今年もまた ガセネタの季節
迷える社会
メリケンの映画を眺めていると、君はカミを信じないのか・・・ガチョ〜ン!?
みたいなシーンが結構ある。 大統領の上にいるのがカミだ。
道徳のない連中にとって、信教がないということは、正しさの基準がないのだから、
それはそれで・・・ 確かにガチョ〜ンなのである。
ポン人の道徳とは、存在しない/居ても役立たずなカミの儀礼的な逸話をスッ飛ばし、
社会生活の道義を抽出した教えである。
ポン人に宗教が馴染まないのは、そうした道徳習慣と、説教の非現実が混交した、
窮めて雑な伝説まみれの道徳観を理解できないのである。
何のご利益もないカミに、ナニを祈るのか、なぜ役立たずな教えを守る必要があるのか。
あるいは、曖昧なカミとやらが、どうして唯一絶対たりえるのか・・・。
所詮、宗教とは昔から法に等しい秩序の手段であるから、無理にカミが必要ではなく、
ただ、どんなバカチン為政者や荒くれ民衆でも、絶対の高みの存在をこさえておけば、
秩序の足しになるだろう・・・というアイデアに過ぎない。
すなわち、カミを掲げることは、ニンゲンの正義でなくカミの正義であり、
何のご利益もないカミの与えた正義に対し、根本的に疑念を募らせてしまうのだ。
そもそも・・・なぜカミがいないと、道義を為せないのだろう・・・と。
いづれ宇宙時代になり、地球のカミに祈って効くのか? という時代がやってくるだろう。
今のうちに、宇宙をまたにかける宗教を立ち上げてみる・・・というのはアリかもしれない。
アンドロメダから、メッカに向かって礼拝・・・は無理だろうし、せいぜい数千歳のカミに、
150億年の歴史を背負わせるのは、到底無理な話だから。
おそらく、そのころには、他星系の生物とも交流があるだろうから、
カミに近い姿がニンゲンだ・・・という教え自体が、意味不明になるだろう。
1億年以上も進んだ科学は魔法のようであり、私たちの理想とは全く違う姿の生物が、
大繁栄を遂げているのだろうから、ニンゲン型の時代遅れ感も否めなくなってしまう。
クローンやサイボーグの先にある体組織や、あるいは体組織を用いないかもしれぬ。
宗教におけるカミは、地球上の旧いニンゲン専用の教えだから、宇宙にはそぐわない。
ニンゲンの心を慰めるために終生飼育され続ける動物・・・ペット。
チャンではブームになっていて、鍼灸治療なども行われているという。
四千年の歴史・・・無駄に便利だ。(笑) 受け手の刺激によっては虐待だが。
ペットの高齢化が進んでいるのだろう。
ニンゲンの糞尿だけでも膨大だろうに、そこへペットの糞尿まで・・・ご苦労なことだ。
さておき、なぜニンゲンは隷属させる関係を好むのだろうか。
どんなにダメでも上に立ちたいという憧憬夢想に満ち満ちている・・・ことの顕れか。
ちょうど一週間前から、ガセエンジンがかかっていた。
イノーから目が離せない・・・ クバガサ+スキー用サングラスの組み合わせは、
シマンチュどころか太陽系で私だけかもしれない。 南国だからこそ、マッチする。(笑)
金曜の午後、満ちてきた水中を移動するガセ≒アミメノコギリガザミ。
ハサミの青さ赤さ、甲羅の泥の黄色っぽさが基本的な色合いで、保護色にはなっていない。
内地のワタリガニは、甲羅の両端が尖っていて、いかにも繊細な旨さがありそうだが、
対照的に、太く丸みのあるフォルムは・・・濃さというか、大味さを想起させる。
心象は、そのまま食味に反映されるから、先入観は味を曇らせる原因になる。
けれど、そのくらい大雑把にデカいのだから、仕方ないことだ。(笑)
先の画のガセは、甲幅が14センチくらいのオスで、おそらく重量はせいぜい700グラム台。
だからスルーだった。 それをせいぜい・・・と謂えるのが南国情緒。
故郷の瀬戸内海の美味、ガザミのオスでは、500グラムに達するのは厳しいようだ。
南国の生物は、数は少ないが、成長は早くデカい!
あの アオリイカの倍をゆくコブシメが存在することからして、想像に難くなかろう。
そのあと歩いてきた個体は大き目だったから、わが家の晩餐となっていただくことに。
その前に、博物館 ユイの館の連中に、お披露目しておく。
天城町のデータベースに登録している生物は、なるべく多くの町民に見てもらいたいものの、
食材として鮮度を保つには、そうもならず・・・関係者にだけは見せておきたいのだ。
想像以上に引いているところからして、よほど凶暴なワタリガニに見えているらしかった。
ボールペンを挟ませてみたものの、思ったほどリクエストに応えてくれず、パワーはイマイチ。
午後の仕事をサボ・・・ 休止して、さっそくシゴ(下ごしらえ)せにゃならぬ。
以前はボウルに移したりするだけでも一苦労だったが、今は習性が判っているから大丈夫。
両のハサミを広げたとき、それらを左右同時につかみあげると、数秒だけ固まってくれる。
観察しているうち、一つの攻撃目標しか認識できないと判り、利用しているのだ。
ん゛〜こりゃ〜目算を誤った。
25cmのボウルへの納まりがギリギリ・・・ 勘で感じたのより大き目で、結構太い。
魚にしろカニにしろ、フィールドでは無闇に大きく感じないよう心掛けているので仕方ない。
期待し過ぎて、デカく見えてしまうようでは、大人の冷静さを失ってしまうからだ。(笑)
デカいのを間違えてリリースする、くらいの余裕があってナンボだ。
計量してみて納得。 ボウルがミッチリだったはずである。
キロに迫る良形。 嬉しい誤算だ。
ただ、足がかなり外れてしまって、出汁が逃げた。
ボールペンは、ちょいクビレができたのみだったが・・・歯ブラシはバネットライオンに。(笑)
バネットは生産中止になって久しく、ガセの手びねり?バネットをこさえたくなるほどだ。
このカーブが、口内の奥まで磨きやすくしてくれるものだ。
以前もバネットが存在していたが、これは今回はじめてバネット化したもので、二世だ。
この時節、繁殖期が始まったばかりのノコギリガザミは、ミソがたっぷり。
鮮度抜群、ほろ苦かったり、ホコホコまろみが味わえたり・・・一様でないミソを愉しむ。
炊いてから数時間が過ぎているにもかかわらず、ほどよく濃厚。
下半分の脚を動かす筋肉をほぐし、ミソをからめていただく幸せ感は、一入だ。
ただ、グラグラ煮たててしまったら、たちまちミソは散ってしまうから、要注意でもある。
大味なのかもしれないが、特にカニ好きでない私にとっては、そのくらいが丁度いい。
濃いしデカかったから、片バザミを明くる朝のガセうどんに持ち越した。
ちょい身は硬くなったが、冷凍ものとは違うレベル。 なんと贅沢な、朝うどんなことか。
ニンニク、ショウガ、挽きたて粗挽きコショウ、サンショウでチューンしているものの、
分厚いガセ・フレーバーの前ではやはり影の薄い脇役程度である。
カニ出汁のみの濃厚な汁・・・都会ではおそらく、一生に何度も食べられる代物ではない。
しかしながら、美味しいものをタダで食べるには、リスクも伴う。
次の日もその次の日も、脱皮直後のガセで、申し訳なく気の毒な捕獲&リリース。
たとえ、甲幅17センチでデカくても・・・リリースだ。(涙)
一日とんで四日後、珍しく6時ごろ起き出し、良形のガセを水揚げした。
トリトリデッキをバックにチェケラ。
記念撮影も大切だ、イェーイなご遺影とも謂える。
この時点では、均整のとれたガセは、大きくないと思っていたし、動きもユルかった。
はずが・・・ 初体験となってしまた。
肉がつぶれたか・・・骨には大丈夫だな・・・と想いつつ、激痛を味わっていた。
幸い、痛みに親しい性格のためか、意外なほど冷静。
体質的に・・・ どうせ指が砕けるなら、じっくり愉しみたいと無意識に感じたか。(笑)
挟ませたまま、そっとしていたら、すぐに放してくれた。
先のチェケラ写真の左側、彼の右ハサミが極太の方で、貝を砕く伝説の宝刀。
なかなか外れない左脚にからんだ網に集中したら、ひょいと挟まれてしまった。
なぜか
冷凍庫のご飯があったので、とりあえずそれを当てて冷却しようと思った。
アイスノンなどの冷媒もあるが、大きくて不便だったし。(笑)
その後、便利な自己回復機能・・・クラ(≒気)を二回集中しておいた。
昼には、ほぼ回復。
クラ・・・なんて便利なんだろう。 ドMと回復力は、セットでお得だ。
最も深かった外側の皮は向けているが出血も、内出血もなく、
あまつさえ、痛みもほとんどなく、ちょい違和感がある程度・・・ いささか残念。(笑)
ズキンズキンとかジンジンとかキリキリとか、さっぱりだった。
ただし、直後の五分くらいは、ほどよくギシギシ痛かったし、
むしろ味気ない痛さだったから、シゴにはほとんど支障がなかった。
ドMは便利なのか残念なのか、よく判らない。
大バサミの根元でジャストミートされると、骨まで砕かれることもあるが、
中ほどだったから、軽く済んだようだ。
大きいので鍋に収まるときに暴れられたら大変だから、ボウルの水を減らして焼酎を注ぐ。
しばらくすると、ヨッパライ状態になるので、それから鍋に移してお湯で絞める。
といっても、締まり切らないので、そこからしばらく炊いて、絶命させるのだ。
皿からはみだし、存在感が重々しい。
甲幅168ミリ、1,160グラム。
これまでの最大より30グラム重く、しかもヒレ足が一本欠けて、この重さ。
通常、大きな個体は、どこかいびつなのだが、とてもバランスがいい体躯だ。
300グラム超の大バサミ、指を砕かれなかった幸運に、かるく冷や汗が出る。
タライの水の中で作業していたことも幸いしたようだ。
もともとガセは、ニンゲンと対決する根性も必要もなく、水中で自由になりたかっただけだ。
気付いたのだが、ヨッパライになると、お湯に驚いても足を自切しにくくなるようだ。
ただ、茹でたあとで足の根元から体液が出て卵白のように固まっていたので、
自切しようとした・・・が、外れなかったようだ。
さて
一週間に二匹は、風味が強すぎて無理である。
もとより、上納として捕獲したものだった。
少し冷めてから、足の根元を丁寧にブラッシングし、しつこく泥を落とす。
甲羅を外し、エラを除いてから周辺の泥を洗い落として、また蓋をする。
さあ、シゴは終わった。
お世話になっているお宅までドライブだ! (笑)
美味い、痛い、二度おいしい♪ ガセは、実に味わい深いカニである。