プチ旅行で対馬へ


朝、通勤よりも早く起きて羽田へ出動だ。

大島通いが続いているので、平日夜にコツコツと準備して

あまり睡眠が十分ではないから、起きるのがズイブン辛い。

羽田へは思ったよりずっと早く着いて

YCATからの直通リムジンバスは渋滞知らずだったようだ。

福岡へのフライトは一時間半しかないから

ノートパソコンを開いてどうこうするといった時間がないのが

チョット残念だし、寝るにも時間がない。

欲しくもないウーロン茶を飲んだらあっという間に着いてしまう。

 

そしていざ福岡空港へ着いてみると

乗り継ぎ案内がない・・・

見たこともない搭乗口がチケットに記されている。

いきなり、どこへいったものか皆目分からない・・・

不親切極まりないと言うか、不人情というか

国際空港というには片腹痛い。

目的のANK案内所はモヌケのカラであった。

しかたなく、たまたま好みのタイプっぽい

JALの女性セキュリティ職員にたずねたらはじめて分かった。

やっぱり制服女性はキリッとしていて良い。

美人は制服に限る・・・

 

制服はさておき

どうも、福岡空港は複数のターミナルで構成されているらしい。

で、第一ターミナルへ、歩いて100メートルほど行けばよいと

教えてくれた。

ANA系列は実に不親切だ!!!と言いたいところだが

おそらく、福岡空港のツギハギな建築に問題があるようだ。

あれこれ増築して拡大するうちにバラバラになっちまったのだろう。

だからといって案内無しで良いはずはないのだ。

 

 

第一ターミナルってこれかな

って・・・誰も居ないぞ、これがほんとに第一ターミナル???

と思ったが、まあ正解だった。

JALの制服オネーサンありがとう。

意外にも、プロペラ機ではなくジェットでのフライトも驚いた。

たった30分の忙しいばかりのフライトだ。

上昇したら、すぐ下降、それでも無理矢理スッチーが飴を進めてくる。

なんだか、離島へ行く便でいつも飴をもらうので

それらしい気分になってきた。

 


 

着いてみれば、ひなびた風景が広がる

なにやら懐かしいような、どこかで見たような

初めてなのに、不思議と郷愁にも似た感覚がある。

伊勢志摩にもこんな所があるように思う。

対馬は極端なリアス式というか切れ込んだ山岳が海に沈んだ地形。

湾が深く深く切れ込んだ地形で

癒し効果抜群な、ユッタリとした深い内湾が迎えてくれる。

静かな水面に、澄んだ空気が写る。

湖のようにたゆとうミナモに心がフッとなった。

 

空港のある、対馬中央部より、北へ数十分ひた走る。

レンタカーは軽で、慣れないオートマ

どうも運転がままならないが、とりあえずたどり着くことができた。

 

峰というまちの、三根という集落。

そこにある大橋旅館である。

旅館?というよりは民宿だ。

オカミサンに部屋へ案内されるも

部屋にはコタツが・・・寒いそうである、

それはもう夜は寒いそうである。

そんな装備はしていなかった・・・伊豆大島と同じくらい温かい

玄海灘ぬくぬくパラダイス・・・と思ってやってきたのであった。

夕方には、まだすこし余裕のある日の高さなのに

部屋の中では、息が白い・・・さ、さぶっ

これ以上寒くしたらキケンだ

今日はクダラン独り言ギャグも禁止と決めた。

 

さて、夕方までは釣りである。

冬型の気圧配置も予測していたので

あくまでもヒラスズキができる場所に近い宿を選んであったのだ。

長男とて、地図を見てきたただけだが

どこまでも予測不能というわけではない。

 

中心地の集落からどこへでも便利に出かけるというのもアリだが

とりあえず、何らかの釣り場のスグ近くという選択をしたのだ。

 

磯に出てみれば・・・

浅く、紀伊水道の大川峠に似た地形だ。

(ローカルだが、大阪、和歌山近辺では有名なルアー釣場)

浅い磯が低めの波でも、サラシ(波打ち際の泡のベール)を広げる。

条件としては悪くない。

とりあえず竿を出さない訳にいかない。

竿は出したものの、魚の反応は無い。

肝心の小魚もいない・・・肉食魚が寄る理由が無いわけだ。

 

悩む長男・・・

うーむ、ここに来る道行きに、あちこちあった

あの落し物はいったいだれのものだんだ・・・

 

対馬ウマのものにしては、繊維が細かすぎるし・・・

釣り以外の謎も多き島であった。

誰の仕業なのだ・・・・・・・・・・・・・

 

 

宿の駐車場には、鶏専用の軽が駐車されている。

その夜出てきたのは地鶏鍋・・・

オカミサンに対馬地鶏?と聞いてみると

「ああ、居たでしょニワトリ、駐車場の」

・・・

あ、あれなのね、じ、地鶏というのには異論はありません

良い出汁でてるなあ・・・

良い味出している宿と鍋であった。

一人前が食べきれないほど具沢山である。

ご飯までたどり着くことができなかった。

 

だが

殊のほか寒く、納得いかない落し物や磯に

長男はぶるぶると震えが止まらない・・・

 


 

明くる朝、散歩してみる。

ひなびた漁村風景がひろがっていて、なぜか安心できる。

ふと川の向こうがわを見ると、異常な建築、シャインドーム峰がある。

何に使うのか良く分からない

ふるさとソウセイ資金のなれの果てのような施設が目に入る。

まあ、大なり小なり、地方ではよくある風景でもある。

 

朝飯をシッカリ食べて、出陣だ。

2日目ともあれば釣り三昧と行きたいところだが

昼までのタイミングでしかチャンスが無かったため

二箇所で一応竿を出したものの、反応なし。

良いサラシができ、潮通しも良い磯なのだが残念だ。

 

昼からは天候も崩れると言うことで、島の探索に出る。

 

でもまあ

雨は降ったり止んだりで、結構撮影はできるし、日も差してくる。

雨の中にはヒョウ(あられ)も混じるのだが・・・

ヤマトナデシコ・・・こんな女性が居ればなあ・・・

島にはアチコチで咲いていた。

 

おお、これこそツシマノラネコ・・・

力強いストライドが長男を感動させる。

 

やがて、山道を登るとウシさんが・・・

放し飼いに・・・

おおっ、これがあの落し物の主・・・

ん?足元から何かこちらをうかがう影。

しかし、母親の鋭い視線と鋭い角・・・

 

お、おれは何もしてないじゃないか・・・

だが子供が居るので、母親の視線に凄みがある。

 

しばらくじっと待っていると

なんだかんだ言っても子供

少しづつ少しづつ手前の草を食べながら

チラチラこちらをうかがってるなと思ったら

好奇心旺盛、やっぱり来ちゃった・・・

好奇心のカタマリ、子牛さん。

頭突きするなよ。

よだれつけんなよ。

 

とりあえず、北の果てを目指そうとしたところ

途中、ツシマヤマネコ保護施設へ行ってみたのだが

どうも、保護施設の山猫はみたくなかった。

で、帰ろうとすると、茂みがガサガサと騒がしい・・・

「なに?何かがいるぞ・・・」

 

しばらく待ってみると

そろって出てきました、イノシシ三兄弟。

ちょうど、ミニブタくらいの大きさで実にうまそう、否、カワユイ。

撮影のために歩いて行くと必死で逃げようとする。

でも猪突猛進の彼ら。

目的が単純化して・・・

@怪しげな長男から逃げるのだ

A逃げるのだから、来し方へ戻るのだ

B来し方は断崖だが、登らないといけないのだ

ということで、登ることが目的となってしまったようだ。

Cそうだ、あっちから登ろう(長男方面)

そして、登ることだけを考え、思わずこちらへ走って

もと来た森の道へ戻ろうかとすると・・・

 

「あ・・・」

そうだ、思い出した!

登るんじゃなくて、怪しげな長男から逃げていたんだった・・・

ど、どうしよう・・・

と固まったところで目を合わせてしまった。

 

カワユイなあ、イノシシって・・・

飼って見たいなあ。

コンナ気持は、20センチ大のカンパチを見て以来だ。

何年かたてば、りっぱなボタン鍋のタネだ・・・?

成長が楽しみである。

 

地元の方でも、ほとんど見たことの無い、対馬のイノシシを

運良く激写したのであった。

 

聞くところによると、最近増えすぎて

農業では被害が危惧されているようだ。

江戸の昔、元禄13年(300年前)、9年間にわたり

「しししか追詰め」というのを実行し全滅させた歴史がある模様。

(幕政の根幹である年貢米を守るという目的から)

その後、また誰かによって持ちこまれたり飼われたものが逃げて増え

現在に至っているようだ。

人間とは歴史に学ばない生き物のようである。


 

最終日は半日しかない。

ゆっくりと朝食をとり、

毎度美味しい食事を用意してくださったオカミサンにお礼をいい

別れを告げて、今度は南を目指す。

南は竿が出し辛そうなので、純粋に行ってみたかっただけだ。

南は、北よりずっと山がちで、それこそ断崖だから

海辺を走る道すらないから、おりられる磯も少ないのだ。

 

超リアス式の地形の、切れ込んだ湾の部分には

ほとんどの場所に集落があった。

海と自然と集落が調和した感じに見えるのは気のせいだろうか。

自然と人間の領域のバランスがすこぶるイイと思う。

 

島の地の果て、クネクネロードの行く末に

ついに豆酸(つす)へ到着した。

しかし、折り返しすぐ空港へ向かわないとギリギリの時間であった。

 

ふと、食べないか?と言った趣旨の言葉が背後から接近してきた。

見れば、蒸かしたての不思議なミカンのような形をした

およそ、サツマイモとは反対の、縦が短い芋がザルにいっぱいだ。

「あ、いただきますっ!」

腹が減っている、時間は無い、もちろん食堂なども全然ない。

この食料を逃したら、今日の飯はもうないかもしれん!

礼を言うより早く、本来のおすそ分けターゲットを目指し

ばあちゃんは去っていった。

ありがとう、ばあちゃん

つまるところ、この日の昼飯は、この芋だった。

ばあちゃんに、芋で乾杯。

ホコホコとしてウマかったなあ。

 

空港へ付けば、帰りの機体が遅れていると言う。

 

待っていると、どんどん遅れていると言う。

 

そして、二度のフロント呼び出しの後

ついに15:15福岡発が16:20になった。

そしてそして、福岡では、羽田へ飛び立とうとすると

カラスが居て飛び立てないと言う。

(バードストライクといって、操縦席ガラスへの衝突や

 エンジンへの吸引による衝突事故を防がなければならない)

 

そしてそして、それから羽田では、フライトが送れた分

夕刻、空の渋滞・・・降りられないという・・・

都合、約二時間遅れて帰宅。

 


 

家では洗濯物が山積みだ。

夕食を摂りながら洗濯し、その最中に釣具を手入れし

やっと就寝したのだが

実はアサイチ出勤であったのを、通勤電車の中で思い出した。

結局40分遅刻で到着・・・

 

まあ、二時間遅れから、良く挽回したものだ

と心の中で、自分を誉めていたりしたのであった。

 

三日あれば、結構楽しめる。

今度はどこへ行こうか・・・と

次の夢を探し始めた長男であった。

 

とりあえず、今週と来週は、大島行きが予約済みなのだが・・・


ではまた