伊勢の夏旅情

 


島では航空便を利用するとき、何便?と問われる。

ただこれがどうも、鹿児島行きのみをさしているようで・・・奄美大島経由大阪便は含んでいないよう。

10:45発と言ったら、あれ?といった風だった。

大島まで25分、サーブ機はかなりちんまい。

おそらく、鹿児島空港から種子島などへ飛んでいるのよりも一回り小さいサーブ機のように感じる。

こ・・・これで大阪まで乗り継ぐのか・・・不安になった。 そういえば、あまり大島経由を利用していない。

 

鹿児島経由だと、かの有名な胴体着陸OKのボンバル機である。

鹿児島で降りるけれどまた乗って大阪へ向かう。 狭い機内、揺れ、チャチなシートに身をゆだねる。

胴体着陸といえば・・・サンダーバード2号のような安心感?男のロマン? だが快適ではない。

 

予想に反して、なんと大阪行きはジェットだった。 そうえいば、奄美大島は群島随一の観光地。

忘れてた・・・

ただ、ジェットの人数を裁くには、手荷物検査場が1レーンのみというのはイカガナモノカ。

夏休みシーズンのお客を、さっぱり捌ききれていない。

 

伊丹空港へ降下し始めて気付くことがある。

3,000フィートあたりにグレーの大気層の境界面があって、底から下は濁っているのだ。

大気がナニモノで濁っているのかわからぬが、ひょっとすると光化学スモッグかもしれない。

上六へのバス待ちしているとき、空を見上げると、晴れなのに晴れてないマイルドな陽光。

確かに気温は36度なのだけれど、島の32度と比べると、いささか風が涼しい。

電話でオヤジ殿にそういったら、隣にいた天然モノの大阪のオバハンが、ビミョ〜に驚いていた。

どうせ、大阪の暑さが一番やで!とか無駄な意地が働いたに違いない。 暑いが湿度は10%も低い。

 

リムジンバスは、どうやらハイブリッド車両のようで、昔のハイブリッドと違いスムーズで静か。

昼下がりなのに渋滞している阪神高でノロノロ運転・・・近鉄特急が一本遅れた。

久しぶりに切符を求めたら、つり銭だけもらって立ち去ろうとしてしまった・・・

 

一本遅れたのは幸せた。

伊勢志摩ライナーというのに初めて乗られたからだ。

テッチャンではないが始めての色合いの車両に、ちょっぴり嬉しくなる。

 

車内は、どの航空便より快適な広々シートである。 近鉄特急のは、新幹線よりも広い。

地元の常識である。 近鉄は新幹線と同じ広軌で、しかも4列シートなのだ。

全席指定だから安心して乗っていられる。

 

どうやら、アーバンライナーの衣替えバージョンのようである。 伊勢志摩専用のカラーリング車だ。

ガイジンにはちょっと狭苦しい、肘掛けからテーブルが出てくるタイプなのが、ずいぶん懐かしい感じ。

一本遅らせたのは、最後部の、大荷物を後ろ側におけるシートがなかったからも、もあった。

地下駅はずいぶん下を走っていて、移動に難儀するが、上本町は地上駅と難波からやってくる地下駅に分かれていて、

それがたいそうな分かれっぷりなのだ。 東京駅の京葉線よりは、まったく苦にならぬレベルではあるものの・・・

もう歳だし、あんまりドタバタする旅はメンドクサイ気がする。

 

なんかビミョ〜に枯れたテッチャン風になってしまった。

 

車内には子供も乗車しているが、リムジンバスでとなりにいた3兄弟のようにウルサさはない。

とても快適だ・・・エアコンの効きも、昔の近鉄ほどは効いていないような、あるいは駅間が開いていて

どん行、急行よりは空調制御が穏やかだからかもしれない。

 

どうしてだろう・・・冬の帰省よりも気が楽である。 年末年始の押し迫った雰囲気がないからか?

ウキウキはしていないものの、オモオモしくもない。

今回はどちらかというと、年末年始のイベント重視でなく、両親の顔見と、釣具の買出し程度しかないから、

気楽さが好都合なのかもしれない。 とはいえ今朝の出発前の準備中はえらく吐き気で苦しんだ。

こういう風になるから、自然保護関連や教育委員会関連の研修会(旅費ムコウモチ)がいくつかあるが、

今年は断り続けている。 ちょうど帰省する日は、奄美大島で県の自然保護推進員の研修会だった。

そういえば、車窓の風景もずいぶん違う。 冬の枯れ尽した里山でなく、青々としている。

生命の活性のようなものが、気分を上向きにさせているのもありそうである。

なにしろ、島は紅葉のない世界なので、植物の枯れた姿はたいそう気持ちがゲンナリする。

 

車内放送から、デラックス車両を利用するには、デラックス券が必要です・・・と聞こえてくる。

どんなデラックスな券なんだろう。 いやむしろ、デラックス権?を得るチケット?

心身ともに、デラックスになりきれるような。 一度だけ、デラックスボンバーが発射できるとか。

 

デラックスな列車旅行とは、どのようなものか勝手に空想がすすむ。

当然、シートはすべて革張りで、モミモミ機能とか、ビデオが視られるとか、ヒンヤリおしぼりもデラックス?

そういえば、ヒンヤリおしぼりは出てこなくなったようだ。 昔は特急で出ていたような。

車内販売の売り子もこない。 下りだからか?

伊賀神戸では、スマホからヘッドホンを伸ばしているニーチャンと、風呂敷づつみをかかえた御婦人が、

田園風景を背に、待合っていた。 あら?なして伊賀神戸で特急が停まるのだろう。

あとで調べたら、関西本線に連絡する近鉄伊賀線の分岐点だそうだ。 知らんかった・・・

 

大阪〜奈良を経て、いくつものトンネルを抜けて伊勢湾に近づくにつれ、広い田畑、郊外型商業施設、

山の上に造られだした団地などが見え隠れし始める。

わきを通っているのはヒョットシテ国道!? ここらは417号線だったっけ? 国道自体も懐かしいj響きだ。

大阪時代、おそらくここらの路を使ったこともあったかもしれない。

 

よしなしごとを、つらつら思いつくこと自体、かなり余裕があるから、ではなかろうか。

 

明るい車窓からの光で、バイオをしげしげ眺めると、いろんなところに煮汁?のあととか、

キーボードの磨り減りとかが目に付く。 ほとんど意味なかったバックライトキーボード。

そろそろ次のを考える必要があるかもしれない。

このパソコンが寝床用として余生を過ごすころ・・・夜な夜なバックライトキーが活躍するだろう。

 

一方、バッテリーのもちはななかなで、なにより残り時間が正確なのが嬉しい。

50%、70%、100%充電の切り替えが利き、バッテリーのへたりがほとんどないからだろうか。

 

眠いのも忘れてこうして記事を書いてしまったが、降りるとき気付いた。 コンセントがついている!

見回せば、ほかにも・・・

まさかフットレスト?フィートレスト?の間にあろうとは・・・バッテリーを気にする必要が無かったようだ。

つぎからは、出しやすいところにACアダプターを用意しておこう。

 

晩飯は、カツオの刺身だ。 ご〜ぢゃす! 久しぶりに、飲み屋さん気分でごちそうを食べられた。

好物のミョウガ、シッカリ用意されてあった。 親というのは、子のワガママをよく覚えているものだ。

 

釣具店などを巡るが、思ったような製品が見当たらない。

ソフトルアーはあるのに、ジグヘッドがない・・・といった様子もあった。

アジング全盛なうえ、メバルや寝魚が下火なシーズンだからか。 在庫にバランスを欠いている。

店内放送では、ルアーのチヌ釣りダービーの催しを告げており、なんともはや・・・

真夏に40cm以上のチヌ限定とは・・・そんなもんかね〜と感心したり、疑問に感じたり。

 

島では注文しても入荷しなかった、ズル引きコーンの各色がすべて揃っていてウラメシイ。

そういうことって、あるんだよね離島では。 チヌシーズンはもっと先だから、今は要らんけど。

 

ダイワの硬いシーバスロッド?9フィートがあった。 安い・・・

これならヒラアジの2、3キロなら十分に楽しめそう。 キャタリナ3502あたりと組めば楽しいに違いない。

静かな内湾は別として、外洋なら先調子はあまり関係なく、竿全体でパワーを吸収する方が有利。

魅惑のロッドだが、手持ちのなかに胴調子のシイラロッド?があって、そちらを使ってみたいので見送り。

このごろのロッドは、全体に細身で、グリップや竿尻まで細いので使い辛いこと山の如しであり、

改造前提なのはメンドクサすぎるのも見送りの原因。 一方、クセのある旧型タックルを味わうのも一興だ。

 

結局、楽しみにしていた釣具の買出しは、大半が見送りになってしまった。

欲しかったミノージグ、スミス・サージャーもマグロやヒラマサ用で重くチューニングされたもので

オリジナルのものは、もう売られていなかった。

 

完成度の高いルアーで釣るより、もっと工夫して楽しめ・・・という啓示か?

アクションで小細工したり、渋い中古ルアーで苦労して釣れ・・・といったところか。 それもまた一興。

 

シマノのリール、バイオマスター4000HGを買う気で眺めたところ・・・キャシャすぎて買えなかった。

ギスギスした神経質なデザインで、傷ばかり目立ち、繊細すぎる造りに南国魂がNGを出していた。

これならオーシャンの激安海外リールの方が使いやすそうだ。 ベアリングの数も多いし。

 

ネジが錆び付いてて回らなくなった手持ちのリール、トーナメントX4000iを復活させる気持ちも湧いてきた。

錆び付いて外れず、ネジ山のなくなったマイナスのビスをどうやって外すか・・・美しく破壊・・・しか

手はなさそうでもあるし、破壊してでも手をかければ、まだまだ使えそうな気もしてきた。

 

それにしても伊勢は暑い。 35℃にもなる。 暑さの質が異なるが、不快さは島の方が微差で勝る気がする。

島の33℃では、湿度が80%か70%台後半であることもザラであるが、内地ではせいぜい70%台。

扇風機を回せば、汗が引いてしまうのは劇的だ。

島では手足の甲、肘や大胸筋の下からタラタラ汗が出て乾かない。

蒸し暑いとよく言われるが、湿度よりも地面の照り返しが、暑さ感を助長しているのだろう。

ま゛確かに、内地の気候では高湿度シーズンであり、蒸し暑いと言えなくもないといっても、過言ではない・・・

島の蒸し暑さに慣れてしまうと、内地の暑さは、暑い!だけで、さほど蒸してはいないと感じられる。

加えて日差しが柔らかい。 特に今年の島はいかにも南国らしく青い空、白い雲なのに、

内地は白い空、白い雲・・・で、島の激しい陽光を感じない。 もやがかかっていて、晴れとは言い難い日もある。

暑いのに、青空が青くないのは気色悪く・・・ただ暑くて、炎天の白い景色は、気分的に暑苦しい。

他方、実家はエアコンを29〜30℃設定でまわしており、それでも十分に足が冷たくなるわけで、

寝るときは30℃でも、足が冷たくて眠れない。  ひょっとすると、上方に設置されたエアコンだけが暑さを感じ

冷気がたまっていく部屋の温度を御し切れていないのかもしれぬ。

エアコンの辛いところは頭寒足熱の反対になってしまうことだろう。

おかげで風邪気味で喉が痛くなり、ジキニンを服用する日々となった。

 

オヤジ殿は、このごろ足の裏が紫色になるといい、どうやら足の裏だけチアノーゼのよう。

もともと私の体の血管は細く、手足ともよくよく血流が滞り冷えるワケだが・・・父方の血筋に原因があるらしい。

これまで私は、何度も末端冷え性と書いてきたのを、おそらく信じておられない向きも多かったろうけれど、

これで物理的に証明できたような、悲しいような。

 

このところ、島にいるときよりもっと寝不足が進行、日に2時間も眠れない。

早起きして、散歩観察に出かけたいものの・・・とても無理。 ク〜ラクラする。

遅めの朝ごはんを食べて、ウダウダして、時々買い物に出かけて、午後4時過ぎにはシャワーを浴びて、

5時過ぎごろから夕食・・・といったジジババ・ペースの生活のため、調子が狂いまくっている。

 

しかも食事は重々しいメニューも多い。

帰省したときの通過儀礼?のようになっている、外食ウナギ。 我が家で外食するのはほとんどコレだけ。

 

夕涼み&腹ごなしに散歩したいが・・・8時ごろには、オヤジ殿が戸締りをしてしまう。

面倒なので流星群も見逃した。

二重ロックになった玄関の鍵は、とても開け閉めが面倒である。

 

USB3.0用品を求めて立ち寄ったヤマダ電機。 家電の売り場が半分くらいになり雑貨を売っていた。

大型テレビはあるものの、スマホ、タブレット用品の面積こそ広がったが、電気屋というよりはホームセンターのよう。

近所にはすぐにスーパーも、ケーズデンキも、ユニクロも、ホームセーターのコメリ、ニトリまである。

 

借りたトイレには求人のチラシ。

パートってのは半日とか、週三日とかだろうに・・・無常識でバカゲタほど雇用条件の悪い求人だ。

週五日、7.5時間労働・・・あと15分働いたら、正社員と同じである。 でも残業ありなんだと思う。

店売りで、販売員をパート・・・経営努力しないで人件費削減・・・あまり長くないだろう。

 

ともあれ

香りよく半日くらい干されたシイタケの味噌汁・・・

たっぷりの味噌汁でいただく朝げは最高である。

 

酷暑で外へでられず・・・食事は多めでメタボ加速中。

あまり滞在を長くしなかったのは、こうした事態を予測していたからだ。

夏はまったく、やることのない伊勢であった。


 

ではまた