人生を

やる気にさせる何か、が

一つくらいあっていい

 


遅刻ついでに、せっかくだから5日、最新のことを書くことに


最近、惚れるエネルギーもないし、欲しいものもなし

一体何のために生きているのだ・・・などと思うことが多くなった。

 

欲しいものが無いのは、おそらく不況でこだわりの無い安物が増えたから

テクノロジーは追いついているはずなのに、買っても機能すら満たされぬことが

多くなったからだろう。

 

惚れるエネルギーはどうだろうか・・・独りが長すぎたからだろうか

それに、これから全く不透明な、踏み固められてないかもしれぬ

満ちを歩こうと思っているからであろうか。

 

しかし、どうも人生をやる気にさせてくれる何か、が

ほぼ心品切れし、なくなった気がし、何も望まなくなったような気がする。

 

正直なとところ、何が希望で、何が絶望か分からぬ。

生きちょりゃ、それだけでマルモウケじゃけ、っちゅうけれど

モウケテなんぼのもんなのか、誰がモウカルのかさっぱり分からぬのだ。

どうせ人生最期はみな同じところへ帰っていくから、早いか遅いかだけだが

問題は生きた証が残せるかどうかが生き物にとって最大最後の目的。

それすらも、人類が居なくなったら意味は閉ざされるのだから

所詮は、浮世全てがウタカタには違いないのである。

 

う〜む、歩み方を間違えたのか、歩む方向を間違えたのか

それとも歩んで来ず立ち止まっていたのか

どうも、このまま前に進めぬ。

 

生きるエネルギー、生き残ろうとするエネルギーはいずこから来るのか

まだエネルギーは残っているのか・・・

 

そうだ

 

長男には、正しい最期を見つけるならば、まず荒磯へ行く

という意志が残されている。

人生、至るところに青山あり、というが長男は青海あり、だ。

別に、死に場所を探しに行くわけではなく、生きようとする力を試しに行くのだ。

どうしようもなく元気がなくなったときこそ、荒磯へ出かけ

 

つ〜よい嵐をまともに受けてぇ〜

腕とぉ心をぉ磨くぅのさぁ〜

 

というわけで、生きようとする気持ちをこさえるのだ。

 

風邪気味なのか、鼻炎なのか、アレルギーで咳が止まらぬのか

よく分からんが、とりあえず治そうという力すら湧いてこぬから

シーズン最後、西風が吹き荒れて波浪が続いている絶好の伊豆大島へ

金曜夜から出かけることにした。

状況から見て、土曜夜でも良いのだが、休日マッタリした後で

磯へ出かけるのは、もっとエネルギーが必要になる。

 

何も支度していなかったが、あれこれ道具をそろえて

パッと出かけてみた。

大桟橋へは、電車一本ですぐ着けるようになったが途中客を見かけぬ。

今は椿祭りが始まった大島なのに、待合は閑古鳥である。

自分のことを棚に上げ、大丈夫か伊豆大島の観光産業は?などと思う。

チケットはさっと買えたが、秋より微妙に数百円値上げされていた。

 

定期船に乗っていつものように一等客室を目指そうとすると

「今日は空いてるし、部屋のお客は寝ているから・・・」といって

空いている一部屋をくれた・・・ありえん!これまでの東海汽船では

ありえんぞ!このサービス。

確かに一時間前に乗船した東京からの客は既に就寝中には違いないが

数百円の値上げにしては、このサービス心はどこから来たのだ?

とりあえず、普段は廊下に置き場を見つけに行くのだが

荷物ごと部屋に入り、真中に置いて座ってみる。

いずこに寝ても良いのだが、けっこう微妙に迷う・・・

窓際は寒いしスミに寝ることもなかろう、しかし

真中にボーンと寝るのも何やら変だ・・・

逆に雑魚寝みたいに感じるよなぁ。

ということで、一つの寝床をちょっと広めに使わせてもらい

大の字になって寝ることに。

う〜む、これほど安眠できた事があったろうか。

この夜の一等客室貸し切り事件は、料金以上の値打ちを感じた

多分最初で最後の出来事となるだろう。

 

さて

朝を迎えてみると、案外外はあたたかい。

東の空はそうでもないが、北と西が曇っている。

この調子では、朝の富士山は望めそうにないが

釣りに専念せよということだろう・・・と思うことにした。

 

バスを降りて歩くが、風ひとつ吹かない・・・おかしい・・・

天気予報が外れるにも程がある。

しかし、昨夜の船はたいそう揺れていたし怖いくらい傾いた。

いくらなんでもベタ凪ぎはなかろうが、それでも

西の風強く、後やや強く、というのは外れすぎである。

バス停から釣り場までは20分くらい歩く。

一周道路から海岸を目指し、延長された滑走路をくぐり、

中ほど、海から200mくらい内側を走る道まで出た頃

潮騒というか、怒涛というか遠い海鳴りが聞こえてきた。

これはイケる!心がうきうきし始めた、久々の感覚だ。

自然と足早になり、息が上がるが、早く海が見たい。

海が開けたとき、思わず小さくこぶしを握り締めて

ニッと笑っていたら、向こうからランニングしてくるお姉さんに見られた。

 

ちょっと高すぎか?と思うくらい、赤禿が高浪に洗われている・・・

やばいなあ・・・といいつつ顔が笑っていた。

 

人生、やる気になれることが、ひとつ位残ってたかもな。

なぜそう思うのか、なぜ死ぬかもしれぬような荒磯に

喜びがこみ上げて来るのかわからぬが、心が躍る。

 

サラシ(白い泡)が広がり、それはもうヒラスズキがバンバン釣れそうな

そんな状況であった。

やがて、風も次第に力を増してきた。

興奮気味にカッパに着替え、道具を準備していた矢先

あろうことか、普段なら絶対に波しぶきがとどかない場所へ

シブキがドっパ〜ンとやってきて、ずぶぬれだ。

火山の軽石でできた磯はザラザラだから、水しぶきの痕跡がなく

一見濡れていないからと安心する事は出来ぬ場所である。

一応は長男である、この事を予測はしており、靴は裏返し

ザックの口は閉じて準備していた。

やれやれ、早速装備を移動しないとな・・・

自然をあなどってはイケナイのだ。

 

さて、アチコチ、何時間もねばってみたのだが、全然あたりがない。

コツンとも来ない。

海がおかしいのか、ヒラスズキのシーズンが終わったのか

それとも今日は回遊場所が違っていたのか、トンと分からぬが

来ぬものは来ぬのだから仕方がない。

それでも無心になって何時間も波浪の中に遊んでいた。

富士山が見えていたら、とっくに集中力を失っていたろうが

風も波浪もほぼ予報どおりだが、天気が曇りでラッキーだった。

カッパを着ていても、直射日光があれば、魚も食いにくい上に

暑さが集中力を妨げてしまうのだ。

 

集中力はつづいたものの、魚信はなし・・・

 

やがて、雲間から太陽がのぞくころ

十分に波浪とたわむれ、何度か肝も冷えたためか

さっと切り上げる?心持になり、帰路につくことにした。

感謝しとるんよ、伊豆大島。

この十年間、いろんな体験をさせてくれて、生かしてくれて。

後何回来れるかわからぬけど、人生を変える一尾が

ここで釣れてしまったから、今またここに来られた。

 

この磯は特別な磯なのである。

その日は秋だったが、今日と同じようにかなりシケていた。

あの時もヒラスズキ狙いであった。

釣れたのがヒラスズキではなかった事が、その後を変えた。

 

この十年、おかげでいろんなところへ出かける羽目になった。

しかし、あの時何も釣れなければ、もうとっくに横浜に居らず

人生も余計に迷いに迷ったかも知れぬ。

 

少しだけまた、生きようとする力が補給できた。

希望は見えぬが、何やら心に熱がこもってきたような気がする。

 

こんな事をせねば、再起動できないのも困りものだが

こんな事がしょっちゅうできれば便利だよなぁ・・・

やっぱり、何か一つ、絶対にやる気にさせてくれる何かが

身近に必要なのに違いない。

だけども・・・ほかにナイんかなぁ・・・シーズン終わったし・・・


ではまた