南大東はじまる

 


今年の海はどうだろうか・・・

 

昨年から本格化した、海の濁りがかなり気になるところ。

釣れないことは、腕の悪さだろうが、せっかくの青の舞台が

あちこち工事の砂煙で曇ってしまうのは、さすがの長男も閉口する。

名古屋のダイバーらも、昨年から他へ行ってしまった・・・残念である。

 

去年は、これまで釣れていたイカも全然釣れなくなって

魚の反応もイマイチである。

今年はどうだろうか。

 

はたして、長男は手をこまねいてはいない。

先日、秘密裏に衝動買いした車で、徳之島まで遠乗りとも思ってみたが

今のところは、大東へ行って、新たな釣りをやってみるつもりだ。

徳之島への遠乗りはカナリ捨てがたい。

 

さて

南大東の釣りは、毎年かなり思い入れが強いのはご承知のとおり。

そりゃそうだ、宇宙一楽しいこと、それは島で魚を釣り、島やら旅の人たちと

飲んで食べられることなんだから。

 

これまで、お世話になった恩人、恩人、恩人

これまで、出逢った友、友、友

僕の命を駆動する、ソウルドライバーとも言うべき人たちと、また出逢えるかもしれない。

生きる基本を知った気がする島、それが南大東。

 

そこへ今回、行くための仕掛けはいたって簡単。

ただし、チャレンジ度は高め。

これまで苦しんだ釣果だが、釣りたい魚がいずこに居るのかは

おおむねつかんできたつもりである。

イイワケがましいが、知ってて釣り方を変えなかった・・・のも

3割くらいある。

深い海に抱かれた大東だから、魚が濃い磯際にこだわってきた。

残り7割はチャレンジャーソウル不足。

  

竿はカスタム?というか、いつぞや波照間へ持ち込んだ改造ロッド

いわゆる「旋迅」と名付けた竿である。

投げ竿、中通しのもので、波照間以来、一度伊勢でキスつりに使ったくらいしか

記憶にない、実にもったいない竿であったが、今は、重めのルアーを投げられる

貴重な竿として見直しつつある竿であった。

 

今回のターゲットは沖の魚。

荒い東海岸で竿を出せたら、アブラダイことフエダイを狙う。

穏やかでどうしようもない西側では、サワラ、マグロ、カンパチを狙う。

・・・い、いっちまった。

宣言して釣れたためしはない、そんなもんだ。

 

勝算はないが、釣りにはばができるので、朝、日中、夕方と

また試す事が増えてくる。

だれもやらない釣り方こそ、離島の醍醐味。

誰もやらない釣りに稀有のまなざしを感じられるのも醍醐味。

 

船で出るほど沖じゃない。

他の仕掛けで、陸から届くほど近くじゃない。

海岸線から100mから150mくらいを狙える特異な釣り、

長男の大好きな「オカジギング」である。

(前フリが長すぎだ)

 

目一杯体力を使い、技を使い、時間を使い、道具の限界を使う

ジギングは半自動的に釣れて来ることの多い他の釣りとは違い

釣り人のイメージとか思い付きとか、体力とか道具立てとか

かなり限界を垣間見る釣り方である。

特に磯の場合は、ギョタンなんてのもないし、足場もあやしいし

南大東の東海岸など、最後の魚の取り込みが想像つかない・・・

なんてこともザラであるから、考えるだけで楽しい。

このくらい難しいと、釣れなくても言い訳が立つ!

ではなくて

部屋でちまちまイメージして、仕掛けをつくって、体をつくって

いざ太平洋・・・想像しなかった事が起こるだろう、そしてまた

破天荒で恥ずかしいかもしれない作戦が

やるかたなく速やかに立てられるかもしれない。

こんな磯での葛藤が、長男が愛して止まぬ釣りの全てである。

 

ひとつひとつ自分で積み上げられる楽しさ、他にはまだ見つからぬ魅力。

命をかけてやるだけの楽しさを十分に満たしている遊びである。

 

命をかけることがカッコいいわけではない。

息子が釣りで死ぬなど、大切な両親にとっては自分が死ぬよりよほど辛かろう。

それを考えると、長男としてはカナリ切ない、申し訳もない。

命を燃やす意味がどこにあるのかは問題だが、命を燃やすことがどういうことか

それを忘れないため、長男きっての最終最大最悪のワガママ三昧が釣りである。

都会でくすぶる生活も、また燃やせるかもしれない可能性もあるいは。

 

追い詰めないと、本気を出さない、ちっとも出さない性格になっている長男。

釣りもおんなじである。

 

両極端だが、もう一つ

水面の釣り方も少し新たな方向性を探りたい。

昨年の夏に頼んでおいた、猛闘犬丸、中型ペン丸ポッパーである。

60グラムでスリム、全然南国向けではない。

だが、お値段なりの丈夫さを十分にもっており

更に釣り人をその気にさせる見た目!、まずは長男が釣られた。

このルアーは、ずいぶん、大島のカンパチなどでお世話になっていたものより

更に大型化されたもので、使い方は体が知っている。

ただ、それだけではない使い方も、今回は頭に入れている。

釣れたら報告する事にしよう。

 

最近、燃え上がる心の炎の色が、どうも黄色く

温度が下がっている気がしてならぬ。

最初に大東へ行った頃は、青の海を見て

心にはブルーの炎が燃え上がるほどの燃え方だった気がする。

歳のせいか、はたまた、独りが長いせいか

ここらで、もう一度ブルーフレームを取り戻したいなぁ・・・と

仕掛けを作りながらぼんやり思う。

 

本気出るのかなあ、本気は残っているのかなあ

本気、作れるのかなあ・・・酒ばっか飲んでちゃ、エンジンかからんわな。

こんなときゃ、ちょっと遠めに散歩しよ。


ではまた