ボロボロは ぼろぼろで 

 


ここ兼久集落には民宿もないし大きな商店も全くない。

島の人には二種類の振る舞いがある。

島外の人との接点があるかどうか、が分けているようだ。

 

島外者をコンプレックスの目で見る人は、接点がない。

こういう閉鎖された方々によって、島独特の因習や文化が

引き継がれているが、島外者として接するのは面倒くさい。

島の複雑で微妙なパワーバランスの中に取り込まれそうに

なることもある。 力か、金か、安全か・・・を監視してくる。

お酒が入ると、一気に打ち解けるのは島ならでは。

だが、酔いがさめるとリセットされる事もままある。

 

一方、

接点がある人は、それなりの温かい対応をしてくれるし

様々な情報を提供してくれたり、島独特の習慣をさりげなく

教えてくれたりする。

付き合い方に慣れているので、自分たちの立場と島外者の

立場をわきまえていて、会話は楽である。

でも、島口でないと、本当に通じるかは人それぞれ・・・

 

役場の企画課や町長、医師、宿屋さんなどである。

例外的に?怖い系のオニーサンなどは、外部との力学的な

接点が多いので、怖いけれど対応はキッチリしているようだ。

 

前者の特長は「島のどこがいいの?」である。

コンプレックスはあるが、島の良さを知ろう、

作ろうとはしない向きである。

はっきりそれを指摘すると、なんで内地人に、

そこまで言われなければならないのだ!と怒るのだが

怒っても考えることはなく、発見もないし、前進もない。

島で力のある誰かが、いつか考える!と言わんばかりの勢いに、

ちょっとふき出しそうになる。

結局自分では考えきらないと、固く信じているところが

可笑しいのである。

 

断っておくが、コレはあくまで僕の主観。

素直な悪口、ある意味ウソ。ある意味甘え。

ただし、

前者も後者も、全く悪気はなく、素直な動物的に向き合えるのは

島ならではの気のよさがあると思う。

 

まあ、

こちらは色々な土地を渡り歩く立場なので

波風たてないよう気をつかうのが大人の対応であろう。

少しだけ、分析するココロの余裕ができた。

 

さて、

ボロボロになったとき、チャンスは訪れた。

後者の代表、宿屋のオバチャンに教えてもらった食事 ぼろぼろ。

人間追い詰められると、少し前に進むクセがあるようだ。

 

前日の食事はすべて消化できず。

次の日も朝から吐き気がし、食欲がないのに空腹で苦しむからと

朝食シリアルを思い出した。 最近、頭の回転はかなり落ちた。

 

ましかし、

シリアルなら甘くて香ばしくて流動的で食べやすい。

チョコ味か・・・ドライフルーツたっぷり系か・・・シンプルな味か・・・

ウキウキしながら北部最大のまち、平土野(へとの)へ向かう。

 

しかし、パンコーナーの横にコーヒー豆やザラメなどがあり

お菓子コーナーには大きな箱が見当たらぬ。

Aコープにはケロッグも何もないのであった・・・

 

島では食べないんだ・・・割高だしな・・・

魚をあまり食べない島なので、カルシウム補給にはもってこいの

朝食なのであるが、食べないのだから仕方がない。

 

食欲がないので、かために炊いたご飯が食べられなくなり

ふと、オカユにでもするか・・・と思ったとき、忘れていたことに気づく。

 

あ 「ぼろぼろ」だ!

 

作り置きして冷ましたオカユに、冷水や氷を加えて食べる

オカユの水飯(すいはん)のようなものであるが

単に食欲がなくて食べにくいから、ではなくて、

南国の過酷な農作業の中で、失った水分を補給する役割がある。

渇きと空腹を同時に癒す食事だと教わった。

(梅、一口食べちゃった・・・)

すすりながら食べるとき、お茶漬けのサラサラ、シャラシャラリ、と違い

ぼろぼろ、ぼろっぼろぼろ、と音がするので、ぼろぼろというそうだ。

ネットで調べてもほとんど出てこないから、島の若い人には

定着していない食事なのかもしれない。

(沖縄のボロボロジューシーとは根本的に違うようだ。)

 

食べ方は至って簡単、

茶漬け同様、ちょっと味の濃いお惣菜や佃煮、漬物などを

一緒にいただくのだ。

 

茶漬け好きとしては・・・

 

冷えた濃い茶をかけていただくもよし、

ちりめんじゃこや海苔をトッピングし、薄めの麺つゆでいただくもよし

梅干をのせ、冷たい昆布茶をかけていただくのも良いだろう。

冷たい中華粥・・・は行き過ぎと思うが・・・

 

炎天下は別とし、意外に島の暑さは、エアコンなしでも体が冷えきる。

暑いので、窓は開放だし、シャワーしか浴びないので

体が芯から温まることがない。

冷たいものをいただくときは、温まる薬味やしょうがなどが入った

ものを一緒にいただくのが良いと思う。

 

炊飯器で炊いて冷まし、冷蔵庫で冷やせる手軽さも捨てがたい。

ご飯は、冷ましてからラップに分けて冷凍する手間が大変。

 

ちょっとしたチャレンジが カレーぼろ。

ちょっとヤリスギ感があるが、鶏ムネ肉ベースで、

トマト、ナス、オクラ、たまねぎをさっと煮て作るスープ系カレー。

SBのカレー粉で作るのがお気に入り。 島のにんにくも効かせた。

夏は、冷ますのに時間がかかり、十分に煮込まれるイメージである。

冷蔵庫で冷やして、そのままいただくもよし、ご飯にかけるもよし。

 

鶏モモ肉や豚、牛などで作ったときは、脂を丁寧にとる必要がある。

冷えて固まった獣脂はザラついた食感になり、正直ソートーまずい・・・

 

ともあれ、粥にかけてみることにした。

なぜか、皿よりどんぶりが似合う気がしたので・・・深いどんぶりだ。

(言わなきゃどんぶりとバレない写真だった・・・)

胃腸にやさしい低刺激にしたいのか、

暑気を振り払う刺激を得たいのか分からぬ食事だ・・・

なりふりかまわぬ食欲優先といったところか・・・

コクを出すのに、インスタントコーヒーを小さじ一杯入れると、

かなり美味くなるとテレビでやっていたが、

センブリの草をほんのヒトカケ入れると、医食同源になろう。

 

この日は

朝ぼろぼろを食べて、三京林道へ撮影に行ったが

後半、力が抜けてヘナッとなってしまう。

ろくに食べてないからスタミナ切れであった。

 

帰ってから、関西風に卵を落とし、ちょっと味が薄そうなので

これまた関西風にウスターソースをたらしていただいたもの・・・

なんか小さいころの味を思い出す・・・イケルぜ。

食べた後はパソコンに向かった・・・意味あるのか、卵・・・

 

消化吸収がよく、食欲増進、ちょっとメタボ想いなぼろぼろ。

 

やっぱし次は中華か・・・マーボロボロ・・・?

冷奴を手でつぶして、あらかじめ作っておいた、

テンメンジャン、トウバンジャン、味噌、しょうゆのミートソースを加え、

刻みネギと山椒をのせていただく・・・

無理があるな・・・絶対アツアツが美味そうだ。

 

でも、

冷やしマーボは美味しそうなので、麻婆ソースは作ってみようかな。

やはり、鶏ベースだろう。 冷奴の美味しいソース。

コクを出すのが考えどころだろう。 コーヒーか・・・?

まだやっと食べ始められるようになったばかり。 ま、先の話だ。

 

ひょっとすると

新鮮な魚が食べられりゃ、元気になるのかもしれん。

ずいぶん食べてないからなぁ〜

もう少し体力が戻ったら、近くの磯、犬の門蓋へ行くとするか。

 

先週より少し、体と精神が兼久生活になじんできたようだ。

あと少し時間が経てば、何とかなりそうだ。

ぼろぼろ、頼むぞ!

 

なんか冷やしたご飯って、でんぷんが多いせいか

透明感も、プルプル感あるし・・・

大好きなカスタードとか合わないかな・・・

毎日晴れすぎて、食の好みが変わってきたのだろうか・・・


ではまた