長男、ついに教壇に立つ
長男はクチベタで女性を口説くこともままならないが
語るのは大好きである。
偶然、行きつけの酒屋さんのコトブキヤ酒店の店長S氏から
やってみないか?と誘われ、冗談くらいに思っていたら
やおら会社に電話がかかってきた。
この時期、なぜか節税だの株式だの投資だのという
もうからないモウケ話にイザナウ電話が会社にかかってくるが
それだと思った。
しかし、冒頭から押しが弱い。
あれ?新手の勧誘テクニックか?とも思ったが
よ〜く聞いてみると日吉台中学校からである。
K教諭は極めて恐縮そうに話をするので
ついこちらもココロヨク受けてしまうのだから
やっぱり新手のテクニックに違いはないのだろう。
この三ヶ月、結構悩んだ。
僕は釣り人でサラリーマンで工業デザイナーであるから
それを伝えたいのだが、いかんせんお客さんは中学一年。
ムツカシイ話は寝てしまう。
一方僕はヤヤコシイ話ほど大好きだ。
この二週間は特になやんで、アマリ眠れなかったが
直前になって案外素直にまとまった気がした。
やっぱりパソコンを使うことにして
デザイナーだからAPPLEパワーブックにした。
まあ、話の前半は釣りだ。
なんといっても釣りをするのが好きだから
デザインは釣りのためであるから語らねばならぬ。
次にデザインについて語ることにした。
学校というのは、なんだか身近なのに不思議な空間である。
なかなか入れないし、子供達だけが居る空間というのは
冷静に考えれば、かなり不自然なものである。
創造的な空間には見えない、一見病院風の建物に
楽しそうな中学生ライフが流れている・・・
先生はサラリーマン風だしね。
はてさて
一時間は短いようで長いようで、でもやっぱり語るには短く
中学生には、多分これ以上集中力が続かない時間でもあった。
一時間、結構イイ線いっている長さであると感じた。
一時間を釣りとデザインのエンターテイメントにしてしまおうと
話を組み立てたつもりであったが、アドリブが多すぎて
やっぱりシナリオどおりには行かぬ。
そりゃもうゼンゼン聞いてない奴、ヒタスラ聞いているが
ナニ考えているか分からん女学生、異文化交流だ。
教壇で毎日教えるということは、毎日エンターテインメントを
組み立てるということであるから、大変だろう。
それが仕事なんだから、すごい仕事だ。
教育型エンターテナー、憧れの職業が一つ増えた気がした。
残念ながら僕は人前で話すことが苦手ではない。
カラオケもボックスよりお立ち台系の方が好きだ。
昔、上司から自尊心が強いのだ、と言われたが
自尊心が強いのではないと思う。
自分を尊んだりしない、だが、何か言いたいタチなのだろう。
プライドなどというものも持ち合わせていないし
やりたいことをやっていたいだけの、中年少年である。
だけれども
今日だけは子供達の学校の歴史に加わるのだから
キチンと語らねばなるまいと、気負いがズイブンあったのは否めない。
始まってしまったら吹き飛んだが。
まあしかし、集まった先生方も多彩だ
コーエイのゲームクリエイター、カメラマン、サンドイッチ屋さん
酒屋さん、お菓子屋さん、警察官、元先生、保育師などなど
さすがにサムターンまわし屋とかダフ屋、総会屋さん、
今流行りのオレオレ詐欺屋もおらんかった。
半分くらいがゴチョウナイの方々みたいで
集まった控え室の図書室の空気も、ちょっとだけ緩んでいた。
何年もつづけている方もいて、分かる気がする。
毎年慣れてくると、伝えたいことも、聞きたいこともわかってくるから
一時間がギュッとつまった授業もできるし
宣伝みたいに考えている人もいるみたいだ。
先生を引き受けるくらいだから、結構みなさんコダワリだったり
接客がとくいだったりして、多分、先生向きなDNAを持つ人たちで
妙なよそよそしさが少なく、逆に恐縮しすぎ先生がよそよそしい。
先生はもっと毅然としていても良い!と思うのだが。
生徒の前で毅然とすることも仕事だと思うぞ。
授業はソコソコ上手くいったと思うのだが・・・
仕事柄、人前で何かを説明したり話したりするので
内容はもともと頭に叩き込んであるので、アレンジするだけ。
生徒たちの表情を読みながら、アドリブを加えていくと
ついやりすぎてしまう。
いろいろあったが、とりあえず一時間の授業は終了。
生徒たちはどうかわからぬが、僕は十分楽しかった。
く、癖になるな、この教壇というやつは・・・
アンケートの欄で
来年も・・・という欄に、迷わずやると書いてしまった。
ただ、島へ移住するかも知れんけどな、と思いつつも。
まあ、縁があったらやれるだろう。
人生、いろんなことがやれるもんだ。
さて、週末の悩みも消えたので、八丈へ行かなきゃな。
仕掛けを見直して、来週は八丈だ!?
業務連絡
HMS氏よ
来年かもしれないけど、先生として紹介しておきます。
よろしくね。