いよいよ200号・・・
静かに、冬の使者がやってきた・・・
心の寒気にはスープが効く?
人間の繁殖期は夏だという。
ひと夏のアバンチュール・・・ってのは長男には無縁ながら
本能的なものであるらしい。
若夏の頃の恋心は遠い思い出の様に
早くも心のアルバムの、ほのかに温かな1ページなってしまったようだが
毎年、この季節は厳しい季節となる。
そう・・・プチ「ウツ」というやつである。
なぜか悲観的になり、魚釣りにも行き辛くなり、意味も無くふさぎこむ。
これを重大視してはならぬ。
心の問題は、まさに本人の心の持ちようであるから
秋も深まったし、そろそろ「ウツ」だなぁ・・・なんちゅことは思ってはならぬ。
例年なら釣りに行き倒すはずが、今年はアレコレ気象も荒れて行けぬ。
まあ、結婚が遠のく以外は特段何も悲観的になる理由はないのだから
気にしないに限るのだ。
ともあれ、腹は減る。
前述の症状のためか、何もかもが面倒くさくなり、やる気はなくなるが
一度振り払ってしまえば、しばらくは動きつづけることができるので
まったく大したことはないのだろう。
食事を作ろうとする事だけは、意欲旺盛!秋ともなればフルパワーだ。
生き物の基本を止めるほどヤキは回っておらぬようである。
中年の倦怠感というやつなのかも知れぬなぁ・・・
一方、サラリーマン生活の方はいたって牛歩である。
何をやってもさして当たらず、何をやってもさしてもうからぬ。
自己実現がそこに無いことが分かりきっているからかも知れぬ。
見つかるのか?作れるのかなぁ・・・自分の未来・・・などと
独り者だけにグルグル自問自答できてしまうのがマズイのかもしれぬが
結論も無いまま、料理を作りながら考えることも、この不思議と季節多くなる。
グルグルもまた独身の楽しみなのかもなぁ・・・
ふと、好天の朝
今年も冬の使者がやってきたのだ。
(ジョウビタキ)
う〜む・・・逆光に映える姿は・・・今年もやっぱりメスである。
冬がやってきてしまったのだなぁ、とシミジミ感じる独身長男であった。
そんななか、夜遅くなる事もままあるのだが
思った以上に冷え込む事も多いから、体を温められる食事は大切だ。
通勤路にはコンビニくらいしかないし、外食も口に合わぬから
何か、パパッとピヤッと作れて
バリエーションの広がるメニューは無いものか・・・
そこで思いついたのが、鳥スープメニューである。
アメリカからの輸入品というのはカナリ引っかかるが
骨をぶった切ってあるので、身から骨からスープが出る。
前にも書いたが、骨からスープが出ると言われる向きがあるが
肉からの方がはるかに出る・・・忘れないように。
もちろん、骨のズイに含まれるコラーゲンなどがでるから
ぶった切りの骨は決して悪くはない。
気をつけなきゃいけないのは
鳥類の骨格は、軽量化するためか特殊らしく
犬猫でも消化できないらしいから、食べる時は気をつけたい。
さて、材料は骨付きの鳥肉。
ぶった切り系が無くても、手羽もと、手羽先など骨付きだと
安くてボリューム感もありながら、骨の分、実は少なめで
ダイエタリーメニューであったりもする。
あまりグラグラと煮過ぎないようにして、ジックリ脂やアクをとり
スープにすることが肝心だ。
買ってきた鶏肉をさっと洗って鍋に入れ
最近めっぽう安く、2リットル千円くらいで売っている日本酒を
ダボダボ・・・と入れ、硬く食べ辛い白ネギの葉っぱの青いところを
土をよく洗い流して「臭み取り」として加え、強めの中火で煮ていく。
(この臭み取りネギのあるなしでズイブン仕上がりの香りが違う)
そうこうしつつ
沸騰手前で、アクがどっさり浮いてくるので、煮立つのを待って
音で察知したのでは手遅れになってしまい、アウトだ。
手遅れになったとしても、煮立ったらすかさず弱火。
アクと脂を取りつつ、10分ぐらい煮たら火を止めてふたをし、
20〜30分くらい置いて更に脂とアクを取りながら
もう一度10分煮て、一晩置くと・・・
次の日は柔らかくなった鳥肉にご対面できる。
(たまねぎ入り手羽もとバージョン、甘さが美味しい)
案外煮続けなくても余熱で火が回り柔らかくなるようだ。
ちょっとだけ砂糖や蜂蜜を入れておくと、より柔らかくなる。
気分を変え、玉ねぎも一緒に煮て、甘味と香りを加えたスープでも
また違った味わいが楽しめる。
夏場は朝夕火を通すが、20度を下回るようなら朝だけ沸かせば十分。
煮る回数が増えすぎると臭いがでてくるので、なるべく一日一回。
暑い頃ならば、鍋ごと冷蔵庫に入れて、必要分だけ鍋にとって
調理すると一週間くらいはもつ。
でも・・・11月をすぎても、24度を超えることもあるので
そんなときゃ朝夕の加熱を忘れぬよう、臭み以上に加熱の力を信じましょう。
さて
実は、手抜き系鶏スープは、そのまま塩を加えただけでも十分おいしく
たまねぎ入りバージョンならなおさらなのだが
そうはいっても飽きがくるから、レパートリーもある。
●超ボリューム味噌汁
かぼちゃ、ニンジン、豆腐、キノコ類、大根、長芋、ジャガイモ、サツマイモなど
冷蔵庫にある野菜を入れ煮込み、味噌とネギを加えて出来上がりである。
時間を短縮するためには、材料は薄く切るのがコツ。
また、味噌は田舎味噌系か合わせ味噌が甘味を引き立ててくれます。
思いっきり甘目の白味噌もまた乙なもの。
そこまで行ったら、いっそ粕汁にしてしまっても良いだろう・・・
●たっぷり野菜スープ
上記野菜類ややや葉物系(キャベツ、白菜)を好みで入れ煮あがった頃
味付けで塩、隠し味のしょうゆ、香辛料にはコショウ、クローブ、月桂樹、
ガーリックパウダーなどを加えて一煮立ちさせて出来上がり。
月桂樹は香りが強いので、時間が無い時は葉のほんの一つまみ、
5ミリ角くらいをちぎっていれても十分香る。
材料がくたっとするまで煮る方がスープらしいが
深夜の場合、あまり気にしないで、さっさと食べてしまおう。
なお
トマトのホール缶や、トマトジュース、ケチャップなどを使えば
あっという間にトマトシチューに化けてしまうことも要注意だ。
トマトの酸味とかぼちゃの甘味の組み合わせも、実は捨てがたい。
味のバランスはベース野菜の甘味と、スープのウマミ、酸味がからみ合って
成り立つので、野菜スープをベースに色々発展できそうな予感がする。
●即席、鶏飯(けいはん)風おじや
奄美地方に伝わる郷土料理で、地鶏のスープに醤油と塩で味付けしたもの。
でも、ぼくが食べた鶏飯はわずかにごま油の香りがしていたので、それを採用。
スープに、醤油と塩、わずかに砂糖(塩分をより強く感じるためメリハリがつく)と
一滴のごま油を入れ、野菜は白ネギをスライスし、たっぷり加えただけで煮る。
本来はアツアツご飯に、シイタケやキンシ玉子、もみのり、漬物などをトッピングし
スープをかけて食べるのだが、深夜ともなれば究極的に面倒だ。
チンしたご飯を鍋に加え一煮立ちさせて出来上がり・・・究極の深夜即席おじや。
シンプルだが、ネギとゴマ油の香りがとっても不思議なアツアツおじや。
シイタケを加えてみたが、そっちも美味しかった。
●さらさらナストマトカレー
ナスを長めの短冊状に切り、トマトは完熟のものか缶詰(ホール状)のものを
入れ、好みのカレー粉(僕は懐かしい味の「特製ヱスビーカレー」の粉)と
好みで、コショウ、ショウガ(さわやかになる)、ナツメグ、唐辛子を加え
軽く煮込む。最後に隠し味のしょうゆ、塩で味を調える。
鳥脂は固まらないから冷めても美味しいので、夏は冷やして。
え゛〜っという声が聞こえそうだが、絹ごし豆腐をさいのめに切り
その上にかけて食べるとヘルシー&ローカロリー、案外イケますぞ。
本格的に作りたい時は、予めたまねぎをシッカリきつね色に炒めてから
鳥と煮込むと作れるけれど、それだと専用になる。
カレー粉もあら引きコショウなどと一緒に、さっと炒ってから加えると香りが立つ。
ネバリが欲しい時は市販のカレールーで。
●豆乳/牛乳入りサラっとシチュー
少な目のスープにジャガイモや長芋、ニンジン、玉ねぎ
マッシュルーム(シイタケ)を加えて煮る。火が通ってきたら豆乳か牛乳を加え
コショウ、クローブを少々、バターを加えて具が柔らかくなったら塩で味を整えて
出来上がり。皿によそうとき、たっぷりとパルメザンチーズを加えると
これまた美味しい。粘り気は無いが、バターの風味がとっても温まる。
ってことで、バターがないと味も香りもサラっとしてしまいすぎてつまらないので
バターは必須。
前述の夏カレーもそうだが、小麦粉バター等で練り、焦がしてネバリをつけるのは
長男は好みではなくて、サラっとしたものが好きである。
●超ボリュームけんちん汁
「けんちん」とは豆腐と野菜をあわせたものだそうで、豆腐を入れなければ
けんちんとは呼べないらしいが・・・気にしていない。
しかも、しょうゆ味も味噌味もあるそうだが、長男はしょうゆ味を指す。
っていうのは超ボリューム味噌汁の、しょうゆバージョンだから・・・
●デカ鶏肉入りモロヘイヤスープ
骨付きぶつ切り鶏肉は、細かく砕けた骨片に気をつけねばならぬ。
だが、スープは美味い!このスープにスライスした玉ねぎを加え沸騰させ
沸騰する間に、すかさず細かく細かく刻んでおいたモロヘイヤを加え
塩、あら塩コショウ、ガーリックで香りと味を調えたら手早く完成!
何しろ火を通しすぎないことが、このトロトロスープの栄養と美味さを醸し出す。
キノコがあれば、玉ねぎを加えるタイミングで入れておけば
旨味もいっそう引き立つこと間違いなしだ。
今のところ、このくらい・・・季節や気分によって素材が変わるので
レパートリーが無くても味が変わったりするから不便は無いかも。
※注意点
汁物は味をつけてから煮る時間が長かったり、時間が経過すると
材料の中に塩味がしみて、スープの塩味が薄くなる。
塩分はそのままなのに味が薄く感じてしまうので
なるべく塩分をひかえたい向きには、食べる直前に塩分を加えるように。
ということで
心にやってくる秋などものともせず、手早く美味しい食事を作ること。
これも秋の大切な生活の知恵なのだ。
ただ一方では
このような奇妙なテンポでサラリーマン生活することが、本当に幸せなのだろうか
幸せを招く生活なのだろうか・・・と思うことしきりな長男であった。