カンパチの季節、秋つまり、釣りネタなので長いです。
久々?なのかどうか、三週間前以来の伊豆大島へ行ってきました。
案の定、シマノやダイワ精工の作戦通り、秋磯特集番組に触発された
ココロザシ低からぬ人たちのあふれる磯は賑わいつつ
中潮の太平洋の表情は硬く、けれど、今年はとてつもなく豊かなお魚の賑わい
それを知る人の少ない大島の荒磯、赤岩の秋は暮れつつありますが
釣り番組に見る大島は釣れる!と言わんばかりの内容にコロッといった
そんな人たちにあふれつつある、それが大島の磯だったのです。
伊豆大島の磯はもともと近代の火山島の磯、常識は通用しにくい磯なのです。
賑わっているのは暖かな潮のため、回遊魚なのであって、メジナなどの
おとなしい雑食のお魚達は例年並みなのでした。
ともあれ、ルアーを営むぼくにとっては例年ならぬ当たり年。
何しろ、今年は水温が高く、子魚もとっても多くて
足元にはそれはもうキビナゴにトウゴロイワシの群れがあふれかえっています。
したがって、脂をタップリと貯えた子魚を好きなだけ食べて
回遊魚は大きく、そして、脂の乗った状態にあるわけです。
さて、竿を出そうとウロウロしている、
道具立てのスンバらしい初心者の方々を尻目に、そそくさと開いている磯の潮表へ。
潮の流れが当たっている側ということですね。
黒潮の流れが変わって、西側からではなくて、
大きく曲がって真南から回り込んでいるので
これまでのように西からの潮が弱めになっていて、若干釣りやすい状況。
でも流れている事には変わりなく、人の仕掛けに引っかけないように
気を遣いながら、あんまり心の晴れない釣り座にちょっと閉口気味。
なにしろ、ここに居る人たちはほとんど大島は初めてみたいで
道具はいいけど全然釣りが馴染んでないというか、キマッてない。
今回は同業者も登場して、周りには二人ほどルアーマンが居たりします。
まあしかし、ホトンドがメジナ釣りの人たちで、これほどのメジナ人気、
磯とは、そんなお魚すらも釣るぞという
イイワケを着けてまで来たくなるような、男の浪漫がある所なのかもしれません。
なにしろ、メジナなんて、撒き餌さしないと釣れないし
釣れたからといって別段取りたてて美味しい魚でもないので
浪漫以外のなにものでもないでしょう。
(アイゴ同様、すぐさばいて、磯で天火干し→一昼干し?すると美味しいけど知る人は少ない)
荒磯のヘラブナ釣りといった感じでしょうか、防波堤のヘラブナ釣りといったら
チヌ(黒鯛)釣りともいえるでしょうけど、ほんと、これ大声で言うと
叱られそうですが、技師の腕の見せ所だけで、格別美味しくないですよどちらも。
反対に言うと、技を駆使してまで商品価値の乏しいお魚を釣って楽しむ
これこそが人間の趣味の奥深さというか、不毛な所で、意味を考えてはいけません。
まだこの先には、巨大化すると不味くなる磯の王者、石鯛釣りという
日本代表大不毛磯浪漫があるのですから。
(10キロ以上のでかくて商品価値のないヒラマサ同様、漁師さんと争わなくて済むとも言えます)あ、そうそう、それで、僕の方はというと秋磯の雰囲気を楽しみつつ
先日のカンパチがかかったポッパーで水面をバチャバチャやっていると
潮の流れにのって隣りのメジナ釣り師のオジサンの目の前で
1キロクラスのカンパチが出た!けど気付かれてはいないみたい。
それから朝がすっかり明けてしまうとポッパーには何の反応も無くなって
流石にポッパーを使うというのには体力というか腕力が消耗して
一般的なミノー(水中をおよぐやつ)に交換。
ポッパーは、磯なので4メートル近いルアーロッドでチョンチョンと
小刻みにアクションさせなくてはならず、大変に手首のチカラを必要とし
はたまた、竿の重さも馬鹿にならないわけで、右腕はダルダルになります。
近くに居るひとりのルアーマンを見ると、一昨年にホウボウを釣ったあと
僕が竿を折った場所で沖へ向かって何やら小さなルアーをノッタリと投げています。
あれは、シーバスことスズキの釣り方なので
どうも青物釣りには慣れてないみたい。
特に、日本全国探してもナカナカない日中でも釣れるポイントですが
ここのカンパチは特別な釣り方があったりします。
勘の悪い長男でも5年も通えばカンパチの誘い方がスッカリ身についていまして
「磯の上にも5年」といったところでしょうか。
女性の誘い方は、既に忘れて久しいのですが・・・・・・・・・
いかん、落ち込んでいる場合ではなくて釣らなくては!
で、ルアーの泳ぎがおかしいので調整しつつ足元にそのルアーを追う影!
ユランといつものカンパチとはちがってカスミアジの形!!!
この暖かさにとうとう大島にも南国のカスミアジが???
もう少し南の神津島では釣れるといいますから、ありえない事じゃない。
調整を終えて、ゆっくりと引いてくると今度は後ろからビュンと来た!
今度はガッチリ食いついて、いつもの左側の岩陰へ入ろうとするわけで
このあたりはメジナに共通する、磯際への突っ込みという醍醐味なのです。
「だめだめだめだめ、だめーそっちはダメぇぇぇだめなんだぁぁぁ」と口走りつつ
磯リールのレバーを握り締めて糸は一切出せない状況。
シーバスロッド(磯のスズキ用ロングロッド)は半月に曲がってる。平を打って左をあきらめて今度は右へ、その瞬間魚種が分かりました。
ヒレナガカンパチです、あの小笠原で釣った大型カンパチ!思い出の魚種です。
ヒレがとがって長いので、カスミアジにソックリだったのです。
引きを十分に堪能して、ヒョーイと抜き上げてようやくゲット。
良く見ると、普通のカンパチより体高が高くて平たい感じで
前から見ると体は薄めで、これがヒラアジなみの
水面近くでの粘っこい横走りを可能にしています。
小さい割にとてつもなく引くので、これがカンパチ釣りの最大の魅力で
イナダと違って岩陰に突っ込むため、油断できない高級魚なのであります。
だから、メジナと同じリールを使って、糸の出し入れを瞬時にコントロールして
カンパチの行く末を決して岩陰にしないようにしなくては厄介なわけです。
ともあれ、久々のヒレナガカンパチ、これ、南よりにすむカンパチなので
今年の水温の高さが思い知らされるところ。
本カンパチに比べると背びれと尻びれが尖っていて、長く伸びているので
ヒレナガカンパチ、他はソックリ。(見分ける違いは本当にそれだけです)
(比較用に本カンパチを用意しました)
ストリンガー(紐の先に大きなクリップのついたもの、口に通して自由に泳がせる)に
かけて潮だまりへ。
左のオジサンが釣ったカワハギの入ったスカリ(ちょうちんみたいな網のイケス)を
ぐるんぐるん回ってしまい、キリキリ舞いしてスカリによりかかる可愛いやつ。
つまりぐるぐる回ったのでストリンガーの紐がスカリに巻かれて
自分がスカリにくっついてしまったわけ。
そのあと午前九時ごろ干潮がやってきて、あたりはバッタリと止まり
足元のカンパチ専用に作った特製のジグ(魚形のオモリルアー)で探っていると
ガリッとアタリがあったものの一発で切れており、どうやら獰猛で巨大なダツが
一口で糸からばっさり食っちまった模様。
今年のダツは頭が黄色い変わったやつで、婚姻食なんでしょうか。
頭が黄色いのは今年初めてというか、書物などでも載っておらず
一度釣り上げて、この目でみたい物。
大切な高級ジグを巨大ダツにとられて、これがホントの「キョダツ感」などと
実に切れのいい、この秋空のように冴え渡ったオヤジギャグを繰り出しつつ、
さっき釣れたミノーまでも飛ばしてしまい
冴え渡ったにせよ、ギャグの罪深さを大反省して、早上がりとしました。
もちろん、海と磯にオジギをして感謝しつつ。
(熱海行きの定期船の待合いで尚もキョダツ感に浸る長男)
早い話がルアーの代わりをもっていってなかっただけですね、ウカツにも。
ここの釣り方は、潮があまり流れないと沖でもカンパチが来ますが
流れの強い時は磯際でしか釣れません。つまり流れが速いと子魚が磯際へ
待避するためでしょう。
だから、ノッタリと沖を目指して投げていたルアーマンは何も釣れず
憮然として早々に撤退してました。
まだまだ、修業が足りません、釣場にはそれなりの釣方というものがあるんです。
ここ、大島の赤岩は日本でも希な足元から20メートル近く落ち込む磯、
そして、海底は真っ黒な火山灰の砂地、時には直接黒潮の当たる場所なのです。
しかも、手を挙げれば止まってくれる便利なバスで行けてしまう。
ここでは、時として、どの雑誌にもマニュアルにも載ってない破天荒なルアー
今回のような魚に比べて巨大なミノーやポッパーの方が日中でもよく釣れたりする
常識が通用しないというか、好奇心旺盛度120%(長男比)のカンパチにあふれていて
通常の疲労著しい速引きなどではなく、ユッタリとした釣り方の方が
時に釣れてしまうので、マニュアルというのは鵜呑みにしてはイケマセン。
しかも、時には昼間でも赤と金の組み合わせのルアーとか
今回の馬鹿馬鹿しいほどあっけらかんとしたリアルじゃないサバカラーとか
そういうのでシッカリ釣れるので、断じて冒険心をあなどってはならない
そんなフィールドなのです。
さて、お味の方は、一説によると本カンパチより劣るといわれますが
ゼンゼン違いました!!!それは多分南で釣れる事が多く、
例の小笠原の物と同じで、水温が高いと脂が乗りにくいために
本カンパチより味が落ちると勘違いされてしまうのでしょう。
脂もノリノリ、歯ごたえシコシコ、つまり、シコっとした感触を味わいつつ
噛み締めていると、トロリとした甘みが広がるという
久々に涙ぐむほどの美味いお刺し身をいただく事ができました。
(弟が何かでゲットし更に僕の所へ来た包丁)
よくよく計ってみると、カンパチでは長男史上2番目の大きさで
43センチ!!!やっと40センチをハッキリと超えました!(硬直後なので多少縮んでる)
これは当歳魚、今年生まれのカンパチですけどね。
でも、体が薄いので、前回のマダイと一緒に釣れたカンパチと同じくらいの重さで
900グラムをちょっと切るくらいしかありません。
ま、ひとりで食べる分には二日分は十二分にありますから大丈夫。
(右上は中骨の所を軽く塩焼きしたもの)
こういうのを食べちゃうと、飲み屋のお造りでは満足できないわけですね。
いやはや、たっぷり一日かけて大島までいってこれ一匹、美味しいとは言え
馬鹿以外の何物でもないですよね。あらたまって考えると・・・・・・
1999年はカンパチの年、そういっても過言じゃない年になりそうです。
ちなみに、仕掛けもクレイジーで
なんと八万円もする最高級レバーブレーキリールに
ちょっと手を入れて使ってまして
これが快適な磯ルアーライフを約束してくれております。
(レバーをカットしたりバネを切ったりしてチューン済み)馬鹿は休み休みではイケマセン、連発してこそ馬鹿で居られるのです。
今度はどんな馬鹿をしでかそうか、ボーナスも近い事ですし・・・・・・・・・
この際だからと、馬鹿になりきろうとする長男が世紀末を迎えようとしています。
この調子でいけば、大島なら年内は十分楽しめそうですから。