Foods of Fragile ?

本当に一人前なのか?この料理・・・

 


この記事を読んで、山海荘へ泊まっても、

同じものが出てこないことに不満をもらすことがないよう、

大人の対応をお願いいたします。

シーズンとか、おばちゃんの体調で料理は変わります。


ともかく多い、だが、これが徳之島標準である。

何かしら兼業・・・なんてのは当たり前、いつも働いている。

だからすぐに腹が減る。

腹が減れば、当然食べる。

1日3食と誰が決めたか知らぬが、農家には通用せぬ。

それでもなお腹が減るから、量が増えるのであった。

 

確かに暑い、暑くて暑くてダラダラ汗が出て、それでも暑い。

それでも敢然と農作業をする・・・それが農家だ。

 

でも個人的には

それ以上に、全般に水分の取り方が少ないような気もする。

おばちゃんも、血液の凝固を防ぐ薬を飲んでいるという。

関係ないが、同様に長男も実は水分が少なく血が濃い。

 

都会人には最近の流行みたいだが、南国では熱中症など

日常茶飯事である。

今更自分たちで暑くした気候で、生き死にが決まろうとは

思わなかったろうけれど、南国では暑いことは普通だ。

倒れないで頑張れるのはスタミナがあるためかもしれない。

風もない炎天下、暑すぎてクラクラするのに頑張るのは

特段のことではなく、普通なのだそうだ。

 

暑さは普通だから、へこたれないが、食欲がなくなるとまずい。

そこで生まれたのが、漁師料理?ぼろぼろ。

とんこつラーメンは玄界灘の漁師が食欲を出し

何杯でもおかわりできるよう本来細麺、替え玉無料らしいのだが、

もっと暑い徳之島では夏、ぼろぼろを食べる。

優しく冷たいかゆが渇きをいやし、活力も出る。

 

おかゆに片栗粉を入れて仕上げる独特の粘りのかゆ。

そこへ氷水を入れ、「ぼぼ、ぼろぼろぼろっ」と

吸い込みながら、かきこむように食す。

 

おかずは貝の佃煮や血液サラサラな島ラッキョ、海苔の佃煮など

その場にあるものと、人の体調によって変わる。

今回は、ラッキョと、島の岩海苔の佃煮(もちろん手作り)だ。

 

内地なら内臓が冷え込んで元気がなくなりダルくなるが

徳之島では心配ない。渇きと空腹が一機に回復する。

下手なアイソトニック飲料よりも、渇きがいやされ

元気が取り戻されるのが、本当に不思議だ。

たぶん、消化がよく、冷たいぼろぼろが体を内側から

冷ましながら、スムーズに吸収されるからだろう。

 

南国の食は、舌だけで味わうのではなくて

体で味わうもんだなぁ、としみじみ感じる。

 

長男は炎天下でも、撮影にでかけるし

夕方といっても日が高い中、磯釣りに出かける。

だからエアコンを入れて待機していたら気温差が

体を苦しめるので、エアコンを使ったことがない。

扇風機と、首からさげた濡れ手ぬぐいで涼をとるのは

横浜生活そのままではあるのだが。

 

まー内地のニンゲンが、軽はずみに

南国の料理は脂っこいし味が変だというのは

もともと酷暑の中で普通に生活する人と

クーラーの中でノーノーとリーマン生活するナイチャーの

食味が違うだけなのである。

 

汗をかかないように努力する連中と

汗はかいて当たり前という人の味の感じ方が違うのは

言わずもがなだ。

内地の3K企業といわれる労働など

ハブを相手に、太陽の角度が違う島で農作業する

おばちゃん連中には別に驚くほどのことではない。

 

メディアに載せられ、誘導された大衆文化の味覚で

味わう前から味を最初から美味しいと感じるのか・・・

体が欲するものを美味しいと感じるのか・・・

どちらが幸せかは・・・あえて結論すまい。

誰でもない「大衆」が味以外にも様々なことを

誘導して(というか誘導されて)しまう社会にあって

いずれであっても、どちらみち不幸なのかもしれないなぁ。

 

もっとも身近な異文化を素直に受け入れぬままに

イタめしやら、フランス、韓国、インド、中華料理の前に

奄美や徳之島、沖縄の料理を「体で」味わわずして

日本人として、さしたる味覚も語れまいに・・・。

 

明治以来、舶来に弱すぎる民族風習は今も変わらぬ。

さて哀しい歴史観はもうこのくらいにして・・・

 

問題の3人前である。

当然、働かないから3人前に感じるのであって

農作業も、漁もしない長男には、量が多い。

けれど、新鮮だから、美味しい食材ばかりだ。

 

食材は時間を置くと美味しいというものもあるが

それは無理に食べようとしているだけであって

新鮮でバイキンが繁殖する前に食べるのが常識だ。

 

無論、

日本人には腐らせて(発酵させて)食べる習慣もある。

だが、発酵させるには、腐るというリスクと知恵があってこそ。

 

常識では、鮮度がごちそうである。

しっかりした味の謎の味噌出汁、これに入れてマイペースで食べる。

無論、刺身とか、つきだしも別にキッパリと存在する。

ご飯もだ・・・。

 

手前からエビ、ホタ(アオダイ)一匹、ご飯があるのにうどんまである。

もちろん、エビもホタも刺身で食べられる新鮮さ。

 

エビの足と頭は、適当にせせった後、出汁として戻す・・・

独りだからできる、荒技だ。

 

エビ嫌いの長男も、

プリプリのシャブシャブ状態のエビには撃墜された。

口の中でプリリっとハゼる感覚・・・

エビ嫌いもエビが好きになろう味わいがある。

 

エビをほおばる感じ・・・というのはそう簡単には

体験できないことだろう。

 

内地の民宿でも特別料金でなければ

味わえそうにない感じだが、普通料金だ。

 

にしても、たいらげるのに3時間くらいかかった。

(ご飯は、ご遠慮願った。理由はうどんがあったから・・・と)

 

食べなかったことに、理由が必要である、

そして、次の朝にも出てくる・・・この連鎖が徳之島流なのか?

山海荘オカミサン流儀なのか・・・美味いが油断できぬ食卓だ。

 

無視して残しても良いが、無視して捨てられてしまうには

あまりにも惜しい料理ぞろいだから悩ましいのだ。

(隠れた山海荘名物、巨大干し大根の煮物・・・うまい)

自分から、置いといてください・・・と言ってしまう自縛の罠的な

味わい深い料理が占めている。

干し大根ができるほど寒くならず、乾燥しない島で

手作りされた貴重な干し大根の煮付けは

美味しすぎて、その上なぜか気前良すぎて困る逸品だ。

あくる朝の食事は昼飯不要なほどの量になってしまうわけだ。

 

お祭り、お盆などで忙しいとき、ちょっと油断するのか量が減る。

このときも、立派なイイワケ材料、アブラうどん(うどんチャンプルー的)

が、かなりの率を占めている、文字通りシメタ!!!

 

でもしっかり、ご飯ぢゃわんがある。

 

のびのびで油たっぷりだが、不思議に美味しい。

おかずにしたいくらいしょっぱいが。

 

絶対量が少なくてほっとする食事は初めてかも知れぬなぁ。

 

ほかの場所ではなかったが、この山海荘で泊まっている間

栄養バランスに気をつかう必要はまったくない。

厳格な長男の栄養バランスでも軽くクリアする。

 

だいたい、宿の料理は、一週間も滞在すれば

ビタミン不足で口内炎になるものだが、徳之島は無縁みたいだ。

 

ただし!

追加的措置によること・・・という覚悟は必要かもしれない。

 

手抜き的、おばちゃんのお休み日としてに登場するのが

焼肉であろう。

確かに焼肉自体にあまり手は入っていないが・・・

実は端麗の向こう、白い牡丹肉が何気なく添えられている。

それに、市販の焼肉のタレににんにくをたっぷりと加えて

食欲増進する特製タレが隠れている。

 

周辺はどうだろう。

手前のシャコガイ、そして右のウニ。

貝はさっと湯通ししただけの半生状態がベストだという。

確かにシコシコして硬くないし、臭いも強くない。

マヨじょうゆが独特だ。

 

海ですぐに殻から取りだしてきたというウニ。

北のモノとは全く味が違い、比べようがないくらい。

 

なんで?

焼肉にこれほどの海産が付くのか・・・これがおばちゃんの意地。

休みたかったのじゃなくて、海に行きたかったのだ。

別の馳走のために体力を使った結果だ。

 

いつもそうか・・・は別だが、徳之島が好きな旅人には

こよなく美味しい分け前を用意してくれるんじゃなかろうか。

 

真昼の引き潮の時、シャコガイはとれても、ウニはとれない。

ウニは潮が満ちてこないと、珊瑚の間から出てこないのだ。

だから沖合いの珊瑚礁の撤退ギリギリまで炎天下で粘って

出てきたところを素早く収穫してオカへ戻るのである。

 

海が好きでなければ、できない技である。

それに、そうまでして採った貴重なウニを

無理に客に出す必要もあるまいに・・・

 

たまたまネットで選んだだけの山海荘だが

こういうわけで・・・?居続けし、定宿とするのであって、

長男はあくまでも運だけで出遭いをクリアしてきたようだ。

おばちゃんも自由だし、長男も自由に出入りできるから

おばちゃんも都合がいいらしい。

 

ラッキーというのは馬鹿にならないし

徳之島の底力を知れた、間違いない宿に出遭えたのだから

長男のラッキーには、無意味ならぬ幸運があるようだ。

 

ウニは悩んだ結果、ウニ丼化することに決定。

そうしたら、おばちゃんが海苔をだしてくれた・・・あうん、だ・・・

やっぱしかき回して食べないと、味がしみないわなぁ。

薄味だが甘い、香りは磯風味満載!

くどくないので、ご飯の甘みを邪魔しない程度に

ほどよく絡み合ってくれる・・・人情と海の味がしみてくる。

 

不思議な味、味はほどほどだが香りは高い。

ご飯に和えるのに十分な液分をもっていて

やわらかにご飯へしみ込んでいく感じは独特だ。

 

味が薄い!と切って捨てるのは簡単だろう、しかし

磯の香りが伝わる感覚は、甘ったるいウニ丼とは

一線を隔した存在なのだと思う。

 

気になるのは、海草がなく、珊瑚で無理やり育っている種、

であるということ。

珊瑚は南国の海の畑だから。

なぜ徳之島町の漁協が、ウニの道を選んだのか分からぬが

地元でもさして人気はない。

 

金額だけで価値観を決める、都市部の人らと違い

南国の人間は正直だ。

多少味が良いからといって、捕るのに苦労するとか

その上、栄養価もボリューム感もないとか、そういう食材に

日常では一切目を向けない。

ナイチャー向けに捕るだけである。

おばちゃんはウニ採りが気に入っているみたいだが。

あまりにも地元で人気がなく、解禁後も捕らない。

 

沖縄ではエビをあまり食べない。

調理しにくいし、夜、潜って採るのが面倒だからだ。

 

ともあれ

徳之島の滋味に満ちた食材は、山海荘に限っては

栄養バランスは良いが、量が多すぎる・・・のが現実だ。

 

ああ人生とは、いちいちハードルに満ち満ちたことか・・・

そもそも、しょうゆとか、麺つゆが甘い(薄味でなく糖分で甘い)

のには、どうにも舌がついていけないので困ったもんだ。

反対に、島から内地へ行くと、しょうゆが塩っぱいので

かなわないのだそうだ、日本も案外広いなあ。

やれやれ。


ではまた