飛ぶトンボを撮ってみよう
夏休みの伊勢は、寒かった。
晴れ間を待って釣りに行ったが、シケたのと
忘れ物したのと、長雨で水質がおかしくなったのとで
ほとんど10センチに満たない魚しか釣れなかった。
だが、カメラはしっかり持っていっていた。
怪しい格好とは知りながら、超望遠レンズを付けて
もうすぐ刈入れになる田んぼへ、トンボを撮りにでかける。
蝶も難しいが、トンボは小さいのでなお難しい。
本当は川面をうろつくギンヤンマを撮りにでかけたのだが
朝しか飛んでいない怠け者トンボだ。
昼からでかけると、シオカラ、ムギワラ、アカトンボ系ばかり
大型のトンボは飛んでいない。
しかたなく、アカトンボを狙ってみることにした。
数が多いので、動きが速くてもチャンスが多かろうと
思ったからだ。
しかしこれがなかなか上手くいかない。
たまたま安定して風が吹いて、ほとんど停まっているように
空中を舞うポイントを発見し、撮影できた。
条件がそろったものの、背景がさえないのだが・・・。
重いレンズを持って撮影するのは大変である。
一眼レフデジカメも重い。
でもトンボは速いので三脚なんぞ使ってはいられない。
アカトンボは小さくて臆病だから、寄れる距離も知れていて
相当遠くからコッソリ狙う必要がある。
換算600ミリ以上のレンズで狙っても小さくしか写らない。
ただし、600万画素だから、拡大すると結構写っている。
よく見ると、足が足りない。
後ろにたたんでいるのは前から二番目と三番目の長い足。
一番前の短い足はどこへ???
ムギワラトンボのショットで判明した。
前足はなんと、首のところで縦に折りたたんでいる。
そして普段、地上に降りたときも使わず、たたみっぱなしだ。
餌取り専用に近い足のようである。
ハエとか蚊なんかを空中で捕まえるとき、6本の足を
籠というか捕虫網のように前向きに開いて瞬時に構え
虫を抱えるように獲るようだ。
それ以外は、交尾してメスをくっつけていたり(メスが重いため)
不安定でゆれる枝にとまるときなどに思わず出して使うらしい。
ただ飛んでる姿を撮るだけでも
知らないことが潜んでいるんだから、昔、デジカメがあったなら
自由研究もやり放題だったろう。
毎年虫や植物を変えて、観察眼を鍛えぬくことなど造作もない。
デジカメやビデオカメラが安く小中学生にも普及するころ
自然が残っていれば良いのだが・・・
観察もよいのだが、本当はほのぼのとしたトンボの写真が
もっと手軽に撮れるだろうと高をくくっていた。
けれど、レンズとカメラを合わせると2.5キロ近く
チャンスを追いつづけて構えているだけで大変だ。
望遠でもずっと軽い、手ぶれ補正がついたような
優れもののデジカメは出てくれないだろうか。
画素数競争ばっかりで、ノイズの多い安物デジカメはもう飽きた。
カタログスペックばかりで、実に低速パワーのない
我が家のセリカみたいなもんだな・・・(苦笑)
それにしても、晴れたのはトンボ撮りに行ったこの日以来なく
何もしない、ただ何もないのんびりとした雨の夏休みだった。
もう心は秋の気配でいっぱい
釣具店に行ってはカンパチ用のルアーを求め
地図を見ては西伊豆へのアオリイカ釣行を思い描いている。
ただ、なんだろうか、こう・・・もうしばらく薬は飲んでいないが
心にしとしとと雨が降りっぱなしだ・・・
こうした状態が続いているので
時間があるときは、釣りのことやら海のことを
極力考えるようにしてみているのだが、晴れる事はないし
心から笑う機会もずいぶん減ったなぁ。
最近時折、釣りの友と飲むことがあるが、その時くらいだ
心から笑って楽しいことは・・・
都会の暮らしが、そろそろ限界なんだろうか?
それとも、体を動かす趣味を、増設したほうがいいんだろうか?
年齢のせいだけともいえないと思うのだが。
なんとかして
新しい生活のフィールドを開拓する必要がありそうだ。