眠れない朝、起きてスケッチを描く。
どうしても難産で、地球で初?のプロジェクトが悩ましかった。
研究者、設計者、そして非力過ぎる釣り人兼デザイナーがそこに居た。
眠れないまま、会社に行き、眠れない原因であったプロジェクトの検討会が
連日、予定とも緊急とも重なって行われている。
なにしろ、皆、初めてだ。
なにしろ、ひょっとすると人類初めてだ。
エスエフ小説やアニメの世界では普通のことであって
できたから驚かないような事だったが
いざ、現代最高の技術でやってみてるのだが、スゴイ複雑で、限界を感じる。
「こういうことをやってみたかった・・・・」と思い憧れていたが、毎日が辛い。
久しぶりに男らしく手応えとコクのある日々が続いている。
今朝は眠れないままに会社へ行き
カバンを開けたとき、ぷ〜んと激しく強烈で懐かしい
砂場で遊んだとき「なんだ?」と手に取った固まり・・・猫のウ〇チのにほひがする。
ん?何が俺のカバンに宿ってしまったんだ???
数秒後ひらめいた。
昨夜、行き付けの酒屋で、ギンナンをいただいたのだ。
行きがけに発見し、あわてて引き返して置いてきたのだが
一晩寝かせたフレーバーが残り香としてシカッと居座っていたのである。
封筒に入っていたのだが、それを通勤開始まもなく見つけたのだが
いかんせん、都会の排ガスに侵され、治り難くなったゼンソク混じりの風邪で
鼻が全く効かなかったらしい。
先週、九月から続いていた、年頃の疲労が頂点に達したのか
あっけなく風邪をひいて、それからというもの、何をやってもふるわない。
プロジェクトでは、ヘボをやらかし、休日は最高の釣り日和なのに休養。
昨日は席替えの引越しで17インチモニターを
腰を気にしつつも油断して、膝を曲げずに腰で持ち上げた。
ビリッと感じた。
「これが、こ、これがオヤジ殿を何日も寝こませたギックリ腰!?」
最初はそれほどでもないが、だんだんと腰が硬くなり、違和感と共に
動くたびにシクシクとした痛みが広がっていく。
「いきなり、ヘナヘナとするほどのギックリ腰ではないのか?」
明日も緊急会議が召集されている。
職場の後輩から、「明日朝、立てなかった時のために携帯電話を枕元に
置いておくんですよ」と教わった。
その夜、登別カルルスを湯船に入れ、温まって寝ることにし
寝る前に、まだ体が温かい間に、軽く柔軟をしてみたが、大丈夫だ。
明日は立てるかもしれない・・・希望がわいたが
結局、夜半に寝ついたが、数時間をまたずに眼がさめて眠れない。
こういうときは、朝飯を作り、しっかり食べて、早々と会社へ行くに限る。
行ったらなんと、もう職場の鍵がない・・・。
異様に早い出勤の先輩が今日は我が部屋に、ひっそりと引越しをしていた。
「モニターを運ぶのに手伝ってくれない?」
即座におことわりした。いつもの僕であれば片手でも運べなくもない?ものだが
いかんせん先週から何をやってもダメ状態なのだ。
コレ以上ヘボはやれない・・・。
さて
皆が出勤してきてからはサッソク緊急会議へ赴き
その後は、あれこれアタフタと日常的な雑事がよりによって集中する。
自分の仕事をしようと思ったら、パソコンまでが死んでしまった・・・。
こういうときこそ、冷静に・・・と思うものの、コレほど重なると復帰がむつかしい。
本当に、何をやってもダメ状態・・・腰もシクシクし、発作的に咳きが出て止まらず
半日かけてマイPCを治してもらいつつ、隣のパソコンを借りて入力を始めると
昨年からつづく複雑に部署をはしごする格好になった、今回の異例の異動で
社内の人事評価システムへの入力フォーマットが当てはまらない・・・。
先輩社員も同じようなバグにはまっていた。
うーむ、こういう日々って一生の内に何度かあるのだなあ・・・。
この忙しいさなか、まったく仕事とは縁のない社員寮のリニューアルといった
なんだか、この時期よりによって、どこからどうして僕のところへやってきたのか?
という珍妙な仕事が現れた。
その上、宣伝の仕事で
今度の11月初頭にあるイベントのパネルで使う素材がないから
撮影したり作ったりして欲しい・・・と明日中のボスからの指令・・・
コレに対し、緊急会議では明日中に複雑なソフトウェアの分析と解説を作る!
という実力を試すようなテーマをいただいておりそりゃもうスゲー状態だ。
こんなときこそ、露払いだっ!と思い、早々に昨日延期していた報告をかたずけに
別の部署へ行くとそこのボスから
「おっ!テレパシーが通じたみたいだな・・・ちょっとちょっとちょっと、まあちょっと」
ということで、どうやらパソコンのソフトで困っているという・・・。
「これは!?」と思い、「便利なフリーウェアがありますから」とインストールし
テストしたら万事オッケー。
そしたら、それまで呼ばれていた部下の方が「僕も入れて欲しいなあ」とシミジミいう。
乗りかけた船なのでインストールしていると先ほどのボスが・・・
「おーい、デスクトップにアイコンが無いぞ」という。
そりゃそうだ、フリーウェアはヤヤコシイ手段をとらずとも使えるように
ダウンロードして解凍したら、インストールなしに使えるのだ。
したがって正確には前述のインストールというのは正しくなく、解凍しただけだ。
そのぶん、デスクトップのショートカットやプログラムメニューへの自動登録がない・・・。
入れて欲しいなあ・・・分を終えて、デスクトップとプログラムファイルからと両方使えるよう
ショートカットを登録して、ようやく退室する事ができた・・・。
ん?
結局、報告しにいったはずの部長は、女性社員がたまたまミスって書いた
予定のホワイトボードのおかげで、実は今日まで出張であった・・・・。
つまるところ強烈なITボランティアをしにいったことになる。
うーむ、あの場合、僕意外にあの部屋を訪れる
デジタル画像を便利に扱えるソフトを知りうるデジカメ好き(デジバカ)も居ないだろうし
最大最高の結果を生み出した気もするが・・・・
僕の持ち時間は確実に思わぬほどカウントダウンされているのだった。
宵の頃からようやく仕事が調子良く進んだかな?というところで、もう22時。
とりあえずめぼしがついたから、帰る事に。
頼まれやすい体質なのかなあ・・・
ふと、会社がえりに雨の降りしきる空をみあげて、なんとなくそう気付いた。
それにつけてもカバンの臭いの主、ギンナンはうまい。
カラごと煎るのがナラワシだが、熱量がモッタイナイので、むいてから
超とろ火にかけたフライパンに蓋をし、酒を一杯やりながら、別のことをしながら煎る。
チョッピリ焦げるが、時折気付いたときに転がして透明な緑になったらできあがりだ。
ひりょうずにも、茶碗蒸にもいいが、やっぱり煎って食べると一段と緑が鮮やかでうまい。
秋は夜長である。
眠れなくても、好きな泡盛を片手に、ギンナンと人情をかみ締めていると
不思議と今夜もあまり眠れなくったって平気だ、という気持ちがフツフツと涌いてくる。
何が上手くいかなくったって、やるだけはやったのだ
だから、何があったってギンナンがうまいんだ。