きゅうりと台風のおかげ

 


これまで、少し写真が売れたお金は入ったが

僕自身は撮影しただけであった。

 

10月5日、朝5時

記念すべき収入源が、玄関にやってきた。

イベントに事かぬ家である。

 

40センチくらいの

まじゅん、ことハブである。

近くで卵がかえったらしく、複数いるのが普通という。

先の記事に載せておいたアレだ。

 

それは、まるで置かれたようであった。

用もないのに玄関で立ち止まり、

闇雲にとぐろを巻くとは考えられぬ。

 

玄関先で、何もないのに攻撃態勢とは変である。

普通ならスルスルと通過してしまい、気づかない。

 

捕った後、少しウトウトしたのだが

その間に誰かが玄関先で犬に用を足させ、

こともあろうに事後に蹴り上げた土が、

玄関の戸にくっついていた。

 

兼久集落の犬は、飼い主ともども腐っているよう。

 

内地から来た、ワケの分からぬ人間に対する

島流の嫌がらせだろうか???

 

万一そうなら

家の中に入れられなかっただけ、マシだろう。

それに、捕りやすい大きさからして、

安易に女性と想像できる。

 

あまり想像を巡らせたくはないが

ハブと犬の便、あまりにグッドタイミングだった。

 

何が起こるかわからない・・・島の常識だ。


さてさて、

ハプニングはこのくらいにする。

 

役場へハブを持っていくと、普通にカウンターへもって行き

通路の脇にある木箱へハブを入れ、台帳に記名すると

職員さんが、3,500円を持ってきてくれるお手軽さ!?

 

役場のアルバイトが日当7,000円だから

一瞬で半日分の収入になった。

 

お肉、お米、お茶のペットボトルを買ってお釣りがある。

ちょっと豊かな気分を味わった。

 

奇妙な宝くじ感のようなものがあり

小さいとはいえ、命がけの作業だったからか

小さからぬ達成感もあったりする。

 

たくわえを使うのと、ちょっとでも働いた感のある

お金を使うのとは、ずいぶん気持ちよさが違うものだ。

 

いただき物の島きゅうりが大量にあるので

いろいろ調理法を考えると楽しい。

 

普通は塩もみにして、酢の物にするが

せっかく多くの水分を含んでいるのに

絞ってしまうのは何ぶんもったいない。

 

まずは炒め煮にしてみた。 味は味噌仕立て。

ごま油と菜種油で炒めることで香ばしさを出してみた。

美味しいが、火の通りが遅い。

油で炒めた事で、くたっとはならぬものの

どうやら、透明で火の通った感じになりにくい。

けれど濃い味で、ご飯には良く合う

捨てがたい味に仕上がった。

 

次は、

島の人が良く教えてくれる、炊いて食べる方法。

細切りの豚肉を沸騰前の温度でしっかりスープを出させ

オーソドックスに、しょうゆ味で煮てみた。

これは美味い!

 

冬瓜(とうがん)ほど大雑把な味でなく、癖も少ない。

反面、個性がないわけでもないという微妙さが抜群。

ほのかな酸味が、コクのような隠し味に変わったよう。

スープの中に、たっぷりのきゅうり果汁?が行き渡り

ほんのり香りのあるマイルドな味わいを与えてくれた。

 

実験として、様々な厚みのものを一緒に煮てある。

厚みがあっても、わりあい短時間で透明になり

まろんとした口当たりになるようである。

 

島きゅうりは独特の食材だ。

クセがなく、生でも、煮てもおいしいジューシー食材。

しかもカロリーは低い。

しっかり栄養価を評価して、島外へ売ったら良いと思うが

キュウリと銘打ったらだめかもしれないし

量産するには青いうちに収穫するので美味しくないだろう。

これは島の味としてとっておくのが良さそうだ。

 

そうそう、島にも内地と同じキュウリはあるが

やはり大家族向けで、40センチ以上の巨大なものも多い。

一本食べると、腹応え十分である。

 

ハブのお金で求めた手羽元でスープをとり

トマトを加えて、シークニン(島みかん)をひと絞り、

酸味と、肉をやわらかく仕上げるよう、組み立ててみた。

 

島きゅうりがみかんの酸味を、マイルドなスープに変え

優しいトマトスープになった。 肉も軟らかい。

ほんの少しの粗挽きコショウとガーリックパウダーを

加えただけ。 イヤミもクセもない。

お〜、秋の空のように澄んだ味!

 

たくさんもらったので毎日食べるが

結構食べ飽きない味かもしれない。

 

今度は島の人に調理の仕方をきいてみよう。


台風後のこと


幸い、風向きが良かったのか、風だけだったからか

全く平気だった。

 

強風の中、トイレに行くために外へ出てみたが

やっぱり暴風は暴風で、あ〜車で120キロくらい

出した時の風かな・・・というのを全身で感じつつ

じっと立っているのは無理だった。

 

大干ばつのさなか、雨を期待されたが

ほとんど降らず風だけが過ぎていった感じだった。

内地の台風と、イメージがずいぶん違う。

 

一方、強風に加速された雨は

風圧とともに、雨圧とでもいおうか、

ガラスなどにかかる圧力が全く違って感じられた。

 

おかげで、雨戸のない我が家も無事。

 

でも、なぜか風で押入れの戸が揺れて、

朝には3センチほど開いていた。

昔トイレがあった、小間のドアは閉めても閉めても

開いてしまう魔法の家だ・・・

 

朝、台風が通過し、昼過ぎには晴れ間がでてきた。

しびれを切らしたらしく、釣好きのNさんが平土野港で

釣りをしている。

 

すると形の良い、とても引くチカラの強い魚が釣れた!

たずねられたが、僕も知らない魚だった。

 

どこか、ターポンに似ている。

ただ、肉食魚にしては、口は小さくて歯がない。

帰って調べたところアジアでもっともポピュラーな魚、

「サバヒー」というそうだ。 名前だけは覚えがある。

なんと、このシャープな姿で、藻類を食べるベジタリアン。

 

吸い込み仕掛けで、内地のコイ釣りに似た釣り方。

餌はパン粉にオキアミを混ぜていたようだった。

植物系と動物系両方釣れるダンゴである。

 

以前釣った大型のツムブリや、ツバメウオの写真も

見せてくれた。

ほか44センチのオナガメジナも同港内で釣れたという。

技前はかなりのモノのようで

ヒマさえあれば釣りをするらしい。

 

そろそろ僕もやってみようかな・・・

港には川が流れ込んでいて、なかなかのポイントらしい。

 

港へ行ったその足で、町内を少し車で回ってみたが、

倒木は見られるけれど、大きなダメージは無いよう。

 

ただ、

電気工事の作業車が右往左往していたのは目立った。

 

晴れ間が出ると、セミは鳴き出し、鳥も出てきた。

アマツバメ、ツメナガセキレイ(冬羽)、不明なアジサシなど

台風後の迷い込みらしい鳥が見られるので、

明日は釣竿でも持ってブラブラと観察に行ってみようか。


島は常に強い台風にさらされているので平気でしたが

島並みの台風がそのまま内地へ行くので

特に台風の南側に当たる地域の方々は、お気をつけて。

植木鉢とかプランターは簡単に飛びます。

加害者にならないよう、警戒にこしたことはありません。


ではまた