。 東又は、幅の3パーセントしかない。

やたら見どころが重なる中心部と、周辺に散在する見どころが、アンバランスこの上ない。

 

それらを、違和感を覚えない程度に伸び縮みさせてレイアウトするのが、腕の見せどころ。

さらに、『癒し』を意識して、ロゴや道路の形状に強めの丸みをもたせている。

 

また

道を整理して直角や斜め45度などにするとデザイン的には整理されるけれど、

私としては、整理されない方が、探求心をくすぐるのではないか・・・ と考えているから、

観光マップのたぐいは、わざと雑然っぽい雰囲気にするクセがある。

デザイン事務所のデスクの配置は、直角にしない方が発想が柔らかくなるのと似た原理。

それと、新たに加わった林道については、夜に訪れるべき場所なので、蛇≒ハブをイメージして

実際よりも大きなウネウネにし、曲線を整理して蛇っぽくしている。

シンプルにするだけがデザインではない、目的に合わせた複雑さをコントロールすることも、

デザインの意義の一つだ。 そのあたりは、合理性を追求する家電などとは違う方向性だ。

好奇心が合理に支配されてしまったら、実につまらない。

 

ほか

気分の問題かもしれないが、観光マップは、他のパンフレットに負けないよう、派手めな

色合いを用いるが、集落の案内には、鮮やかながらも中間色を多用するようにしている。

機内やロビーと違って、まわりの風景から離れすぎるのも、ナンだと思う。

 

例のQRコードは、右下に入っている。

ベクトル化したためか? わりと鮮明で、スムーズに認識されたのでホッとした。

直接グーグルマップにリンクさせるのではなく、独自のホームページを介してアクセスする。

多国語対応しやすくするためで、とりあえず日本語と英語のボタンを設けた。

それと、グーグルマップの共有URLはやたら長く、QRコードが細かくなってしまうのもある。

 

無くても困らないだろうが、あって邪魔になるものでもない。(笑)

 

リピーターの方ならわかるが、喫茶店『茶処あがりまた』は、土日祝日のみの開店が『前提』

なので、念のためFacebookで確認すると確実だったりするのだ。

冠婚葬祭がからむと、関係者がごそっとそちらへ行ってしまうのが、島の付き合いである。

ほか、盆など古来の行事では、仕事を休んででも実施するような風習が残っている。

 

さらに

私の別の仕事でもある、文化遺産データベースのコンテンツへリンクを張ることも欠かせない。

現場では分からない、伝承などを知ることができるからだ。

現場それぞれに、QRコードを配する手もあるんだが・・・

いづれARコンテンツが手軽になったら、そっちの方がスマートに違いないし。

 

観光と、文教のコンテンツを連携させられるのは、天城町の強みだと思うので、

それらをフル活用するコンテンツを提供するのが、私の強みでもある。

 

防災とも連携させたいが、イマイチ接点が分からない・・・

ホテルや飛行機で、非常口を確認するようなコンテンツ、と謂った雰囲気でアクセスする

感じなのだろうけれど。

 

島に旅行でやってきて、ウキウキ気分で避難所確認♪ だなんて、防災病だ。(笑) 

もとより、島でまともま避難所といえば、防災センターしかありゃせんし。

いざ台風や地震が来たとして、コンテンツにアクセスするだろうか???

それどころか、激甚災害においては、そもそも通信インフラが通じているかすら怪しい。

今しばらく手をこまねいて、考えあぐねてみるとするか・・・

 

 

ところで

トリトリデッキの塗装も仕上がった。

当部の看板の材木と同じ塗料だったような気がするんだが・・・ 異なるイメージになった。

自然木のイメージから、ガゼン軍用っぽくなった気がする。 造形がまるっきり、銃眼でもある。

当初は、昔の陸自のOD色に似ていると感じたが、むしろ東ドイツやチェコ軍のイメージが

強い気がしてきた。

これまで、鉄骨が塗装されていなかったから違和感が大きかったが、今後は軍事施設一色

のようなイメージに統一された。(笑)

んま゛〜 ニンゲンの好みはそれぞれ、感じ方もイロイロだ。 私以外が好印象なら、問題なし。

 

 

そんなこんなで年度末。

役場内の異動もあって、私の職場環境も揺れ動く。 予算が出ねば、私の仕事は減ってゆく。

来年度も、死なない程度に働けて、のんびり遊んでいたいものだ。


ではまた