まる4年

 


 

世間についての話題

 

海外では、切りつけテロやら・・・内地ではモラトリ中年、略してモチュ〜なヤツが通り魔やら・・・

ビットコインは所得隠しのネタに、破産したフリしてみたり。 世の中、ダマシタモン勝ちである。

自社株を、複数の架空名義で売り買いしておくなどすれば、だいぶ儲かったことだろう。

企業自体が、金融商品化しているワケだ。 ベンチャー企業なんて商品みたいなもんだ。

インサイダー取引をかいくぐる技など、なんぼでもあるし。

私には、メリケンが乱発する金融商品や保険などと、ビットコインは同じものに見えてならない。

信用という名の、まったく信用なら無い価値がヤリトリされ、金がアブクのように右往左往する。

 

そもそもお金は国が担保する仮想価値だが・・・国民全員が一機に買い物したら、

おそらく仮想価値の方が物品を上回るだろう。 すなわち、通貨自体がバブリーなのだ。

ソコが資本主権社会の危機なのだが・・・ま゛〜知ったこっちゃないか。

 

五十肩はやや落ち着いてきた。 のだが、生活リズムが狂い、不眠は加速している。

通常の生活を3日も続けると、疲れがとれないことと不眠のダルさによってダウンする。

肝臓に負荷が集中するようで、二日酔いでもないのにダルすぎて起きられない。

 


 

引っ越す直前、家を貸せないと通告され・・・不安をかかえたまま渡った徳之島。

あれから4年が過ぎてった。

 

今や、年に何度か新聞沙汰になるオッサンとなっている。

これまでは、おおむね演劇の鳴きマネやバードウォッチング教室など、野鳥系だった。

 

このたび

2年チョイ前に発見したイワアナゴ=ウツボ亜目だけど、アナゴ亜目っぽい生活習慣のニョロ生物へ、

ようよう和名を与えてもらえたのだ。

 

2匹写っているのがウンブキアナゴだ。

 

今回のは、町内の地名の名がついただけにインパクトが大きく、反響は大きい。

 

世界的に、実は写真のように、2匹のニョロが楽勝で写ること自体、奇跡らしい。

奇跡らしいが・・・近所でフツ〜である。

地球上で5ヶ所目に見つかったものということになっている。

今回の発表で、コチラのサイトのポイントが増えた。

未確認情報では、クリスマス島方面でも見つかったらしい。

 

先のWebをご覧になり、なぜ新聞に顔が載らないの?と感じた方もいらっしゃるだろう・・・

それはブッチャケ、記者が私を見慣れているからだ。(涙)

またアイツか・・・のようになってしまっており、発見しても顔を載せないのである。

記者と酒をくみかわしたことはマッタクナイのだが、ソコソコ顔見知りなのが島の日常である。

 

ゆえに反響も面白い。 直感的に私だ!と感じる人やら、怪しい目つきでネチネチ眺める人やら

まったく興味が無いので、サラリ流してしまってる人らが大半だったり。

そもそも、ゴシップ系以外に好奇心の薄いシマンチュに注目されることは特異である。

 

ご近所の野菜直売所、年上の女子などは・・・半信半疑で話しかけてきたり。

野菜直売所の女子は、年上といえどケッシテ軽んじてはならない。

このごろ、ホントにハブに咬まれた女子もいらっしゃるのだ。

血清を投与されたとはいえ・・・体質により、効き目が違うのに、一律に投与されるしかないから、

体内に血清という名の毒を流し込まれて、後遺症に苦しむらしいのだ。

野菜のみならず、いろいろ情報を仕入れられるのだ。

 

閑話休題。

 

今回の名付けのポイントは、極端に狭い地域の名が用いられたことにある。

通常なら、ハハジマ(小笠原の)とか、ヤンバル(沖縄島の)とか、ツシマ(長崎の)など、わりと広い。

ウンブキは一町歩(1ha)の半分くらいしかないのだ。

 

しかも、方言に詳しい浅間人(あじゃまんちゅう)の岡村先生が語るには、浅間のなかでも湾屋(わんや)の

まわりでしか使わない地名だったというから、島口の中でも超絶レアな地名だったのだ。

ちなみに、私も当然近所在住なので、浅間に住んでいる。 ほかの地域ではワナーヌイクィ(湾屋の池)など

わかりやすい名で呼ばれていたらしい。

 

ウンブキはウン=海、フキ=谷や崖の意味である。 実はウンブキの洞窟を延長すると我が家を向いており、

我が家の家庭排水のマスから出る土管が壊れているのに、まったくあふれないで、地中に全て流れている。

我が家の周辺の地下は洞窟だらけのようだ。

我が家の家庭排水が流れるはずの、家の前の溝が乾いているので不思議だった。

 

当初、ウンブキアナゴ(イワアナゴの一種)は地味なので、まったく注目していなかった。

 

商工水産観光課の同い年、セージローが課長補佐だった頃から開発を始めた当地。

ゴミは軽トラやバイク〜家庭ごみまで様々だったらしいが、キレイに取り去ったころ、酔い覚ましに訪れた。

島民はキモチワルイというが・・・しずくの落ちる音だけが響く、心地よい水辺だったから、ずいぶん気に入った。

冬場はほとんどガジャン(蚊)も来ないから、居心地のいい不思議空間なのである。

シマンチュはハブ云々というが・・・ひらけているので、ハブが居れば捕りやすい。

木の枝から襲ってこないか・・・などとも云うが、樹上にハブがいるケースは、かなり少ない。

まして、集落のまわりはハブが捕り尽くされているから、よりによって樹上に上るのはレア中のレア。

しかも、頭上はるかかなたから、ピヨヨヨヨ〜ンとジャンプして襲ってくるはずも無い。

そんなんおったら、観てみたいわ〜(笑)

 

シマンチュは、たいがい自分が行きたくない場所について、ハブが居ることにする習性があり、

矮小な知識をハブの大儀にコジツケテ、ひけらかすキライがある。

そのことが、空港出たら足元にハブ・・・みたいなイメージにつながり、観光化を遅らせているとも知らず。

ホントに哀れなものだ。 そのくらハブの恐怖は、シマンチュにこびりついているのでもあるが・・・

 

日中でも見られる、ハゼっぽいのが目立つ。 ウワサで聞いている熱帯魚類はどこにもいない。

ホントに海から離れた洞窟で熱帯魚が現存し、餌付けでもできれば観光資源になる。

しかし、地味で、シコタマみすぼらしいハゼっぽいヤツしかいないのだ。

 

まさか海にいるもので、図鑑に載らないようなものが居るハズがない・・・というのが私の知識レベル。

動植物の図鑑をそろえてもらっていた中で、魚貝図鑑をボロボロにしてきた私が判らぬとは・・・と

自信過剰?からハゼらしきを調べ始めたのがキッカケ。

残念ながら鳥羽水族館からはトンチンカンな回答しか得られなかった。

特殊生物なのだから、若造飼育員には無理なジャンルだった。

 

結局、天皇陛下が記されたという、カワアナゴ類の判別論文により、テンジクカワアナゴだと

私なりに結論に至ったが・・・マチガイとわかるのはだいぶ後のこと。

 

通ううち、赤いエビを発見したら、にわかに気持ちがソチラへ。

足の皮膚をガシガシ食いにやってきたので、指を広げてバレーボールを両手でつかむような感じで

全方位から水流を起こしながら、指カゴ?のように囲ってやると、逃げ道が無いと感じるらしく、

指の隙間があるのにスンナリ捕まる。

ヒゲや足が細いから、わずかな水流の動きに敏感なワケだが、それが弱点でもある。

この派手さに、私はヤラレテしまったのだ。

 

洞窟ダイビングをされているらしい、カラッパさんのサイトへ質問したところ・・・

魚類もカナリ怪しいということだった。

 

もともとウンブキは半世紀前までは、海と同じ魚が出入りしていたという。

まわりが田んぼから畑になったことで、赤土が流入して洞が狭くなり、環境が変わったらしい。

ゴミ捨て場として利用?され始め、うっそうと暗い環境が整ったことで、

洞窟の汽水に生息する特殊な生物が好むようになったのだろう。

 

先のハゼっぽいやつは、カワアナゴのたぐいは間違いないが、実は2005年に新種となったまま

論文化されないで放置されている種。

テンジクカワアナゴとソックリなのに、感覚器の位置が違うらしい・・・

 

エビは、海底洞窟にいるリュウグウモエビソックリだが、胴が短く眼球が飛び出していない。

琉球大の藤田さんが研究されていて、久米島や宮古島、ほか太平洋の南国の島々の洞窟で

ビミョ〜に雰囲気が違うのが見つかっているらしい。

分類が困難で進んでおらず、和名が付いていない。

 

アナゴに至っては、鮮明な写真を神奈川県立博物館の瀬能先生に送ったのに、わからないという。

私にとっても、まったく見たことのない、図鑑の記憶も無いナゾのアナゴだった。

 

それもそのはず、ウナギ目だが、アナゴ亜目でなくウツボ亜目のイワアナゴだったのだ。

イワアナゴは、国内にはほとんどいない。 つまりイワアナゴという名は図鑑にはないのだ。

 

ウツボっぽく進化したけれど、コソコソと穴暮らしになったような亜目らしい。

イワアナゴで画像をググると瀬能先生んとこのデータベースと、怪しいイラストのほかは

ほとんどウチのサイトの写真である。

 

珍しい中でも、洞窟の中で極端に隠遁生活をする種なので、かなり同定には時間がかかった。

というか・・・瀬能先生は日本の二大巨頭、海水系、淡水系のお二方の、淡水系の方だったのだが

知らないからイヤミなことを書いたメールを送って、催促した経緯がある。

恐れを知らぬとは、幸せなものである。

 

たまたま役場4階にやってきた、環境省の自然保護官が水産系学部を修めた方だったので

瀬能先生のお立場を知ることとなった。

 

実は、サンプルがたったの1匹だったので、今回はフライヤーズ・フォース・モーレイの英名を持つ

これまでの種と同定したことにしたのだが、論文には歯並びに違いがあることが明記されている。

 

論文が出来上がってから、2匹目を捕獲して送付したため、違いを証明するに至らなかった。

捕獲を急げばよかったのだが・・・たまたま五十肩発症と時期が重なった。

 

それに、一度に命名と新種がドッキングしてしまうより、別々の方が話題性も二度美味しそうだし・・・

などと邪念もムクムクと起こったりしている。(笑)

 

ウンブキアナゴが、英名「揚げ損ないウツボ」?とは別種かもしれないと知ったとき、

にわかに別の可能性が頭に浮かんだ。

南北半球にバラバラと分布するイワアナゴが、同種とするのは無理がある・・・すなわち、

他のも別種かもしれないな・・・と。

オーストラリア東岸2ヶ所は同種だったとしても、ハワイやマダガスカル東方のセーシェルは違うだろう。

 

人類の歴史とサンゴ礁ベースの地形は、南国においては大切な結びつきだが、

白人系欧米人にとっては、単なる荘園化地域の事柄などツマラナイことである。

連中は、北ほど優れていると信じたい体質から、テキトーに扱われたのだろうな・・・と。

 

イワアナゴが住むべき海底洞窟は、大地の変動によって、少なくとも隆起と沈降を起こした場所だ。

サンゴ礁が海面より高くなって鍾乳洞となり、また沈んだのだ。

それは人類の分布にも大きな意味がある。

そういった意味では、コイツらが生活する環境は、数十万年ごとに変わってしまうかもしれない。

その変動が具合よくなったときに、コイツラが居付いたり、コイツラが居付いたころ大地は沈んだから

人類は撤退したか死滅したりしたことだろう。

アンキアライン洞窟は、必ず真水が流れる生きた洞窟だから、タダの穴好み生物が住むワケでもないし、

地上の生き物のすう勢とも関わりが深いと想うから、環境の断続性を追究しやすいのではなかろうか。

 

ん゛ま゛〜学のない私が、ごちゃごちゃ云っても始まらんのだが。

 

ともあれ、もし別種となれば、私の満足感はヒトシオである。

酔い覚ましの散歩がてら、セージローの観光ネタ兼趣味的な熱帯魚探しから出たコマ?となる。

 

無論、私が第一発見者ではなく、2011年に見つける以前から、シマンチュがもともとチラチラ目撃していた。

ただ・・・極端に希少な生物だったために、調査できる人物にたどり着けないのが普通だろう。

私は運がよかったのだ。 図鑑少年だったという自信過剰も救いになっていたり。

 

以前、モズ博士Tに同定してもらったヨーロッパの小鳥、ズアオホオジロは

同定してもらった後に新聞社へ知らせたところ・・・目撃から時間が経ちすぎているからとスルーされた。

たかが小鳥扱いだったのだ。 当時私も、珍しいものほど同定が難しいとは思っていなかった。

今回は、地元名がついたことで、注目度は高いはずが・・・

奄美新聞と南海日々に連絡を入れたものの、地元で最も購読者の多い南海日々は取材に来ず、

結果、奄美新聞の単独取材によるスクープとなって、初めて動いた。

しかもテンションが低すぎ、結局のところ4日も遅れたし、その裏には、写真を南日本新聞に送付したものを

流用したものであった。 もちろん複数枚送ってあったから、それぞれの新聞社は異なるカットを使用した。

 

報道が公平で迅速なもの・・・ということは全くない。 記者の好みで大きくもなれば矮小化もされる。

同日、前に住んでいた兼久で人身事故があり、そちらの取材に興じていたのかもしれない。

 

徳之島は、歴史的ハコモノや文献は、薩摩藩に全て破壊されたり焼き払われたりして、なにも無い。

奄美の島々が歴史文化の雰囲気に欠けるのはそうした背景があるが・・・黒歴史扱いで、教科書に無い。

だから沖縄ほどでない半端な自然と、歴史文化の薄い地域として観光化が遅れてきたのである。

 

奄美の島々が観光化するためには、失われた過去を辛抱強く掘り起こしていくしかないのだ。

自然も、長い島の歴史の掘り起こしである。

 

結局のところ、シマンチュは客観性がないことに加え、知的好奇心が薄く、探究心そのものが小さすぎて

島のスゴサを見つけるのは来訪者が多い。

 

そういった意味で、今回はシマナイチャーとはいえ、住民として見つけられたことは意義深いと思う。

フツーは、どこからか降ってわいたようなガクセイサンとかガクシャさんが発見するからだ。

身近なオッサンが、身近にいたのを酔っ払って見つけた・・・わけだし。

身近なナゾについて、テンションが上がってくるハズである。

 

このところ、見知らぬ鳥を見かけたら、役場に通報がある。 イイ傾向だ。

トリトリデッキ効果といってもいい。 アレは企画課長ヤナギさんの好プレーだ。

もともと、私の写真を売りたいと申し出てくれた、大島本島のモリヤマさんが進言したものらしい。

 

ヤナギさんと、モリヤマさんは昼飯を一緒に食うぐらい、高校生レベルの?友人どうしだ。

移住して、イノーの水鳥たちを私がチマチマ撮影しているのを身近に眺めつつ、大島本島には稀な

クロツラヘラサギが恒常的に見られることの貴重さを知ったのかもしれない。

 

私がウンブキアナゴと出逢ったころ、パソコン教室の先生をやっていた。

その前には、子供たちに向けた演劇でナマ鳴きマネを演じた。

町内でメジャーなポスターや、パンフレットなどを手がけるようになった。

今では、デザインした看板が、アチコチに立った。

人が集って鳥が逃げるのがイヤだった、バードウォッチングを指導するようにもなった。

学校の先生に、生物の生態についてレクチャーすることもある。

 

スタンダード?でない、ヘンテコなウツ症状を癒そうと生活し始めたものの、症状はあんまり好転せず。

ちょっとした遠出や、面倒な待ち合わせ程度でも、吐き気がして大変なことも増えた。

動物ばかり相手にするようになって、より繊細になってしまったのかもしれない。

寝込んでいると、セッカチな友人から大丈夫かと電話もかかってくるが・・・出る前に切れる。

 

不思議なことに、ウツなわりに人前に出ることが増え、想像以上に顔を知られるようになってしまった。

 

餓死しない・・・年金程度の収入もギリギリある。

生物を相手にしているからわかるが、やっぱり生きててナンボだ。 ホントは繁殖してナンボだが。

ま゛〜私のように繊細すぎて、ハゲなDNAを残すのもナンだし・・・のんびり生きている方がトクかな。

 

ともあれ

生き物に名を与えられる立場になれたのは・・・動物写真家としては、すこぶる心地いい幸運だ。


ではまた