生活リズムを忘れ 海へ行こう
ひっさびさに、大井川へ行ってみた。
セリカに乗りたくもあり、うまい潮風を味わいたい
そんな思いも強くなっていた。
何だか、磯のルアー釣りをはじめたころ
和歌山の海を見に行きたくて走っていたころの
自分に似ている気がした。
昼過ぎに、渋滞がないことを確かめて
早めに出かけた。
いつも、遅くなって着く、夕暮れ滑り込みペースでは
せっかくの夕暮れ時にまったりできないからだ。
しかし、なんだか渋滞はないし、トラックも少ない
不思議なほど、とても静かな東名高速であった。
セリカの加速はたまらない。
気に入らない車を、せいせい抜き去る。
時折カーナビと遊びながら、秋風を切って走るのだが
途中、さっきまで晴れていた空が、長男名物・・・雨である。
だが、今日はこのまま雨の気がしないからと
大井川をひたすらめざした。
ずいぶん早く着いて、ゆったり海をながめる。
風が強めで、海がさわさわと元気で心地よい。
海側は後にして、とりあえず港へも行ってみる。
大井川港は、もう夕暮れを迎えるタイミングであった。
少しルアーを投げようと思ったが
あまりにも夕焼け空が美しく、カメラを取り出す。
こんな黄昏は久しぶりである。
なんだか、小さかったころ見上げていた西の空のようだ。
静かな港のみなもに、晴れ渡った夕空がしみる。
夕暮れはいつも、なんだか
「こんなはずじゃあなかったのになあ」と寂しくなるのは
何故だろうか。
夕空を舞うカモメの飛ぶ姿が、なぜだかちょっとうらやましい。
ふわりとみなもに舞い降りる姿も、やっぱりうらやましい。
自由だよなあ、朝から晩まで自由なんだろうなあ・・・
夕日は、その形をくっきり見せて沈んでゆく。
明日は曇るかもしれないが、今ははっきり見ておけと
言わんばかりに赤い夕日だ。
こんな夕暮れを見ることも、なかなかできない自分に
ふと素朴な疑問をなげかけてしまう。
疑問はとけないのだが、いつもなげかけてしまう。
そして、ぼんやり考え込んでいる。
そうこうしているうちに、宵闇が迫ってきた。
さっきの海へもどる時間だ。
ふと見た近くの入り川の川面が
暮れなずむ夕空を、そっと写していた。
こんな宵闇をながめながら、川辺を散歩したり
釣りに行けたら、どんなに素敵な生活だろうか。
この風景は現実。だが、そんな生活は夢だ。
不思議なものである。
水辺というのは優しい空気がただよっていて
どうしても憧れと夢を醸し出している空間である。
川と海と空
最後の故郷を目指す時は、いつ来るのだろうか。
夢を現実にするのは、僕の意思なのだが。
秋はいつも、こういう想いがつのる季節。