苦党の幸せ
春の山野草というのは、なかなか待ち遠しくも
いつのまにやら初夏になってしまって、味わうシーズンを
ついつい逸してしまう。
植物たちの春はかなり早いから、寒がりで山に用のない長男には
とても採りに行く気になれないことが多い。
八丈や大島ならば、この時期道端に明日葉が美味しそうに
生えているのだが(年中だが)、好きな野草にはなかなか余程でないと
出会えないというのが磯釣り好き長男の弱点となっていた。
ときおり、記事に登場する、近くのポケモン系の名を持つ
「ヤオチュー」スーパーには、野草系の栽培食材が売られていて
これはこれで結構重宝である。
さて、今回は
長男にもあまり縁のなかったフキノトウをいただいた。
いつか、野草を食べる日が来るだろうと買ってあった
レシピ本が役に立つ。
長男は、天ぷら、フリャー系は結婚してからしか絶対にやらぬと
心に決めていて、既に20年間も、むやみに守りつづけている・・・
従って今回も、宇宙一好きな料理である天ぷらにはできぬから
おおむね、おひたしか味噌汁の具になる運命であった。
しかし、煮つけがオツだとあり、出来立てを想像するにつけ
やもたてもたまらず、やってみることにした。
シッカリ洗って、アクが強いせいか、黒ずんだところもあり
用心深く取り去って、甘辛く、ちょっと一味を加えて煮てみた。
くつくつと鮮やかな緑になっていく。
ちょっと煮過ぎてしまったが、とりあえずあっという間に完成。
結構縮んだ感じがあるが・・・
ほぼ毎日ゴーヤを生食している長男にとって
苦いものは至福の食べ物である。
唐辛子の赤が、緑を一層映えさせていて美味そうである。
さあ、味は・・・・・?
に、にがぁ〜あっ!
この後口ばかり強力な苦味!たまらん!
この苦っぷりは素晴らしい。
だが、ちょっと問題があった。
香りも味も、季節の珍味として申し分ないのだが
その後、口にするものが、なんでもかんでも苦いのだ。
ビールは美味いから良いとして、チーズも鮭とばも
ゴーヤのカツブシ和えも?みなのべつ苦い苦い。
これにはさすがの苦党もちょっと閉口・・・
何もかも苦いのでは、これはこれで飽きてしまう。
まいったまいった。
一方、この時期、鹿児島のソラマメが旬というよりも
早生栽培されて出回ってくる。
これは非常にお高いので困りものだが
美味しいのも困りモノであった。
スナック類はほとんど食べないが、こういうのには目がない。
ころあいよく茹でて、アツアツのところへ塩をさっとふり
茹でたてのところをホコホコと味わうのだ。
う〜ん、またビールが美味いこと!
人生、生きちょるだけでマルモウケ・・・わかるわぁ〜
変なときに人生の至福を感じる長男である。
旬の枝豆に通じるが、こういうのはどうも、夕方暮れ切らぬころに
西の空を懐かしく眺めながら一杯やるのが格別である。
どういうわけか格別である。
風呂上りなら、なお格別である。
なしてかねえ〜、こげなせからしか社会になって
結局こういう生活がえ〜んじゃからね〜。
長男の限界ってのは、この辺りにあるんかね〜。
そうねえ、これで畳の部屋と、縁側があれば
ゆ〜ことなかけんね。
それにしても、宇宙一好きなレンコンの天ぷらを
我が家で作れる日が、いつかくるんじゃろかね〜。