ちくわのような人生

 


ときどき、コブわりをつくる。

お酒というのみものが、なんとかご飯の一部になじまないか・・・

酒好きの欲によるものでしかない飲み物になる。

お吸い物と、お酒の間のような。

甘くてイノシン酸が入った、安い梅漬けを入れる

居酒屋的な梅割りにヒントを得たものだった。

安っぽい梅割を飲んでいると、舌が壊れそうになるし

味も香りも梅とは全然違うし、他の料理の味が分からなくなる。

 

こりゃーいかんな。

でも、酒ザケしい飲み物でもなく

温まりながらほっこりと料理を味わえる

優しいサケを飲み続けたい。

 

南国には、暖房がないのである。

必要な日が、数えるほどしかないから買う勇気がない。

温かい飲み物で暖をとりながら食べる食事はなかなかだ。

 

コツは熱くないとコブ出汁が出ないので、お湯割りでなく

チンして熱かんにするのがよい。

だからといって、誰しも美味しいとは限らない・・・

だって、

ぬくぬくとした部屋で飲んだら、熱かんのうま味が

体にしみわたらないからである。

 

冷えたとき、寒いとき、熱いとき、暑いとき

味わいはそれぞれ違う。

その微妙に、耐えられそうなギリギリのところに居られるのが

徳゛之島に暮らす内地人的な味わい?なのかもしれない。

寒いときは、着ぶくれか腕立てなんかで暖をとりながら

寒い部屋で熱かんを飲むのはまた、格別である・・・変か・・・?

かたわらには、

道行くおばさんにいただいた野菜でこさえた鍋。

本当に、温まる。

格別のゴチソウではないけれど、とても美味しいシチュエーションだ。

 

美味しい料理を作りたいが、なぜかメニューが頭に浮かばない。

給料日だから!と思って買い物へ行くが、いろいろある惣菜も

さして食べたいと思わないのである。

腹を満たしたいが満たしたい食欲が今ひとつ・・・である。

 

なのも手伝ってか?

いただきものの野菜が、冷蔵庫の中に入りきらなくなった。

島料理を探求したいものだが、どうやらダメらしい。

 

いや、おそらく

食べたいのは、自分が釣った美味い魚・・・に違いない。

やっぱり狩りの本能は、バイトやヘビ捕りだけでは満たされぬのだ。

  

と書いたところが

急に梅雨になった・・・

 

内地では記録的な小夏日和?のようだが

島は至って普通にしている。

でも、一機に夏前同様になり生き物達の挙動がおもしろそう。

ハブなんかも目覚めて歩き回り、また寒くなってどうするか・・・

のような感じだ。

急に寒くなると、出ていたカタツムリやヤモリも少し死ぬよう。

ハブなどのヘビ類はスローになるだけ。カエルたちは冬も平気。

 

冬の長雨は不思議と部屋の中がカラリとしている。

布団は多少ジメジメするが・・・

気温が低いと、空気に含まれる水分量が少ないからだろう。

なので長雨もさして気にならない。

しかし、ムシッとするといきなり古い家の畳や床下のニオイが

しはじめて、家中がすごいニオイになる。 やれやれだ。

 

今朝(27日)は、不眠症の習性で朝4時すぎには目覚め

まったりとラジオを聴いていたら、いきなり緊急地震速報、

まもなく携帯電話からも。

 

横浜は固い地盤の下に、地震を伝えやすい層があるのか

よくよく遠い地震が伝わってきたものだった。

関西の震災、新潟、岩手雫石、茨城や千葉の直下地震なども

ダイレクトに伝わってくるような感覚があった。

縦揺れと横揺れの間合いや縦揺れの大きさで震源の距離や

マグニチュードが分かったりしそうなくらい。

 

今回のは不思議な、ゆるい地震だった。

縦揺れが来る前に地響きがないので近いわけだが

比較的縦にドドドドドとゆさぶる中ににわずかに後から

横へ小さくユサユサユサユサユサとくるだけで、

座布団を介して感じるような横揺れ感。

 

あ、いけね

さっき入ってきたヤブカにツチフマズを刺された・・・

いきなり蚊も元気元気。 さっそく今年初めてのムヒSだ。

あー食事をするとアヂーな。汗が出てきた。 

と、天井を見るとハエトリ君、床を見回すと、

ガのご遺体をゲットしたアリさんらが輸送中・・・

 

こうして

周囲のことはどんどん自分の中に入ってくるが

私自身は、なんもない、ただ感じるだけ。

周りが濃くて私は薄いから、どうにも空洞感というか

チクワ感あふれる時間が過ぎていく。

さすがに、一週間働くと、眠気がかなりきつくなるので

頭がまわらないし、体もゆっくりしかうごかない。

今日はこの辺で。

 

おっと、この集落に居られるのも、もう何ヶ月かになった。

というのも、家の前の道が拡幅工事が決まったからだ。

何年も前から、工事を訴えてきた大家さんが、知らぬはずもなく

私を家の保持と、移転料の足しにしたことは言うまでもない。

家賃が高ければ、立ち退き料も高くなる。

私は賃料と立ち退きのダブルパンチだ。 世間は甘くないねぇ。

でも、いっときでも徳之島に居られただけで御の字。

家が見つからなかったら島を出るしかないなぁ・・・

 

兼久集落の在住を記念して

徳之島のインディージョーンズ・フジ・Mさんである。

(ふじ、は島口でオジサン)

トレジャーハンターではなく、石ハンター?だ。

サンゴ礁の島では、石は珍しい。

けれども徳之島は複雑な地質で、意外に岩石は多彩なのだ。

その美しさにつかれて、秋利神川河口のゴロタ浜や

遺跡の石器類を収集しちゃうフジだ。

石を語り始めると、何日も止まらない勢いである。

島人にしては珍しい、探究心と根気と頭脳の持ち主で

ご老体ながら記憶力はすばらしい。

ふつう、島人は50代後半になると、仕事で昨日した発言も

今日は覚えていないということはザラにある。

正直、思いつき発言ばかりなので、信用ならない。

それを考えるとMフジは劇的な記憶力を誇る。

言っていることは、キチンと下調べした確かな内容である。

 

ところ変われば、責任感も変わる、

とはいえ、いろいろ達者な人もいることはいる。

 

ついでに

価値観の違いをもうひとつ。

島のクニン(みかん)で、タチバナとかマクグニンと呼ばれているようだ。

何種類もあるシークニン(シークワーサー)のたぐいとも

タンカンとも違う香りがするので、いい香りのクニンらしいが

この香り・・・竹みたいなニオイで変だ。

島の人は、誰かが言ったことを鵜呑みにすることが多いから

オレンジ系のミカンより希少価値の香りとして認識されているよう。

ま、内地の

臭いばかりで、肉がないのに人気があるモクズガニや

ベニズワイガニ(越前ガニ)を好む習性と似ている。

正直あれが安くて大量にあったら、食べないと思う。

単なる臭い肥料だ・・・

 

その証拠に、

肉も多く香りも味もいいシャコは見た目がエビでないからだろう、

珍重されていない。

カニ好きには悪いが旨味はカニより食べやすく、調理も多彩だ。

自分食べるものについて、他人の尺度の借り物ばかりではダメだ。

家族まで健康を害する・・・

 

大人になったら、一度冷静に、自分の尺度で物事を考えて

既成概念を捨てて判断する機会をもたないと、

子供たちにも未来にも、地元の特色にも

なにも気づかないままに、ただ、時が流れてしまう。

 

その場にいて、感じること難しいだろうが、子供より感覚の衰えた

大人の大切さは、多様な経験で得られた客観性にある。

世の中は人が増えすぎて、絶対的な能力や、特徴で

差をつけるのが難しくなり、相対的に勝った事柄で、

チマチマと差を見出して生きる時代。

それができずに、勢い困っているのが団塊の世代かもしれない。

 

とまれ

価値観の差もキチンと分かれば、それぞれの持たないものを

シェアすることで交易は成り立つ可能性がある。

受け入れることも大切、それを活かす客観性も大切。

ってことで、今回の結語に。


ではまた