ほのかに秋そして秋
関東では、乾いた風が吹く。
夏が終わろうとするとき、すでに冬の風が吹く。
夏の日差しと、冬の風が同居するとき、秋が来るのだ。
食べたこともないのに、甘酸っぱい香りのする
辻つじが悩ましい季節が、いきなりである。
なぜ、甘酸っぱいんだろうか。
それにしても、空は青いなあ、今日は湿度20%近いらしい。
そんなの、関西ではないよなあ・・・すげーなぁ・・・。
イクラが美味しくなる頃、こういった思いにふけるのだ。
地上に湿度がないということは、空にもないのである。
だから、とびっっっきり空は高いのだ。
雲がないと、日陰に光がないので
日差しが眩しいのに、ちまたが暗く感じる
冬らしい不思議な風景が広がる。
この透明な秋空〜冬空が関東の壮観さである気がする。
排ガスだのなんだのはあるが、空は青い、これが関東の秋。
そんな風の中に、甘酸っぱい風が混じっている。
きんもくせいって、青空が似合うよなあ。
冷蔵庫の中には、まだ夏の名残があって
焼いて和えてみた。
ゴーヤの酢味噌和えである。
秋の贅沢かもしれず、にが美味い、苦党にはたまらない
せんぶり(薬草)をも友とする長男には苦味は親友である。
日差しがつよいけれども、青空が透き通るつじつじで
ふんわり香るきんもくせい。
こんな香りのような女性にめぐりあえたら
釣り一本槍の長男の人生は、すぐさま180度変わるかもしれない
いや、実はすぐ近くにいて、長男が気づかないだけかもしれない。
うーむ、気づかないふりしているだけかもしれない。
グラスをかたむけて
今夜は半月を見ながら、すこし寒げな
きんもくせいの夜風を深呼吸・・・
せつなさ遠い、ほのぼのとした香りと
ボンやりな雲行きに、そろそろと夜はふけてゆく。