都会で迷いたくなる男

 


長男は、アレルギーもちだ。

小児ゼンソクだったのだが、風邪ひいて油断すると今も再現する。

空気が悪いことも手伝って、横浜に住んでいながら都会がすこぶる苦手。

東京都といえば、伊豆大島か、小笠原の母島ならマカセテくれい!

てな具合である。

渋谷、新宿、銀座、品川、青山、虎ノ門、秋葉原・・・たまったもんじゃない。

秘密にしていたわけでもないが、迷ったことはイクラでもある。

東京タワー近くの自社ビルに行くにも、駅前の交番でたずねたほどだ。

だが、都会の迷いに緊張感は無い。

迷っても家に帰れるし、他に実害も無い。

 

ただ、おのぼり症候群のない、というか、おのぼりアレルギーな

都会苦手人間には、用も無いのにブラついている人ばかりの繁華街など

一分一秒とて居たく無いほど症状は深刻だ。

例えるなら、商店街の福引で当たった沖縄旅行に行ってしまった

雪ダルマみたいなものだろうか・・・

 

だが、ややこしい都会に迷わず、アレルギーを最小限にする

すばらしいハイテクがあった。

手持ちの道具で、何とかなるキットが売られている。

 

普段、仕事柄ハイテクに強くなければならない!ということで

無理矢理使っている東芝製PDA(手のひらコンピュータ?)に

GPSを装着し、手持ちの大容量SDに日本中の地図ソフトを入れるという

ちょっとした荒技で完成する。

こんなこともあろうかと、2枚買ってあった512MBのSD、

地図ソフトが案外小さくて300MB、音楽を入れてもマダあまる・・・

優秀な地図だと思ったら、ナビ情報だの検索情報だのが入ってない。

 

ん?!!

 

ということは、案内してくんないの・・・?

うーむ、場所だけはわかるわけね。

現在地だけはハッキリクッキリ特定できる仕掛けである。

本当だと、近くに美味しい料理屋はないかとか

釣り具屋はないのかとか探したいところだが

そういった情報は地図上に無く、コンビニ、学校、ガソリンスタンド

郵便局、駅、ファーストフードなど、一般市民用である。

だが、発電所、変電所、寺社まであるのに

昔懐かしい、果樹園、田畑、針葉樹林、荒地といった記号が

みあたらぬのが、チト残念である。

 

この地図、かなり田舎の部分のデータがかなり怪しい。

実家のある伊勢界隈など市街地の部分が全然拡大できる地図がなく

逆に海岸線の何も無い方面は一段詳細な地図があったり

母校の近鉄線最寄駅である宮町駅の名が駅から外れてしまって

ズイブン離れた国道沿いにブチ飛んで存在したりする。

たまたま田舎だからそういうこともあろう・・・などと

思われる向きもあろうが、それがそもそもオカシイ。

自分の家のすぐ前の道が描かれていなかったり

自分のすむ街の名が誤字だったりするのと同じであり

使うべき場所が狂った地図など、信頼性ゼロである。

残念だが、まっぷるの電子地図は鵜呑みにできんな・・・というのが

長男の結論である。

 

一方、ココ最近米軍が不穏である。

軍事行動を起こす際、もともと軍事用であるため

GPSデータをずらす可能性があるから要注意だ。

会社帰りに、職場の先輩と共にテストしてみたが

職場の近くは川沿いで高層建築も無いため空が開けている。

GPSの精度が100%発揮されており、橋の端を歩いても

キチンと分かる。まことにもって天晴れな精度である。

さすがに横浜線の車内では精度が落ちて、あちこち飛びまわるが

ソコソコ受信できており、ついてくる。

新横浜まできたとき、先輩が

「おっ、ちゃんとラ×゛ホテルの名前まで入ってる」とのたまった。

正直なところ、名前だけでそのジャンルに属するホテルなのかどうか

長男は知る由もなかった・・・。

気をとりなおして、日吉駅からコトブキ酒店までトレースする。

住宅街では、空が案外開けないためか、精度が上がらない。

最大10メートルくらいズレてしまうので

地図上では人んちの茶の間をだいぶ横切ったりした。

酒店から我が家まで、うっかりポケットに仕舞ったままだったが

コートのポケットからコッソリGPS波を受信しており

アンテナの高性能さに驚いた。

 

いちいち、街へ買出しにいくのに、地図片手に出かけるのは大変だ。

行きたい所がどうしてもページの端っこにまたがることが多い上、

すーぱーまっぷる関東版は半端じゃなく重い。

パソコンと変わらない。だからといってパソコンだって大げさである。

GPS付きのケータイの地図はほとんど役に立たなかった手前

今度のはまあまあイケソウだな・・・と

チョッピリほっとする長男であった。

 

GPSの使えない、地下街、地下鉄問題も気になるものの

アレルギーのくせに街へ出かけたくなったりしてしまう・・・


ただ、内心もう一つの目的を達せられずにいた。

実は、伊豆大島や、南大東のポイントをチェックするのに

利用できれば・・・と思ったのだ。

実は秘密にしていたが、昨年の対馬釣行の際

ソニーのGPSを携行しており、写真を撮る毎に測位してあった。

(上の写真の右のもの)

だが、いかんせん、コンパクトなのだが精度がイマイチで

海の上というのも結構あった。

南大東の釣り場は、地図上にあるものと

地元の人が経験的に伝えるだけのポイントが密接しており

正直、釣った磯の名がよーわからんし、聞きたくても

場所をココだ!と言えない辛さがあった。

二度目に行こうと思うといまだに迷うことも多かった。

 釣りを含め、海産物が採れる磯はキッチリ名前がついていて

 もちろん、南国や島ばかりではなく、本土だって同様で

 一般に知られていないだけなのだ

だが、今度のGPSは精度抜群だが、地方部は詳細地図がなく

ポイントを正確に記録できないようだ。

うまくいかないものだ・・・

地図ソフトを何とかしないと、今一歩使えそうにないが

ともあれ、辞書だのメールソフトだのが入ったPDAに

更に日本全国の地図が入ってしまうのだから、大したもんだ。


ではまた