生活感覚のフワフワ感

 


昼間はセミが鳴く夏日、空気はサワヤカだが暑い。

内地の晩夏から10月くらいが同居している感じである。

島の生活は、以前の生活も、どこか抽象的で

自身へ密着したように感じない気がしている。

 

不眠のためか、夢見は良いというか、夢ばかりを見ていて

意外にも、どこでもない「自分の世界」へ帰っているよう。

幼い時分か、あるいはお気に入りの時空間へ。

 

毎朝起きると

 「あ・・・島に居るんだった」 と気づかされる。

 

特段どこへ帰りたいとかいう感覚はないが

最近釣れないことが明らかになったので、

もう少し釣れる場所へ行きたいなぁという感じはある一方、

クロウサギや、トゲネズミ、浅間干潟のない場所は

めっきり退屈だよなぁ、と思うのである。

 

まこれも

ひととおりの撮影が終わったら変わるかもしれぬが・・・

 

さて

少し涼しくなったので湯豆腐が恋しい。

豆腐さっと洗って、自然水へ放っておくだけで

名水豆腐になっていくのである・・・何と豊かな味わい・・・

 

水道から出ているのは、知人の誰かがこさえた

沢からパイプで引いた清水である。 簡易水道だ。

ヘリクツやウンチクなどいらぬ、ただ、美味しく食べるだけ。

普通に豆腐を食べるだけでも、違う島。

 

しかも

島の木綿豆腐はかたく締まったものが常識で

箸にかからないような、コストダウンのために

水分を過剰に増やした木綿豆腐はない。

当たり前の豆腐を売っている。

 

ただ、最近さっぱり

青菜がないなぁ・・・と思っていた。

島は商品作物の不合品が沢山流通するが

栄養のある野菜類はなかなか流通しない弱点がある。

長寿の島もカタナシ・・・か・・・

 

すると、通りがかりのおばさんが、大根の間引いたの

つまり大根葉を持ってきてくれた。 こんな偶然が日常?

相変わらず、土つきで台所へドッサリであるが・・・

 

15センチくらいでみずみずしくて、苦くない菜物である。

すごい、向こうから新鮮食材が・・・有難いにも程がある。

さっそく、根ごとざっくりと切り、ナベに浮かべていた。

 

体が勝手に、夢中で大根葉を食べ尽くしていく。

思わず、おばさんに手を合わせた。

 

おばさんは、雨の日も風の日も、歩いて畑をめぐり、

夕暮れ過ぎても、懐中電灯で照らしながら

畑の世話を続けている働き者。

知っているからこそ、美味しい大根葉でもあった。

 

でもどうしてだろう・・・

こんなに沢山の大根葉を浅漬けにするといい、とは

おばさんは、どんだけ浅漬け好きなんだろうか。

そういえば

いっしょにもってきた、ナゾの瓜っぽいキュウリ、

あるいはトゲのあるキュウリっぽい瓜?・・・皮をむいて、

三杯酢で酢の物にって言ってたっけ、

おばさん、酢の物好きなんだ・・・

 

こんなふうに、夜な夜な思索を巡らせつつ、

ほとんど全ての生活が通りから見える居間に

Tシャツ姿で湯豆腐を食べながら、

縁側の網戸にコオロギが登ってくる姿を眺めるのである。

 

プライバシーはないが、隠すものも特にない。

 

そういえば

大家さん・・・ハイビスカスがブラインドだったんだけど

知らないうちに刈っちゃうんだもんな〜

 

湯豆腐のツユの味が薄くなったので、しょうゆを加え

先日、集落のおばさんたちが集まって手絞りしていた

クニン(みかん)のすっぱい汁を加えてみた。

 

おばさんたちが

その辺の誰彼ともなく庭先にあるクニンを

手当たり次第もいで、寄ってたかって絞った物だが、

時差があるだけで・・・風味が全く違う!?

無論、我が家のも混ざっているのである。

古くなるといけないので早く使おうと、たらした酢。

しかし、皮ごと絞り、果汁と混ざり合い

分子レベルで馴染んだクニン酢は、

さわやかな香りと味がまろやかに馴染んでいて

し、心底・・・美味いっ!

これがクニン酢の真の味だったんか!?

 

ほぉ〜ぉ・・・・・・・・・・・・・・こんな風味が・・・・・・・・・・・・・・・

 

これまで黒糖焼酎に加えていたが、どえらい後悔した。

とはいえ、毎晩湯豆腐を大量に食べるわけでもないが。

 

でも、このことを集落の誰に伝えたものか・・・

しかも、絞ってからの熟成期間と温度、

おばさんたちの手の酵素?と、腐敗の関係が絶妙微妙・・・

食品衛生上、言わんで置くのが正しいオトナなのか・・・

集落を愛すればこそ、黙っておくのが良いこともあろう。

 

で、話はそれるが

湯豆腐には昆布茶をひとさじ入れてみると、少し味が変わる。

化学調味料に違いないが、香りは自然で食べやすい。

 

はっきり味が変わるほどだと、入れすぎっち♪

 

豆腐を自然水にひたしている間に加えておくと

湯豆腐の湯全体がまろ〜んとする。

昆布が無いときは、コレである。

 

そういえば、まだ昆布茶としていただいてなかった・・・

 

さてさて

かれこれ半月くらい、ビーム砲レンズを持っていない。

バイトであちこち回っているものの、風景と料理と

それから子供たちが相手。

 

ギックリ背(腰より上)をやったから

重いレンズに抵抗がある・・・というのもある。

 

朝夕の肝心のタイミングが

バイトで消え去っているというのもある。

 

半年の間、

ちょっと飽きかけるくらい撮っていたので

動物とは、少し間をおくのも良い事かもしれない。

クロウサギの出る道も、ほとんど工事か草刈が入って

馴染むまで時間が必要だし。

 

長い長い初秋が終わり、

今週から冬将軍とやらがやってきて

本格的な秋になりそうである。

 

ようやく

セミの声も聞き納めの時節かもしれぬ。

とはいうものの

リュウキュウアブラゼミ、クロイワツクツク、オオシマゼミは

まだまだ元気に鳴いているわけだが・・・

 

季節の移ろいを、働きながら

町のことを知りながら感じられるのも、

悪くないかもしれない。

 

まだまだ一週間はとても長く、

連続して働くと生活の余裕がなくなる。

週の後半は、眠気と突然の頭痛でしんどい。

週末は眠く、フラフラして起き上がり辛い。

 

希望なき感覚のままなので

週末も別に嬉しくないのだけれど

無力感は、多少薄まった感じがする。

島では何もかもが身近で、直接的だからだろう。

何かをすれば、誰かが必ず反応してくれるものだ。

 

気になるのは

秋は少々心理的に弱くなるシーズンということ。

 

先週、

南大東へ売りに出したパソコンが返品されてきたのを

あらためてメンテナンスしていたら気づいた。

メモリーが1GBから256MBに、すり替えられている。

どおりで、金も払わず、返品もしなかったワケだ・・・

 

生活に困っているのか、金に困ったか

売られた先も、おおよそ見当がつくが・・・

 

ま、少々世話になったし、

以前美味いカボチャももらったから

哀れな知人に目をつぶる。

 

俺の投資、数万円をどうしてくれるんだろう・・・

つくづく、こまったオッサンだ。

付き合うとロクなことはなさそうなので、コレっきりに。

南大東へ行くのも面倒くさくなったなぁ。

 

仕事で高速のパソコンが必要だからと思ったら

台無しである。

 

代わりに、

小型のデスクトップ一式を役場へ持ち込んでおいたら

驚きの目もあったが、何も無い風を装っておいた。

愛用していた白いキッチンPC、AOpen915-Mである。

ノートパソコンのCPUを積んだ小型のものだから

それほどインパクトはなかったのカモ?知れぬ。

 

このパソコンが役場にある自治体は

世界中どこにも無いだろう。

ベアボーン(組み立てキット)だからねぇ・・・

 

タフブックで画像処理だの、キーパンチだのを繰り返すと

目も、腱鞘炎も悪くなる一方だから、やむを得ぬ。

 

目の下はピクピクしないが、体力は回復しないようで

中年の倦怠感が増幅してズドドンと体中にのしかかる感じ。

ごろごろしていると、体中の筋力が無くなり

またギックリになるので、ケトルベル散歩を再開した。

 

すると

犬の門蓋(いんのじょうぶた)海岸にレンタカーの山、

東京島とかいう映画のロケ班がどしどしやってきたのだ。

全く邪魔、散歩のメインイベント、休憩地を占領している。

工事中なら、ご迷惑をおかけします看板くらいあるが

こいつらは全く想像通り、無礼が看板のギョーカイ連中だ。

所詮、自分たちはアリガタがられる存在とでも

思っているような勝手ブリである。

島で屈指の観光スポットを占拠する意味が

さっぱり分かってないらしい。

ちっぽけな島の磯の一つや二つ・・・てな具合か・・・

 

ロケで有名になって、少々の観光客でも来てくれると

潤いそうでもあるが、もともとゴミだらけだから、徳之島は。

ロケ班の方々〜♪あふれるヒューマニズムとやらを酷使し

島のゴミ拾ってってくださいね〜、ゴミ袋有料だけど・・・

 

つまらないことを考えているうちに

さっさと暮れていく一日。

 

しばらく通うことになった、極めて中東っぽい・・・

バクヤチマの夕暮れが、日々の日課である。

(バクヤチマのさかさまが、バイト先である)

 

島でも、

インフルエンザの猛威はすさまじく

役場の向かいにある天城小学校が閉鎖になり、

我が家の近くにある天城中学校は学年閉鎖。

 

肝心の奥さまたちは、

子供達のとんだ秋休みに困り顔なだけで

とりたてて危機感もなく・・・マスクするだけ。

はたして平和なのか、不気味なのか???

結果は歴史が出してくれるだろう。


ではまた