干潟のチカラ

 


あーあ、

4日間で3日は雨だわーなんじゃこりゃーと思っている間に3月は猿。

ウッキー!雨季・・・?

あーイカン、いきなり勝手に消耗してしまった・・・すんません。

内地とは違い、雨といっても暴風雨が多いので、困り果てて壊れたか?

気を取り直して、本文へ


徳之島空港の横には、なかば人工だが実に自然で広大な干潟が広がる。

散歩に出かけたり、蛋白源確保のために釣りに行くが発見の連続である。

地元では空港建設の副産物扱いだが、それにしてはスゴ過ぎる!

 

お散歩している時、干潟の奥でトンビ大のタカ、ミサゴが困っていた。

正に

自然監視員でにわか野鳥の会会員、F田さんと遭遇し話しているさなか

大きなタカを見かけるが、何というタカ?と問われた矢先の出来事。

ファインダーの向こうで、浅瀬で獲物を鷲づかみにしたものの

重くて飛べないため、羽ばたきで引きずり揚げようとしているようだ。

 

「あれ、あれがミサゴです!」とファインダーをのぞきながら叫ぶ。

F田さんも双眼鏡をのぞいて「そうそう、あれです」とあわただしく確認。

しばらくすると、ついに獲物が姿を現した!

数十センチの水深で、その日は大潮、あと1時間で干上がる場所だ。

内地のとは種類が違うミナミクロダイだが、デカイ。(エラの上が黒い)

 

な〜んちゃって、今日は4月1日・・・合成画像で〜す!

なははは〜っ♪

特別出演は、絶滅が危ういクロツラヘラサギさんでしたぁ〜。なはは〜っ♪

って・・・絶滅するかもしれんのに笑ってる場合かよ!

 

と、サラリ突っ込んで流したいところなれども・・・

合成するにはクロダイを釣っておかないと合成できぬ悔しさがある。

ちなみにクロダイは通称チヌ、切り身ならAコープで見たことがある。

その後、ミサゴの獲物はカラスの群れに奪われた・・・厳しい自然だ・・・

 

特別出演のクロツラヘラサギさんは独り越冬している個体で、若い固体のよう。

シケが続いた後の疲れからか、アクビ連発のところをすかさず撮影。

警戒すると、ちょっと噛み殺すシャイなヤツ。(警戒してもアクビは欠かさぬ)

 

人のそばが安全というのを知っているようで、散歩道のすぐ横で休んでいて

いつもラクラク撮影できる。 これが本当に珍鳥なのか???と思うくらい。

餌を探して歩くときも、なんだか楽しそう・・・ 片手間にカメラ目線がもらえる。

 

ついでに変な習性も紹介しておく。

 ⇒ 

羽づくろいすると、しゃばしゃばっとクチバシをゆすぐ癖があって

よっぽど変なものでも付いているのか、かなりヤナものがついていたのか?

それとも、ゆすぐフリをしてノミを浮かせて食べてるのか?

見ていて飽きない鳥である。

 

上空では、またミサゴが何かを狙っている。

飽きないどころか、次々に鳥が現れてキリがない。

 

ふと大きなシギが飛来。

突然だったので、マニュアルフォーカスが間に合わないか・・・?

 

後ピンだが、何とか着地の瞬間をとらえた。

(ハイッという掛け声が聞こえそうなポーズ)

こちらも絶滅危惧種で、ホウロクシギさん。

 

ひとっ飛びした後のカニは五臓六腑にしみわたるわ・・・と

しみじみ味わっている。

(はさんでいるだけで、まだ食べてないけど・・・という突っ込みはナシ)

 

クロツラヘラサギが逃げないでいるので、他の鳥も安心しているようだ。

近くでは完全に足を折りたたみ、座り込んだ姿勢で寝ているシギまで居る。

ハヤブサなど、天敵が来たらイチコロなのに。

 

一応、人間としても干潟の幸をご相伴。

徳之島初ヒラアジ・・・ちっこいけど。

空港からヨナマビーチへつづく干潟のほぼ中央に位置する松原漁港は

ヒラアジやチヌ、アオリイカなどが入ってくる小さな港。

晴れた日には突堤の左側に広がる浅瀬に大型魚が悠然と泳ぐ姿を見られる。

(ギンガメアジの子供)

夕暮れの一時間でアタリは結構あるが、小さすぎるのかハリ掛かりが悪い。

それよりも沖合いの波消しテトラで休む、ウの姿がどこか違う気がしていた。

 

奄美大島へ赴く直前、この足で亀徳新港へ向かうはずが・・・

ちょっと昨夕のウが気になって、強風の松原漁港へ行ってみる。

レンズが風に吹かれて安定しないので、腹ばいになって撮影開始。

 

すると

(どどど〜ん、と・・・)

こんな構図になっていた。 文字でなく、主役は左右下方のウ。

 

とりあえず構図の問題は後ほど考察するとして

左の方のウが白っぽいのだ。

幼鳥を見たことはないが、幼鳥にしては配色が格好良過ぎ。

長年ウミウを見てきたが白黒になったウなど見たことがない。

珍鳥か?と思ったが、どうやらカワウの婚姻色のよう。

カラスもこのくらい模様替えすると、好感度アップだろうに。

左がオス、右がメスのような気がする。

クチバシの根元が赤っぽいのがカワウ同定の決め手となった。

内地では1月ごろの繁殖みたいだから、相当遅い。

人のことは言えんけども。

 

問題の構図。

 

繁殖期になるとドラマティックな演出を好むのか、演歌好きなのか・・・

皆目定かではないが、このまま船出してしまうと嵐の夫婦舟(めおとぶね)?

珍しく右のメスは完全に防波堤に寝そべっているから受け入れ態勢かも。

オスの迷いがふたりの船出を、怒涛の如き不安が襲っているのか?

もとより、この強風では落ち着いて愛情表現も出来ないだろうし・・・

天敵が来ない強風のタイミングよりも、むしろ非日常シチュエーションに

どうしても憧れが捨てきれないメスなのか・・・殖行動って深い、深いなぁ。

 

どんだけ話題を引っ張っても、結論はない。

 

こりずにまた干潟に散歩して、いつまで撮ればいいんだ・・・

などとと思いつつ延々ファインダーをのぞいていると

イソヒヨドリがぶち切れて、すぐ近くでヒーホロレヒーロロロヒーと威嚇してきた!

毛を逆立ててヒーホロレーと鳴くときは、さながらスーパーなイソヒヨ。

スーパー化しても金髪にはならず、無駄に周囲の物が吹き飛ばされたりしない。 

よく見ると近くに別のオスが居て、ものすごい剣幕でトサカに来ている状態。

トサカはないんだけれども。

3〜5mくらいが怒りと警戒心の境界のようで、結局スーパーイソヒヨでも

接近してみると、別のオスともども退散していく。

 

イソヒヨは本当に多くて、居候宅ではイソヒヨの声で毎朝目覚め

日中いっぱいイソヒヨのヒーホロレーを聞いて、夕じまいのヒーホロレーまで

イソヒヨ三昧の毎日である。

鳴きまねがとても難しくてちょっと悔しい。

南国は強風+豪雨が多いのだが、そんな時は軒先で鳴き続ける根性は流石。

雨宿り中はスーパー化しないで、なーんとなく鳴かないと居られないので

独り言みたいに鳴いている風なところが・・・憎めない。

 

そうこうしていても、また・・・

そっくりだが、つい前日とは違う鳥がやってきて、興味は尽きぬ。

左はダイゼン、右はムナグロというチドリで、大きさは同じに見えるけれど

ムナグロは黄色っぽい羽がある・・・ってだけの差だが、見られると嬉しい。

冬はダイゼンとかオオメダイチドリ、シロチドリばかりでグレー一色だったから。

 

旅鳥銀座の干潟でも、少しずつ夏へ向かっているらしい。

 

そんなわけで

大島の自然の深さもさることながら、平地や干潟が広い徳之島は

鳥の数や見やすさでは負けていないようである。

夜は海岸近くでもコノハズクが鳴きまねに慌てて目の前までやって来る。

自然と人間生活が近い島、残るは食料調達・・・

浅瀬の釣りさえ何とかなれば、こんなイケる島はなさそうである。

 

ひとつの仮説を立ててみた。

干潟にはアオサ養殖されるほど、養分の多い泥が堆積している。

チヌは海底の豊かな動物を追って浅瀬に入るが、ヒラアジは別の目的では?

太陽光は強いが、まだまだ水温は20度そこそこでヒラアジにとっては寒い。

「温まった浅瀬の水を目当てにヒラアジが入ってくるのではないか。」

それを証明するかのように、水深があるのに水面から背ビレを出して泳ぐ。

外洋から餌もないのに、ウミガメも入ってくる。

うーむ、要は体が温まらないと、食欲もない・・・わけか。

早朝や朝に釣れないことが、やはり証明しているように思う。

チヌは泥臭いらしく、釣り人以外には人気がサッパリ、やっぱりヒラアジ。

温まっている間は食わないのだろうか、それとも、食欲を引き出す策があるか

大雨の合間にお試し中である。

 

やっぱり干潟は生物的に奥深い。 が、そう簡単には食料は手に入らぬものだ。

(運がよければ、ロウニンアジも食卓へ)


ではまた