トライアスロンあれこれ・・・

 


奄美大島は自然豊かで急峻(きゅうしゅん)の島。

農業生産もままならないのに、奄美振興予算だけは

どえらい使っている島で鼻持ちならなかったが・・・

今度の災害は、お見舞い申し上げる。

 

島の形状によって為された災いならば

我が集落も同じで、湯湾岳とそう変わらぬ二峰を有する徳之島も

例外ではないだろう。

 

役場から電話があった。

役場職員に、奄美大島の復旧応援がかかったが

職員が忙しいので、ボランティアを募集している・・・と。

ふざけるな!天城町役場で忙しいヤツなどいねーぞ!

毎日5時過ぎに帰宅し、日々のたやすい計画業務が遅れ、

キビや牛を育てつつ、きっちり年休昇華するような連中に

忙しさが在るといわれても、まったく噴飯ものである。

役場からたったの3人ではないか!

 

しかもだ、役場職員なら給与があるが、食費と交通費だけで

ハブがいるのに、どこに泊まれるかわからない・・・ありえないだろう。

被災地で、被災者同様に風呂にも入らず、食事もそこそこに

無料で働き続ける人手を求めるのには、ハナハダ無理がある。

この格差と危機感のなさにあきれて、開口一番ことわった。

 

運が悪いと

住民たちがここぞとばかりに排出した、粗大ゴミまじりの

廃品の山を、分別しなくてはならない。

ゴミに対するモラルの低さは、やはり島社会独特のものがある。

要は捨てちゃえば自分に責任がない、というサッパリした考えだが

頭の中身もサッパリな人がやるので、こちらもサッパリ助ける気が

起こらないのも事実である。

 

テレビでは、分別はどうするのでしょう・・・という問いに

「やっぱり役場にやってもらうしかないね」と、

全然納税してなさそうな、ぼろいオッサンが言っていたので、

飯を吹きそうになった。

 

タバコと酒税だけ、まじめに収めているタイプの島民である。

 

日本全体もそうだが、特に閉鎖した島々の連中は

客観性をもたないと、支援の手も滞るというものだ。

 

だって、

隣の島の役場でさえ、行かない理由を探しているというのに・・・

やれやれ。

 


 

トライアスロン

 

まったく興味はなかったが、あまりに島人の熱意が大きいので

ついついつられて撮影にでかけてしまった。

撮影枚数は千二百余枚・・・

 

島には写友会があって、友人知人がどういうわけか写友会。

それでもって、会員でもないのだが・・・臨時写友会員?に扮し、

役場から写友会に付与された「報道」の腕章を借りた。

それと、トライアスロン帽子ももらった。

 

この効果は絶大で、どこへいっても、

役場の撮影? とか お疲れさまなどの声が絶えぬ。

 

驚いたのは、声を掛けるだけの人が、たくさんコースの県道に居り

ほとんどボランティアで参加しているということだ。

半分は昼飯と飲み物代と帽子とTシャツ込みであるが・・・

子供たちやお年寄りたちは、ともかく参加するという意気込みに

満ち満ちているのには驚く。

これでも、ひところよりトーンダウンしているらしい。

 

大人たちに関しては

昼ごはんと飲料代で600円ほど、役場予算から支出されているが

島の女性陣は工夫が上手で、はなから食費はまとめてある。

まとめた方が、弁当のパッケージなども必要ないし、そのぶん多く

そのぶんいろんな料理が作られるのである。

 

私も兼久のエイドで撮影を続けていたら

インチキ写友会なのに、ご相伴することができた。

 

これまた驚いたのは

にぎりめしの美味さは、何十年ぶりだろうか!

新米、塩と手で握られた本物のにぎりめしだ。

なぜか、中心部には安くて科学調味された梅が入っているが

逆に味の薄さが、ほどよいにぎりめしの塩分と調和している。

これほどのにぎりめしは、山口の婆ちゃんがこさえてくれたの以来

食べたことがない!

 

最初にひとくち食べて叫んでしまったので、

近くにいたご近所の奥さんの表情が、ちょっと曇ったくらい美味い。

このにぎりめしなら、一生絶え間なく食べていたいと思うくらいだ。

 

気になったのは・・・

「大雨で水浸しにならなかったの?あの家!」という

沿道にいた、奥さんの言葉であった。

 

やっぱりやばいから、空き家だったんだ・・・

 

幸い、思った以上に水はけはよく、っていうか生コンを打ったので

表の道からの流入がなかったからかもしれぬ。

でも、池状態になったのは事実だ。

 

島人には、あの池状態が怖いのだろうか???

でも水深10センチ以上にはならないようである。

 

気がかりは連発式だった。

 

「いやー、ちょっと池になりますけど

  それより3ヶ所ほど雨漏りがしましてね〜」と応えたら

 

「雨漏り?私のところなんか、もー○*□@▽でした」

と、いつもいつも屋外並みに降リ注ぐ感じだった・・・

それって、コンクリ瓦の家って常識なの???

 

いやもうそれどころか、

雨漏りがそれっぽっちなんて、まだまだ古さが足りない家ねと

いわんばかりのスケール感であった。

 

実は、隣の管理していた奥さんから聞いたのだが

我が家は築50年を超えているらしい。

私の想定よりも、10年長かった。

しかし、漏りヶ所が座敷のほぼ真ん中というロケーションは、

数ヶ所の座敷脇のに勝る危機感がある。

どこに寝ても1m以内、布団がしぶきを浴びる距離だからだ。

しかも、その脇を固めるような位置にサブ雨漏りが配される。

おそるべし、旧家・・・ おそるべし、島の生活の常識・・・

 

築50年のヨワイも納得がいかぬでもない。

座敷の畳は1cm以上隙間があり、つねに風が吹き

風だけでなく、様々な生き物が行き来し、

座敷でない場所においては、もう隙間とか甘いレベルではない。

 

どれだけ締め切っても、下から風が来る世界。

どれだけ締め切ったつもりでも風が吹き抜ける世界、我が家。

締め切ろうにも、鼻から違っていたかのようにロックが合わぬ世界。

ロックできないから、サッシにドリルで穴を開け、釘を刺す世界。

つねにノレンがゆれる世界。

風を送るためでなく、熱くなった上空の空気を下界の空気と

かき混ぜて分散させるための天井扇がついている世界。

常に生物と暮らし、ともに寝る世界。

風とか、生き物の音が、つねに鳴っている世界。

当然トイレはぼっとんで、におう世界。

どこを歩いても、別のところが揺れ、ヌキアシサシアシで歩く世界。

いちいち新聞配達の知人のオッサンが声をかけて

家をのぞき、頼んでもいない聖教新聞を配っていく世界。

パソコンをメンテしたら、口の開いた泡盛とか、

キャンベルスープの無駄に大きな缶とかが報酬の世界。

それが、小さな築50年の世界。

 

ただし、

大雨でも、嵐でもトイレにも風呂にもOKというのは劇的である。

 

小さな世界だが、知らない世界が山ほどある世界。

トライアスロンは勉強になるなぁ・・・

 

閑話休題

バイクの通過スピードには驚いた。

時速70キロくらいで目の前を通過するのだが

このスピードにカメラがついていかなかったのである。

そうとも知らずに撮りまくったから、後の祭りだった。

最終的に使えたカットは480あまり。

6割がダメなカットだったというのは、かなりショックだ。

4m先を70キロで通過するバイクは、換算すると・・・

17m先を300キロのF1が通過するのと同じである・・・

ツバメよりは遅いだろうとタカをくくっていたが、さにあらあず。

もっと近いことも多々あったので、とても歩留まりが悪かった。

 

そのうえ、

遠ければ高温でゆらいだ空気が邪魔してピントが合わず・・・

結局、中距離でしかピントが合っていなかった。

しかも鳥の観察なら1/400秒もあれば撮れるが

走る姿ですら、上下動が激しくブレが多発してしまった。

そうなのだ、動物ほど安定した走法ではないのだ・・・

鳥の飛翔は、スピードさえシンクロすれば頭がぶれることはない。

 

スポーツ写真の意外な難しさを知るのである。

 

さらには

どうもタムロンレンズの手振れ補正は、イマイチのようで

流し撮りするには、そうとう長くレンズを振っていないと

モードが切り替わらぬようである。

流した方向にある程度すすむと、ブレと判断して補正を続け

補正位置の限界にレンズがやってくるとカクッと戻すを繰り返す。

つまり、流し撮りのつもりが・・・

ブレ補正、限界でカクッと戻す、またブレ補正、カクッと戻すを

繰り返しているだけのようである。

ブレ方が、スピードからは想像できないほどブレている画像が

多かったためである。

 

加えて、あまり瞬間的な動きに適さない安価な通常モーターで

ピントを合わせるレンズなので、高速の移動体にも追従がわるく

またまた加えて、望遠側の開放F値がカメラの自動フォーカスの

限界値のF5.6を超えたF6.3のためかピント自体も遅く

不正確だったようである。

18mmから250mmをカバーする高倍率ズームは便利だが

落とし穴も満載であることが思い知られた。

せめて超音波モーターのレンズが必須だなと痛感した。

 

さりとて鳥用の虎の子カメラ、EOS1Dを出そうにも

先のタムロンレンズは使えないので、対応するレンズが

ないのである。

タムロンレンズはこのごろのアマチュアカメラ用であり

プロ用のカメラには使えない仕様になっているのが困り者。

カメラを2個持つような、生来のカメラ小僧っぽいイデタチも

できなくはないが、カメラを置く場所、持ち替えの迷いを考えると

無駄が多すぎて使えない。

その上、撮影時に肩掛けストラップが邪魔をして

カメラワークがひどく面倒でチンタラしてしまう。

想像するだけでもウットーシイほど、ストラップが嫌いだ。

 

普段、私は邪魔なストラップを使うことはない。

それに、6キロ未満の装備にストラップは必要ない。

(私の装備はバズーカレンズを含め、すべて6キロ未満・・・)

 

あるいは

人間は大きいので、近くから遠くまでカバーするには

存外多くの機材や人間の判断力が必要であると感じた。

けれども、それでは機動的ではないから、課題は大きい。

 

我が兼久(かねく)集落のエイドステーションは、坂の上にあたる。

平土野(へとの)からは50m以上、一気にのぼらなくてはなぬから

体力それぞれに悲喜こもごもの表情で走者が上ってくる。

ここを選んだのは、地元であることと、徳之島らしい風景

マユンハナこと寝姿山の頭の部分が、背景に写るからだ。

電線だらけで、雑然とした風景だが、どこにもない山が写る。

ランナーの方々には見えないが、島のトライアスロン風景には

ふさわしい場所だと思ったのだ。

 

思わぬ知人ランナーも巡ってきて驚かされる。

あの大久保町長↑や、漫画「てくてくケンミ君」の作者も参加している!

 

私に腕章を貸してくれたF本さんも、

一昨日まで熱で寝込んでいたのに、しっかりと巡回中だ。

 

こうしてみると、島はやっぱり人の関係が密である。

必ず誰かに出会うし、困ったら、そのあたりに誰か知人が居る。

直接の知人が居なくても、必ず知人の知人である。

そうでない都会にいると、不安でならないという島人の言葉も

なんとなく分かる気がしてきた。

 

兼久の県道側とは反対に、海側もランのコースである。

参考までに?、県道はバイクとラン双方のコースだ。

 

海側は集落から離れているので、応援者はほとんどいない。

だが、私が狙っていたのは、熱い島の陽炎のなかで走る姿。

トライアスロンといえば、Mの鉄人と同義と思うわけで

その姿が一番美しいのが、炎天下らしい光景だと想像したのだ。

想像通り、炎天下、陽炎&逃げ水、キビ畑、海がみごとに調和した。

やっぱり南国の暑い大地は、Mが輝く世界だなぁ・・・

 

このごろ、運動会などで身に着けた撮影姿勢は、開脚撮影である。

90度くらい開脚してペタンと地面に座り、どちらか膝にもたれて

カメラを地面近くに構えるのである。

雑然とした風景から選手が抜け出し、顔が空に浮き立つ。

接近してきたら、体を起こして座った姿勢で順次撮影できる。

寝そべっていたら、すぐには立ち上がれないが、

開脚なら、姿勢をすばやく変えられるので、すこぶる好都合。

先の運動会の写真も、そうして撮影した。

動物に対して、コソコソ行動するのよりはずいぶん楽で、

ちょっと恥ずかしいが、有効な撮影方法である。

走者の孤高を写し取るには、このアングルがふさわしい。

 

カメラは過去半世紀、とかく三脚を使う使わないという議論があるが

基本的に、体の使い方を考える必要があると思うんだが・・・

道具は少なく、脳と体は柔軟に、の方が可能性が広がる。

どうも道具ありき、のような風潮がカメラ周辺には強すぎる。

三脚、フィルター、肩掛けストラップ、重いアルミケース・・・

どうでもいいくらい、シャッターチャンスを逃す品々に満ちている。

 

最低限、手振れしない体を作るくらいの努力はしてもよかった。

そういう道具なら歓迎なのだが・・・

子供をかかえる女性の腕力があれば、カメラなど楽勝だから

女性に支えられないカメラは稀。

安定的に支えるには、使う道具の倍くらいの重さを

持ち続ける筋持久力があれば、撮影の重さのストレスは

全く感じなくなるだろう。

 

だがプロを含めて、カメラ小僧らはヘナチョコが多い。

繊細なのは大事だが、鍛えることが嫌いな人格に

カメラ好きが多いような気がしないでもない。

カメラ好きであって、写真は二の次でもあるような・・・

(雑誌など新型カメラのレビュー記事にある写真の粗末さときたら・・・)

 

つまらないことを撮影し、さも日常の中に素晴らしくて美しい光景が

潜んでいるかのような、錯覚におちいるタイプのカメラマンが急増。

おそらく、そういう教育をほどこす専門学校の仕業だろう。

プロなのに、驚くほど無意味に思える写真展などもあって、

写真の質の悪さは、だれも写真の価値を高く感じることのない、

雑画像化を招いている。

ラーメンとインスタント麺が接近しているような感じか・・・?

 

まーデジタル化とは、ある意味コモディティ化でもあるから

別にプロでなくても映画もCGも音楽も写真も手軽に作成でき

雑多になっていくという姿を招くのだが・・・お写真で食べていくのには

とても辛いご時勢になったとも言い得る。

職人として独りでガンバルだけでは、個人の素質と趣味の世界に

勝てないかもしれないのだ。

 

逆に言えば、絵の具や紙などといった物理的に制限がある

リアルの方に、より価値が出てしまう不思議な揺り戻しもある。

だが、写真は元々複製するメディアだから、根本的に危機である。

 

まーそんなことも感じつつ、

いろんな意味で、写真の難しさを体感したイベントであった。

 

後の祭りも、えらく大変だった。

 

選手たちの黒い顔と強い日差しの逆光・・・

とてもではないが、そのまま使える写真ではなかったから

結局、総数480枚以上、手作業で修正していたのだ。

 

撮影時↓

修正後↓

選手の表情が見えるよう、現像ソフトを使って明るく補正しつつ、

同時に背景の空を白トビさせないよう処理するのに

個別の修正操作が必要だったのだ。

 

ちょっと空が黄色めになっているが、

肌の色を自然に出す色処理の影響。

被写体優先で処理している。

本気で飾る写真ならば、選手と背景の最良写真を

合成することになるが・・・無料奉仕なのでこのくらいが限界だ。

しかも480枚だし・・・

 

しばらくイベントはなかったと思うが

次も同じカメラとレンズで挑むのか悩ましい。

かといって、イベント&ボランティアのためにレンズを

新調するほど全く余裕はなく、4月以降の収入は27万円。

 

イベントなどパスしていいレベルの収入だな・・・

余裕どころか、危機的というか生活保護だよ!

 

でも、M的にがんばる選手の姿は捨てがたい。

今回のレンズの特性を、もう一度洗いなおして、

本当にダメならば、別の手を考えるとするか。


申し訳ないが、こちらのアップが遅れたのは、

トライアスロン写真を少しでも早くアップしたかったからである。

大雨や台風でトラブルか?とご心配いただいて

メールしてくれた友人はたった一人だったが・・・(笑)

少々、ご心配をおかけしたかも。

 

専用サイトはこちら

http://dokushima.web.fc2.com/


ではまた