もう、何年ぶりかわからない。
車を洗うなんて、人生の無駄遣いだからやらなかった。
車を大切にするかわりに、人生の時間を大切にしてきたからだ。
だが・・・
人生と同じように、少し車も大切にしなきゃいけなくなった。
商用車のカルディナとは違って、セリカはバンじゃなかったからだ。
すごく大切というほどではないが、買ったばかりでもあるので
一応、便宜上大切であった。
と
書くと
長男は物を大切にしない男だと断言する向きもあろう。
がしかし
物は人生に次ぐものであるから
人生第一義の長男には当然といえる。
大切にするものが違うだけであり、大切にしていないのではなくて
大切にする順番が違うだけである。
今度は男のロマンの一部を車に託した手前
大切にしているのだ。
カルディナは、釣りのロマンを担う純然たる道具であったが
セリカはなにぶん6速マニュアルスポーツ車という
一世一代の極一般的男のロマンを匂わせつつ
実は釣り用バンと変わらぬ車ではあったのだが
一応世間体以上に、すぐ近くのディーラーのセールスに
スポーツカーを維持できない
釣りバカ能無し&甲斐性なしと思われるのが引っかかるからだ。
1800CCという、とても控えめな排気量だが
不況をものともしない、ハイオクガソリンばら撒き系
スポーティカーの端くれである。
少しばかり背伸びした感じもしないでもない。
甲斐性なしと呼ばれそうなユエンは他にもある。
この三ヶ月で1700キロしか走っていない。
これでは買うのが精一杯で、ガソリンが買えないから
乗れないんじゃねーのか?!と影口されても反論できない。
秋は長男にとって、人生最高の時節である。
どうしても太平洋に釣りをしに出かけなくてはならぬから
伊豆大島か、離島へ行ってしまうために
乗るきっかけ自体がなくなってしまうのだ。
釣りは人生、生きがいの第一義。
車は手段だから、やっぱり目的にはならぬのが
長男の秋であった。
さりとて
洗わぬわけにも行かぬ、微妙な車がセリカであった。
もう何年も車なんて洗ったことは無い。
ヘッポコ安普請、水道も借りられぬ我が家ではダメなので
車を買うときディーラーで洗わせてもらうことを
チャッカリ条件にしてあった。
久々に睡眠を十分に取った朝、というより昼
トヨタカローラ神奈川を訪れた。
たまたま、担当のS原氏がおり
快く、ほとんど半分以上、車を洗ってくれた。
まず、ボディを洗う前に、タイヤの艶だしをしてから
ムキュムキュっとスポンジで洗っていく。
水も洗剤も全部現場調達、しかも人手まで・・・
トヨタカローラ神奈川殿、ありがとう。
で
気づいたのだが、汚れが目立たない車は
洗い残しも目立たない・・・のであった。
二人がかりで洗ったのに、そこここに洗い残しがあったのだ。
ふき取りのとき、日にかざして見るとようやく分かるのだが
洗い残しは結構広い、ひょっとすると最後まで残ったところもありそう。
どうにもやるせない気持ちでふき取り作業を続けていると
「超撥水コートというのがありますよ」とS原氏。
3ヶ月もつというコーティングなのだという。
長男が念入りに日差し越しに洗い落としたボディに
霧吹きのように簡単にコート剤をかけて、またしても水でぬらし
ふき取るという。
うーむ・・・
もうすこし、楽にならんものか・・・
1000円で3ヶ月・・・もう少し高価でも
もそっと長持ちのコートは無いかのう・・・と思っていると
「忘れてたんですが、ペイントシーラントがあるんです」という。
それは、車のフッ素コートで、5年持つらしい。
価格も5万円強と結構割高感も否めないが
3年間ははがれても保障期間で補修無料とはありがたい。
ちょっとまて、そりゃ撥水コートをかける前に言ってくれい!!!
まあ、それほど走る用事も失せた今
3年以上乗るかどうか、見通しが無いから良いとしよう。
実は先月、とんでもないことが発覚した。
通いつづけている大井川は、30年前にダムができ
水量が激減して、死んだ川だったのだ!!!
どうりで流れが乏しく、ほとんど川原、ほとんど中州・・・
毎秒5トン程度をダムが放出しているだけの
ほとんど小川の延長といった水量だ。
これで海が、スズキがすくすく育つはずも無く、わざわざ3時間もかけ
セリカで駆けつけるような場所ではないことが判明。
いよいよ、セリカの行き場を失った感じの秋でもあった。
すでに乗る理由も失ったセリカ。
どうすんだ?セリカ。
流線型で車高が低いから、洗うのはとても楽だぞ、セリカ。
でも、マニュアル車だから、売値は安いぞセリカ。
ああ、綺麗になったな。
釣りにいけない日はどこかへ行こう。
せこい有料駐車場もない、渋滞もない、わかりにくい路地もない
車天国を探しに・・・