マニアの世界へ

 


土曜日、二日酔いを押して早起きし

洗濯をすませて、向かった先は有明。

もちろん、ムツゴロウやワラスボうごめく有明海ではない。

東京ビッグサイトのある方である。

 

この重々しい気分の先にあるのは

さらに重々しいマニアの世界であった。

 

長男はマニアのようでいてマニアではない。

マニアには利便性や目標達成とは無縁の

なにか盲信するものがなければならない。

 

今回はPDAの世界であった。

PDAとは何の略か、というのはおいておいて

ちっこい手のひらパソコンのことで、今回の催しは

特にマイクロソフトとウェブサイトWindowsCE FAN共催で

400人限定という、新製品発表会に近いのだが

セミナー形式中心の極めて珍しい形態だ。

(東芝の開発中モデル)

さらに珍しいポイントといえば、ビジネス向けではないことだ。

仕事できている人は少なく、私も含めて半分仕事

半分以上趣味という連中が集まっている。

残念ながら半分仕事であり、さらにPDAを利用するのは

やりたいことが存在し、理由があることで

私はマニアになれていない。

 

手帳サイズでありながら、5万円以上もして

メモリーも少なく、ソフトも少ないし、使い勝手もイマイチという

特殊なコンピュータを使う人には、マニアが多いのも自然なこと。

小さなころから夢だったテクノロジーの結晶のように見える

手のひらサイズのデバイスがそこにあることが

本来、魅力なのだ。

 

使い勝手の良し悪しや

何のために所有するのかは問題ではない。

 

とにかく欲しくって、不便だろうと少々高額だろうと買って持つ。

使いにくいのを知っていて、次々と買い換え、夢を持続させる

というのがこのジャンルのマニアの共通点だ。

ノートパソコンや、手帳に帰着してしまった人は

もともとマニアになれない、まじめで夢のない人なのかもしれないが

私もマニアになれない人であった。

 

私は釣り人であり、釣りの喜びを持続させ、その喜びを

頼んでもいない人々だろうと強引に共有するのが目的であり

この目的は実用ではないが、結果としてPDAそのものを

楽しむのではない目的に結びついてしまっている。

 

PDAそのものは問題ではない

釣りの装備を妨げないコンパクトさのなかに、パソコンの実用機能を

切り取って格納していることが魅力ということ自体

マニアの風上にも置けない。

PDAを持ちたいのは、PDAが魅力的だからだ

と思っていなければなるまい。

 

さて

有明についてみると、関係者以外立ち入り禁止

と書かれた札の向こうに、黒背広で無線を装備したお兄さんが

招待客を待つという、マニアックな構図が待っていた。

さながらマニア以外立ち入り禁止

といったところだろう。

 

私も、きっちりと事前登録し、あかぬけない地味な服を着

わざと無精ヒゲをそらずに残し、持っているPDAを二個とも持ち

マニアに変装して出かけていた。

(※左から、遊び用?の東芝GENIO、仕事用のソニーCLIE

  右端は、PDAではなく電車で音楽を聞くアルコスAVプレーヤー)

もちろん、暗い会場内で、さらに暗めであろうマニアの表情を

正しく撮影するための手ぶれ補正付きデジカメを携えていた。

 

思ったより会場は静かであったが

引っ込み思案で、地味な生活を送りながら

ハイテクには金を惜しまないが女性には縁が無いといったような

ネルシャツとか、チェックのシャツとさえないジーパンに

うすでのジャンパー姿という一貫したマニア達には

たまらないミニスカートレースクイーン系衣装の演出ながら

胸は小さめという微妙に控え目なコンパニオンを揃えているのが

心憎いところだろう。

一応ただ笑顔をフリマクだけでなく、ナゼか特製の壁紙データを

配るという任務を担っており、マニア/オタクの方々に

接近のチャンスを与えてある。

(残念だが恥ずかしがり屋の長男はコンパニ撮影が出来なかった)

一見ぱりっとスーツを着たウェブ系の職業につくビジネスマンだが

なぜかスポーツとは縁遠い、小太り、妙な長髪、脂ぎった表情

といったマニアを仕事にしているような方々が多い。

 

ところで、このイベントに参加したのは

南大東をはじめとした島々へ行くのに、パソコンは重すぎるしかさばる。

しかし、島でもある程度、デジカメの画像を確認したりメールしたり

ウェブサイトにアップしたりして自慢したいということがあり

現状保有するPocketPC2002マシン(GENIO)より

強力なマシンが必要だったからだ。

 

今回、国内の展示会に先駆けて、実働機まで展示されていたのが

Windows Mobile 2003 Second Editionマシンであった。

冒頭の写真がそれだが、画面も細かな表示が可能になっている。

前述のマイマシンよりOS的には2世代後になるマシンで

パソコンに迫る機能が盛り込まれてきているのだ。

(モトローラの変り種携帯電話一体モデル、軸が縦横切換り

 縦に開いたり横に開いたりするようだ。国内販売はない・・・)

だが、マイクロソフトもバカではない。

フルスペックのWindowsXPとは異なる攻め口で

しっかり作りこんでいる。

 

デジカメ好きの長男としては

島でのデータバックアップが必要だから

携帯用ハードディスクと接続して欲しかったが

この機能は搭載されていなかった。

 

しかしながら、CPUは530MHzに達し、5年前のノートパソコンより

ずっと高速な環境になってきている。

 

この手のPDAの良いところ、それは一にも二にも起動の速さ。

スイッチと同時に起動する便利さ、これはパソコンにはなく

一秒でも、島の生活を長く満喫したい長男にはうってつけ。

しかも軽量なLet’s Note Rシリーズの1/5の重さしかない。

 

ここまで言えれば、私も十分マニアとしてやっていけそうだが

しかし、私は釣り人である。

釣り人はマニアではない。

釣りマニアというのは基本的にはない。

それは釣りが目的をもっていることに問題がある。

実利があってはマニアにはなれない・・・

釣りはストレス解消、アウトドア、釣った後魚を食べられるなど

副次的か主目的か微妙だが目的と利点がかなりある。

これがマニアとしてもらえない最大の原因である。

 

メモより不便、パソコンより軽いとはいえ、手帳より重く、高価

そして、パソコンよりはるかに扱いにくい不便さ

しょぼい表示しかできず、今や携帯電話と同じ表示域しか持たず

色再現性も携帯未満という液晶

音楽を聞くとあっというまになくなるバッテリー

などなど、様々な出来の悪さを可愛がるのが正しいPDAマニアだ。

この○○だが××だといったトレードオフがしつこく付きまとうのに

好んで使いたくなる性分だけが後押しして、無理やり使う姿勢

これがなければ、ダメなのである。

それはむしろ不便、それはむしろ格好悪い

それはむしろ後ずさり・・・などを

ほとんど無視して可愛がることが大切なポイントだ。

 

ここでさらに重要なのが、上記のほとんどについてだ。

ハイテク系マニアは、そのタグイマレな手腕をもって

利便性や効率とは相反することに、疑問をなげかけられたとて

一般人が付け入るスキを与えない。

つまり、一般人からみた場合

かえって使うことがマイナスだろ!

と思っていることに対して、答えを用意しているのも特徴だ。

 

このパワーと探究心は、すべておそらく

子供のころのSFやアニメに見た「夢」が原動力だろう。

男なら、少なからず持っている

いうなれば「少年のころからの、男のロマン」である。

 

その男のロマンを背負った、いや羽織って生きる

阪大の助教授、塚本氏が応援?にやってきていた。

ウェラブルコンピュータを研究する彼だが

PDA普及への救済策を多数提示。

PDAを利用した手作りのHMD(ヘッドマウントディスプレイ)

 

とにかく沢山普及させるために、そのへんに沢山つける

 

一人複数個もつ目的を作るのが大切だ!

これはベース・・・二個もっていればどこでもベースが弾ける。

他にドラムもあり、ドラムは三つ目を足で踏むのがちょっと怖そうだ。

先代GENIOを酒に酔った勢いで液晶を割ったことのある私には

足で踏むことは出来ない・・・

最後に研究室の学生と、塚本氏で古時計を演奏する

ビデオで締めくくった。

 

おそるべし、PDA

情報やコンピューターは

もう必要から用途は生まれない・・・

用途は生み出してこそ存在するのだ、ということだろうか。

 

さてこまったのがコレ

ぼくは基本的に心のこもらないもらい物は好かぬ。

しかも実用品は自分の目で選ぶから、このようなものは尚要らぬ。

マイクロソフトジャパンが気前良く配ったカバンだが使えない・・・

歩くのに邪魔だから、おもわず会場で捨ててこようか、と思ったが

そんなところをマニアやマイクロソフトの社員に見られたら大変だ。

何が起こっても不思議ではないので

身の危険を感じ一応おとなしく持ち帰った。

だが、用途は見つからないままなので

会社で誰かにあげてしまうことに。

 

うーむ

黄金週間の大東には、今のGENIOしか間に合いそうにないが

夏から秋以降の遠征には十分使えそうだ。

それまでは、今のをしっかりチューンして使いきらねばなるまい。

実はずっとまえからこつこつとソフトをインストールしており

先日ついにFTPソフトも導入できた。

・高機能ブラウザー、ネットフロント

・画像編集ソフト、ウルトラグラフィックス

・潮見表、JKoyomi

・GPS/地図、CFGPS/ポケットマップル

さらに通信も高速のPHSと、島でもどこでも使えるDoPaも導入し

ヘッポコプロバイダー、エンジェルネットではなくOCN側に

FTPして写真公開するサイトを確保した。

 

これで、ほぼ完璧に

遠征Ready!

状態だ。

 

正直なところ、この手間暇に加え、本体価格が6万円以上

地図を格納するためのSDカード512MBが当時4万円以上

GPSが2万円弱、その他有料ソフト少々・・・

スタイラスペンをなくしたので変わりのペンが1000円!

などなど、スペックがしょぼいわりには

実に金のかかるコンピュータであり

早く小型のXPパソコンで遠征したいものである。

 

え、なぜマニアでないのにそこまでするのか?

それは、釣具や一眼レフデジカメをもっていきたいからに他ならない。

え?なぜ置いていかないか?

それは、釣った魚の自慢は、心が冷めないうちに

やりきってしまわねばならず、島にいても内地の友人に

すばやく自慢するためのツールが不可欠なのだ。

 

人生はその瞬間瞬間の幸せを頂点まで高めて楽しむ

これが長男流なのだ。

お金で済むものはお金で済ませる。

マニアックさでカバーできるところはカバーするのは当然である。

 

さてさて

近々、またしても高価で中途半端な

WindowsMobile機を買わねばならなさそうだから

いつ商品が発売になってもいいように

今から節制して、お金をためておくとしよう。

楽しみだなあ・・・


ではまた